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15 敵は強すぎるくらいが丁度いい

  「いいじゃないですか。その調子で頑張ってくれると、こっちもいたぶり甲斐がありますよ」


 「ほざいてろよ。直ぐその顔を苦痛に歪ませてやる」

 少し乱暴な口遣いで針田に言う。

 「威勢はいいですが、この状況であなた達が勝てるとでも?」

 「勝てるさ。さっきの攻撃だって対したことなかった」

 実際、派手に吹っ飛んだ割にはそこまでダメージはない。自分で言うのもなんだが、やっぱりこの世界での俺の戦闘力はかなり高いんだろう。

 でも……それでも針田の魔法によって強化された河木の方が数段上だ。針田の言う通り、今の俺には勝つ見込みがないだろう。

 

 (だからって逃げるわけにはいかない。それなら……勝つしかない!)


 「行くぜっ!」

掛け声で体を奮い立たせ、また俺は針田に素早く迫る。もちろん河木が来るのは知っている。でも、

 

 「ほっ」

 足を止めて、後ろに俺はジャンプする。さっきまで俺がいた場所に河木の拳が刺さる。地面は石造りだが、河木の拳の先は粉々だ。


 「どうしたァ?怖気づいたか?」

 「まさか。冗談だよな」

 今度は河木の右側から針田の方に向かおうとする。しかし、河木が動き出すタイミングでまた後ろにジャンプする。そこにまた河木の拳が刺さる。まるでさっきのリプレイを見るような一連の動作。


 (やっぱりだ……!)

 あくまで推測だが、河木は恐らく……小回りが利かない(・・・・・・・・)。確かに戦闘能力自体は俺より高いだろうが、己の戦闘能力の高さ故、完全に自分の体をコントロールできてないんだ。重いハンマーを振り下ろす時、威力はあっても腕が持ってかれるように。


 (それなら、奴らを倒せるはずだ……!)


 今度も動き出す。さっきと同じように。そしてまた後ろに跳ぶ。

 (そして河木がまた同じように攻撃した隙に……針田を倒す!)

 「そう来るとおもったぜェ」


 河木は動きを変えた俺に更に近づいてくる。

 俺がまた後ろに跳ぶと思って、はなから後ろに跳ぶであろう俺に照準を合わせていたんだ。


 「この程度かよォ。もっと頭回せよ。終わりだ!」

 

 河木の拳が俺に近づいてくる。避けられない。どこに動こうと、必ず河木の拳は俺に当たる。


 「終わってただろうな。俺一人ならな(・・・・・・)!」

 


 「ファイアー!!!」


 響く凜の声。ずっと好機を伺っていた凜は河木に対して後ろから魔法を放つ。

 「なァ!?」

 河木は防御しようとするが、完全に俺に攻撃する態勢をとっていたので、攻撃も防御もできない状態になってしまう。

 凜の放った炎は河木に確実に迫って――


 「それも読んでいましたよ」

 

 凜の炎は見えない壁があるように弾かれる。針田が、先の先まで読んでいたんだ。


 「フッ」

 俺は笑みを浮かべ、体を動かす。




 「残念だったな。それすらも俺は読んでいたさ!!」



 

 一気に体を加速させて針田に近づく。

 針田は炎を弾いていて今から魔法を使う時間はないし、河木は針田が違う魔法を使ったから俺には追い付けない。


 「この読み合い――俺達の勝ちだ!」


 それでも針田は魔法を使おうとしたが、まともに使えず、俺が剣を振るうと針田は吹っ飛んでいった。


 「ぐあっ!!!!」


 針田はそのまま壁にぶつかって、さっきの俺と同じようにうつ伏せに倒れる。とはいえ、俺とは食らったダメージは桁違いだろう。


  

 「このまま畳み掛ける!」

 

 確実に勝利への道は近い。

はい。もうちょっと針田&河木戦は続きます。乞うご期待。

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