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そう簡単に異世界を味わえると思うなよっ!  作者: はれ
第3 美永凜
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9 ニート=自宅警備業。自宅警備業=ニート

「ニートってなによ!そんなんじゃないわよ!」

 「いやいや!ニートに決まってるだろ!自宅警備業っていったいどういう職業だよ!」

 「我が家に襲い掛かる敵を二十四時間体制で警戒してるのよ!」

 「それがニートっていうんだよ!」


 それにしても、なんで二人ともニートなんだ?まさかこの世界はニートの温床なんじゃ……。


 「ま、魔崎。この世界にいるやつらって職業は何の奴が多いんだ?」

 「少し待ってくださいね……この世界にいる人で一番多い職業は無職で、三〇パーセントですね。そして二番目で二十五パーセントで、学生。そしてこれも無職に近いのですが、三番目にすでに定年退職された人たちですね」

 「なにやってるのおじいちゃんおばあちゃんは!?」

 まさかそんなことが……老いてもまだ輝きたいといったところか。そもそも、とにかく働く。という感じだった人たちが、十万回も異世界に思いを募らせてったっていうのか……?

 「ちなみに五十歳以上の人は、一万回異世界に思いを募らせると、私たちが二次の世界へ招待することになっていますよ」

 「減らしすぎじゃない!?」

 いや、それとも十万回も二次の世界に思いを募らせてる俺みたいな奴がおかしいのか……。


 「それはそうと蘭次様。前と装備が変わっていませんか?」

 「え?」

 そう言われて自分の体を見てみると、たしかに装備が変わっていた。アルミ製の剣は鉄製になっていて、鎧、兜は無くなっていた。


 「本当だ。でも、なんで変わったんだ?」

 「うーん。おそらくですが、蘭次様の意識が変わった……ということでしょうか」

 「意識?」

 「はい。前の蘭次様の装備の時とは蘭次様の考え、意識が変わった……という感じで。すいません私、こういう事はよく知らなくて、詳しいことは言えないんです」

 「そう……か」

 まあ、せっかくアルミだった剣が鉄になったんだ。あまり細かいことは気にしないでいいだろう。


 「それよりあんた、あたしをニートって言った事を撤回しなさいよ」


 そんなことを思ってたら、にゅっと凜が出てきて言ってきた。

 「お前なぁ……ニートはニートだろ。ずっと家に引きこもってるなんて」

 「だから、家を敵から守っているっていったでしょ!」

 「敵ってなんだよ」

 「今はいないわよ!でもずっとあたしは力をためているのよ!いつか来る戦いのために!」

 「あーはいはい。そーかよ」

 こんな奴に付き合ってられっか。

 「うう……あんた、よほどあたしの攻撃を受けてみたいようね」

 「う……」

 そういえばこいつ、さっき俺に魔法を仕掛けてきたんだった。またあんなのを放たれたらたまったもんじゃない。なにしろこいつの魔法は、まるで本物の魔法みたいで――


 「え……?本物?」


 そうだ、なぜこいつは魔法を本物のように使えたんだ。普通なら俺のように変な形で出てくるはずなのに。

 「まあまあ、二人ともケンカはやめなよ。ほら、敵も現れたみたいだし」

 椎名に言われてあたりを見回してみると、まるでコガネムシをそのまま大きくしたみたいな奴が現れた。

 「なんだよあいつ……気持ち悪いな」

 「しょうがないでしょ。私たちの誰か、または全員の考えが合わさった敵があんな感じなんだから」

 俺らは口をききながらもしっかりと敵を見据え、戦闘の体制ができていた。

 「さて、それじゃ……軽く片付けるか」

 俺の声と共に、三人が動き出す。敵は三体。俺たちと同じ人数だ。

 「うーん。確かに蘭次君が言う通り、ちょっと気持ち悪いかもね」


 椎名がそう言いながら、流れるように獲物(拳銃)を構え、相手をいともたやすく撃ち抜いていく。


 「ほんっと、気持ち悪いわね、誰かさんの考えが強すぎるんじゃないの――ファイアー!」


 凜がぼやきつつも、炎の魔法で敵を焼き尽くす。


 「俺はそんなの思ってないぞ」


 俺も噛みついてきた敵を軽くかわし、鉄に変わった剣で切る。鉄製に変わったおかげで、叩くという感じだった剣が、しっかりと敵を切っていた。

 「って、なんかおかしくないか……?」

 今の三体の敵を倒した一連の流れに、俺はどこか引っ掛かりを覚える。でも変なことなんて、


 『椎名がそう言いながら、流れるように獲物(拳銃)を構え、相手をいともたやすく撃ち抜いていく』


 「ん?」


 『凜がぼやきつつも、炎の魔法で敵を焼き尽くす』


 「んんっ!?」

 ――そして俺の武器は、鉄製の剣

 

 「不公平過ぎない!?」

 俺はどうやら不公平な役回りの様だ。

 

 

はい!これで第九話となります。これからもよろしくお願いします。

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