第1話 無料ガチャを回したら、本当に異世界のアイテムが出てきた
目が覚めたら、天井の下に見覚えのない文字が浮かんでいた。
《利用者認証が完了しました》
《ステータス機能を解放しました》
《固有スキルを付与しました》
午前6時18分。目覚まし時計が鳴るまで、まだ12分ある。
俺は布団に寝転がったまま、しばらく文字を眺めていた。寝ぼけているにしては輪郭がはっきりしているし、目を閉じても消えない。右を向けば文字も視界の中央へ移動し、枕に顔を埋めても同じ場所に浮かんでいる。
「……疲れてるのかね」
昨日は定時で帰宅し、缶ビールを1本飲んで午後11時には寝た。睡眠不足というほどでもない。
俺の名前は稲見圭吾。34歳、独身。
住宅設備メーカーの調達部で働いている、ごく普通の会社員だ。仕事は部品の発注、仕入れ価格の交渉、納期の調整など。派手さはないが、物の値段と品質を見比べることには慣れている。
趣味はゲームと、たまに行く温泉旅行。休日には料理もするし、給料の範囲でそれなりに楽しく暮らしている。
そんな俺の目の前に、どういうわけかゲームそのものの画面が現れていた。
「ステータス、か」
口に出した途端、表示が切り替わった。
《ステータス》
名前:稲見圭吾
年齢:34歳
種族:人間
レベル:1
職業:なし
筋力:10
耐久:10
敏捷:10
魔力:10
器用:10
精神:10
固有スキル
《デイリーガチャ》
《ノーマルガチャ》
《レアガチャ》
数字は見事に全部10だった。
平均値なのか最低値なのかも分からないが、少なくとも自分の身体能力が特別優秀だとは思っていない。ここ数年、運動らしい運動といえば駅までの徒歩通勤くらいだ。
試しにスマートフォンのカメラを起動し、画面の浮かんでいる場所を撮影してみた。
写真には、いつもの白い天井しか写っていない。
動画でも同じだった。
「俺にしか見えないってことか。便利なようで、誰かに相談するには困る仕様だな」
病院に行くべきか少し考えたが、頭痛も吐き気もない。とりあえず落ち着いて、何が起きているのか確かめることにした。
気になるのは固有スキルの3つだ。
意識を《デイリーガチャ》へ向けると、別の画面が開いた。
《デイリーガチャ》
利用料金:無料
利用回数:1日1回
本日の残り回数:1回
排出対象:N・R・SR・SSR・UR・LR
更新時刻:午前0時
その下には、色分けされた6種類の文字が並んでいる。
N、R、SR、SSR、UR、LR。
最後のLRは、おそらくレジェンドの略だろう。最高レアリティというやつだ。
ゲームなら珍しくもない仕組みだが、問題はこれが現実の俺に何をもたらすかだった。
続けてノーマルガチャを確認する。
《ノーマルガチャ》
利用料金:1回10,000円
排出保証:R以上
排出対象:R・SR・SSR・UR・LR
《レアガチャ》
利用料金:1回100,000円
排出保証:SSR以上
排出対象:SSR・UR・LR
「無料、1万円、10万円か。ずいぶん強気な価格設定だな」
普通のスマホゲームなら、10万円は相当な課金額だ。
まして相手は運営会社も利用規約も分からない謎のシステムである。金を払うのは、実際に何か手に入ると確認してからで十分だろう。
幸い、無料のものがひとつある。
俺は布団から起き上がり、カーテンを閉めた。誰かに見られるかどうかも分からないが、こういうことは最初から用心するに限る。
それから、画面に表示された《ガチャを引く》へ意識を向けた。
《デイリーガチャを実行しますか?》
《はい/いいえ》
「はい」
目の前に小さな光の球が現れた。
青白い光がゆっくり回転し、内部に何かの模様が浮かび上がる。やがて球の色が青から紫へ変わり、淡い光の粒を散らしながら膨らんだ。
《SR確定》
《スキル書を獲得しました》
《SR 鑑定の書》
次の瞬間、光の球がほどけ、1冊の本が布団の上に落ちてきた。
古びた革表紙。金色の文字で何かが書かれているが、見覚えのない言語だった。
俺は慎重に本を持ち上げた。
ずしりとした重さがある。表紙には細かな傷があり、鼻を近づけると古い紙と革の匂いがした。
「……本物だ」
軽く振ってみても消えない。指で叩けば硬い音がする。
少なくとも、ただの映像ではなかった。
本を開こうとしたところで、新たな説明が現れた。
《鑑定の書》
レアリティ:SR
分類:スキル習得アイテム
効果:対象の名称、品質、性質などを読み取る《鑑定》を習得する。
使用方法:所有者が使用を宣言する。
注意:鑑定可能な情報はスキルレベルに依存する。
「最初に鑑定が出るのはありがたいな」
何が出てくるのか分からないガチャで、手に入れた物の正体を調べられる。これ以上なく相性のいいスキルだ。
「使用する」
革表紙が温かな光を放ち、本は音もなく崩れた。
驚いて手を引いたが、紙片が床に散ることはなかった。細かな光が俺の手に吸い込まれ、指先から腕へ、じんわりと熱が広がっていく。
《スキル《鑑定 Lv.1》を習得しました》
恐る恐る手を開く。
火傷も傷もない。手のひらには普段と変わらない皺があるだけだ。
とりあえず枕元のスマートフォンへ意識を向け、《鑑定》を使ってみた。
《スマートフォン》
品質:良好
状態:正常
備考:バッテリー残量78%
画面右上の数字を確かめる。
78%。一致している。
次は机に置いてあったペットボトルだ。
《緑茶》
品質:良好
状態:開封済み
備考:飲用可能
さらに冷蔵庫から取り出した牛乳には、残りの保存状態について簡単な説明が表示された。
試しに自分の顔を鏡へ映して鑑定してみたが、そちらは《鑑定対象外》と表示される。
初期状態では物品専用らしい。
便利ではあるが、何でも見通せるわけではないようだ。
「レベルがあるなら育てられるんだろうな。これは使い道が多そうだ」
台所の椅子に腰を下ろし、ようやく実感が湧いてきた。
ゲームの画面が見えるだけなら、まだ説明のつけようはある。脳か視覚に何らかの異常が起きた可能性も否定できない。
だが、今の本には重さがあり、匂いがあり、確かに俺の手の中に存在していた。
しかも、その本を使って得た能力が機能している。
昨日までの世界にはなかったものが、俺の生活に入り込んできたのだ。
時計を見ると午前7時を過ぎていた。
今日は水曜日。仕事を休む理由として「朝起きたら魔法が使えるようになりました」は、さすがに通らないだろう。
ひとまず出勤することにした。
◇
会社では、いつもと変わらない午前中が過ぎていった。
発注先からの納期変更連絡を処理し、見積書を確認して、来月の調達予定を修正する。
不思議な画面が現れたからといって、部品の納期が延びるわけではない。むしろ仕事が減ってくれるなら大歓迎だった。
昼前、倉庫から呼び出しがあった。
「稲見さん、例の継手部品なんですけど、入荷品の一部に傷があるみたいで」
倉庫担当者が持ってきたのは、金属製の配管継手だった。出荷前の受入検査で、表面の状態が気になったらしい。
「どれ、見せてください」
手に取ると、表面に細い筋が走っている。
加工時についた傷にも見えるが、割れの可能性もある。外観だけで良否を判断するのは危険だ。
ふと、朝の能力を思い出した。
周囲に人がいることを確認してから、心の中で《鑑定》と念じる。
《配管継手》
品質:不良
状態:微細亀裂あり
備考:継続使用による破損のおそれ
思わず眉を寄せた。
確かに、これは見逃したくない情報だ。
「この筋、ちょっと気になりますね。品質保証に回して詳しく確認してもらいましょう。同じロットの製品も、検査が終わるまで保留にしてください」
「分かりました。先方にも確認します?」
「検査結果が出てからにしましょう。原因が分からないうちに決めつけるのはよくないですから」
担当者が部品を持って戻っていく。
俺はその背中を見送りながら、内心で少し興奮していた。
鑑定が正確なら、外観だけでは判断しづらい不良を発見できる。
もちろん会社の検査手順を無視するつもりはない。俺が見えるから大丈夫だと言い張っても、他人には何の証拠にもならないからだ。
それでも、この能力が実用品であることは分かった。
午後になって品質保証部から連絡が入り、詳細検査で実際に亀裂が確認された。
当該ロットは出荷保留となった。
検査を担当した社員からは「早めに回してもらえて助かりました」と礼を言われたが、俺としては倉庫担当者が異常に気づいたおかげだと思っている。
その日の退勤時、俺は普段より少し足取りが軽かった。
鑑定ひとつでこれだけ役に立つ。
だとしたら、ほかのガチャから出るものはどうなのだろう。
◇
帰宅後、シャワーを浴びて夕食を済ませた俺は、テーブルの上に1万円札を置いた。
朝から何度も考えた末、ノーマルガチャを1回だけ引いてみることにしたのだ。
決め手になったのは、昼間の出来事だった。
現実で使える能力が手に入ると確認できた以上、1万円という金額にも違った意味が生まれてくる。
もっとも、だからといって際限なく課金するつもりはない。
俺の貯金は約270万円。特別裕福ではないが、独身で大きな借金もないため、ある程度は自由に使える金がある。
ただし家賃や生活費、いざというときの予備資金には手をつけない。それだけは先に決めた。
「問題は決済方法だよな」
ノーマルガチャを選択すると、画面に《現金投入》という文字が現れた。
続いて、空中に手のひらほどの四角い枠が開く。
試しに1万円札を近づけてみると、枠の中へするりと吸い込まれた。
《10,000円を受領しました》
《ノーマルガチャを1回実行できます》
「……決済手数料も領収書もなしか。税務処理に困りそうな商売だ」
そんな心配をしても、相手はどこの国の法律にも登録していない存在だろう。
俺は椅子へ深く腰掛け、実行を選択した。
朝と同じ光の球が現れる。
今度は淡い緑色だった。
《R確定》
《R 見習い冒険者の収納鞄》
光が収まると、テーブルの上に茶色い革鞄が置かれていた。
肩から提げられる大きさで、革には使い込まれたような柔らかさがある。留め具はくすんだ銀色で、見慣れない紋章が刻まれていた。
「鞄か。1万円にしては、ずいぶん地味な当たりだな」
しかし、鑑定結果を見た瞬間に印象が変わった。
《見習い冒険者の収納鞄》
レアリティ:R
分類:空間収納魔道具
内部容量:1立方メートル
収納可能重量:30kg
機能:収納物の重量を使用者へ伝えない。
制限:生物収納不可。内部時間は停止しない。
俺は説明を読み直した。
「……空間収納?」
鞄の口を開く。中は普通の革張りで、底まで片手が届きそうに見える。
ところが、試しに500mlのペットボトルを入れると、途中で手応えが消えた。
鞄の底を探っても何もない。
慌てて取り出そうと考えると、手の中に先ほどのペットボトルが現れた。
「なるほど。そういうことか」
今度は2リットルの水を6本、順番に収納してみる。
すべて入った。
鞄を持ち上げても、重さはほとんど変わらない。肩に掛けても軽く、歩く邪魔にもならなかった。
押し入れからキャンプ道具を出して試すと、折り畳み椅子や寝袋も問題なく収納できた。
ただし、収納重量が30kgに近づくと警告が出た。容量だけでなく重量の制限も厳密らしい。
「これでRか。上のレアリティはどうなってるんだ?」
見習い冒険者の収納鞄。
名前からして、どこか別の世界では初心者が使う道具なのだろう。
こちらでは、十分に常識外れの品物だった。
俺は鞄をテーブルへ置き、改めてステータス画面を開いた。
朝は気づかなかったが、ガチャの項目以外にもいくつか機能が並んでいる。
《職業》
《装備》
《合成・統合》
《限界突破》
《召喚獣》
ただし、《合成・統合》と《限界突破》は灰色になっており、選択しても解放条件が表示されるだけだった。
《対象となるアイテムを取得してください》
《所定の条件を満たすことで機能が解放されます》
装備欄には武器と防具、アクセサリーの枠が並んでいる。
職業欄にはメイン職業がひとつ。その下に、鍵のかかったサブ職業枠がいくつか見えた。
職業を入手すれば付け替えられ、組み合わせによって別の職業へ発展する可能性もあるらしい。
「装備の強化に職業の組み合わせまであるのか。育成要素は相当多そうだな」
ゲーム好きとしては、こういう仕組みに弱い。
強い装備を一度手に入れて終わりではなく、素材を集めて育てたり、職業の組み合わせを考えたりできるなら、それだけで長く楽しめる。
もっとも、今は肝心の装備も職業もない。
手元にあるのは鑑定スキルと収納鞄だけだ。
それでも、たった1日で手に入れたものとしては十分すぎる。
俺は画面に残る《レアガチャ》へ視線を移した。
1回10万円。
最低保証はSSR。
実物の魔道具が手に入ると分かった今、この金額は単なるゲームへの課金ではなくなっている。
だが、10万円は10万円だ。
外れのない買い物とは限らない。SSRでも自分には扱えない装備や、用途の分からない素材が出る可能性はある。
俺は銀行口座の残高を確認し、生活費と予備資金を除いた金額を計算した。
趣味に使う金として考えれば、10万円はかなり大きい。
ただ、今後もこのガチャが使える保証はないし、得られるものの価値を知るには上位の排出品を一度確認しておきたい。
「よし。今日の調査費用は合計11万円。これで終わりだ」
自分に言い聞かせるように口にしてから、財布を持って家を出た。
◇
近所のコンビニATMで10万円を引き出し、帰宅した頃には午後9時を回っていた。
テーブルに並べた1万円札が10枚。
現金を前にすると、画面上の数字で見るよりもずっと重く感じる。
俺はもう一度、レアガチャの説明を確認した。
《レアガチャ》
利用料金:100,000円
最低保証:SSR
排出対象:SSR・UR・LR
10万円を支払えば、最低でもSSRが手に入る。
もちろん、その品物が俺にとって10万円以上の価値を持つかどうかは分からない。
それでも、朝から起きたことを考えれば試す意味はある。
俺は紙幣を束ね、現金投入の枠へ近づけた。
10枚の札が吸い込まれ、枠が静かに閉じる。
《100,000円を受領しました》
《レアガチャを実行しますか?》
《はい/いいえ》
深く息を吐いてから、《はい》を選んだ。
現れた光の球は、これまでの2回とは明らかに違っていた。
拳ほどの大きさだった球がゆっくり膨らみ、内部に銀色の模様が走る。表面を覆っていた白い光は次第に紫を帯び、部屋の壁や天井へ淡い光を投げかけた。
俺は反射的にカーテンの隙間を確かめた。
外から見えていたら、かなり怪しい。
数秒後、光の球が弾けた。
《SSR確定》
《召喚契約書を獲得しました》
《SSR 月影狼の召喚契約書》
「召喚……契約書?」
テーブルの上に、銀色の留め具で封じられた巻物が現れた。
手に取って鑑定する。
《月影狼の召喚契約書》
レアリティ:SSR
分類:召喚獣契約アイテム
召喚対象:月影狼(幼体)
属性:闇・風
特性:高い知能と索敵能力を持ち、成長によって固有能力が解放される。
契約条件:未契約の所有者が使用すること。
備考:召喚獣は実体を持ち、食事・休息・育成を必要とする。
なるほど。どうやら本物の生き物を召喚するらしい。
風や闇の属性を持つ狼がどれほど強いのかは分からないが、少なくともSSRという評価がついている。
しかも幼体なら、最初から手に負えないほど巨大な魔獣が出てくる心配も少ないだろう。
もっとも、普通の狼でもマンションの一室で飼えるような動物ではない。
俺はしばらく考え、部屋の中央に置いていたローテーブルを壁際へ寄せた。
床に散らばっていた雑誌も片づける。
召喚された生き物がどんな動きをするか分からない以上、ある程度の空間は確保しておきたかった。
「せっかく10万円払ったんだ。顔くらい見せてもらおうか」
巻物の留め具を外す。
途端に銀色の文字が浮かび上がり、足元の床へ複雑な円形の模様が広がった。
冷たい風が部屋の中を吹き抜ける。
閉め切った窓もカーテンも動いていないのに、頬だけを風が撫でていく。
《召喚契約を開始します》
《対象:月影狼(幼体)》
《契約者:稲見圭吾》
《契約を承認しますか?》
「承認する」
床の模様が強く輝いた。
光の中央に小さな影が現れる。
最初は丸まった毛布のように見えた。
やがて光が薄れると、そこには銀白色の毛に覆われた小さな動物が座っていた。
大きさは生後2か月ほどの子犬と変わらない。
尖った耳に、ふさふさの尻尾。額には淡い三日月のような模様があり、澄んだ青い瞳が俺を見上げている。
「……狼?」
小さな狼は首を傾げた。
そして俺へ近づいてくると、差し出した手の匂いを確かめ、温かな舌で指先を一度舐めた。
警戒している様子はない。
俺はゆっくり頭を撫でた。
毛並みは驚くほど柔らかく、指を沈めると体温が伝わってくる。
狼は気持ちよさそうに目を細め、そのまま俺の膝へ前足を掛けた。
「お前、ずいぶん人懐っこいな」
返事の代わりに、小さな尻尾が揺れた。
その頭上に、新しい情報が浮かぶ。
《召喚獣ステータス》
種族:月影狼
レアリティ:SSR
成長段階:幼体
レベル:1
契約者:稲見圭吾
忠誠度:100
固有能力:《月影》《風走》
成長限界:未確認
忠誠度100。
契約したばかりなのに、ずいぶん高い評価だ。
試しに《月影》を鑑定しようとしたが、現在の鑑定レベルでは詳しい情報を読み取れなかった。
上位のスキルになるほど、鑑定する側にも相応の能力が必要らしい。
俺は狼を両手で抱き上げた。
軽い。
だが、腕の中で身じろぎする感触は紛れもなく本物だった。
今日の朝まで、この世界に魔法も魔道具も存在するとは思っていなかった。
それが今では異世界の鞄を持ち、鑑定という能力を覚え、目の前には召喚された狼までいる。
これほど面白いものを手に入れてしまったら、明日の無料ガチャが楽しみにならないはずがない。
「とりあえず、お前の名前と飯を考えないとな。犬用の餌でいいのか、それとも肉の方がいいのか……」
狼は俺の顔を見上げ、尻尾を左右に振った。
その無邪気な様子に、思わず笑みがこぼれる。
ところが、ふと気になって賃貸契約書を引っ張り出した俺は、ある一文を見つけて動きを止めた。
《ペットの飼育は禁止とする》
腕の中では、SSRの召喚獣が満足そうに喉を鳴らしている。
「……10万円の買い物で、最初に悩むのが賃貸契約とはね」
どうやら異世界の力を手に入れても、現代日本の暮らしはそう簡単には変わらないらしい。
少なくとも、この小さな狼を安心して育てられる環境だけは、早めに用意してやる必要がありそうだった。




