第14話 ポインズマミー
はい、続きです!
ポインズマミーとなる魔物に出会った哲也達はすぐ戦闘に入った。
エリラが前衛、哲也は中衛、カレルは後衛と位置を決めてあり、バランスが良いパーティみたいになっていた。中身は微妙な者ばかりだが、ポインズマミー程度には負けることは予想してない。
そう、予想はしてなかった。
「なっ!?」
ポインズマミーは自分に巻いていた包帯を大量に投げており、前衛にいたエリラは包帯に囲まれて動けなかった。包帯は毒々しい色をしていて、毒があるのはわかりきっていた。
しかも、ポインズマミーはアンデットらしくない動きでこっちへ突っ込んでいた。
「早い! 話が違うじゃねぇかよ!?」
「そんな筈は……いや! 今はこの包帯を凌ぐぞ!! 私ならポインズマミーに殴られたって、効かないからなッ!!」
哲也はエリラの言葉を信じて、鎖鎌で包帯を散らすことに専念する。
カレルはランプを持ちながら、『呪死』を発動していた。だが、一瞬だけ動きを止めたかと思えば、すぐにまた走り出していた。
「レベルは向こうの方が高いようだ。包帯は全て捕まえたから、行け!!」
「任せろ!」
分銅を投げて、全ての包帯に絡みつけて捕まえていた。これなら包帯に触れずに、エリラがポインズマミーに相対出来るようになった。
ポインズマミーはエリラが向かって来ようが、脚を止めることはなく、衝突した。エリラはナックルで打ちのめそうとし、ポインズマミーも拳を出してーーーー手を開いた。
「グァッ!?」
手の中に隠されていた包帯が、エリラのナックルが届く前に身体へ届かせていた。それを喰らい、毒状態になって吹き飛ばされていた。
毒を使ってくることは知っていたので、エリラはすぐ毒消しを飲むが、ポインズマミーは既に哲也の前に出ていた。
もし、哲也を抜けてしまったらカレルがやられてしまう。『呪死』が一発で決まらなかった今は、接近されるとカレルには反撃する術がない。ナイフを持っているが、アンデットには驚異ではないので哲也が止めるしかない。
「『弱酸』」
哲也はそれを理解しているので、カレルまで行かせるつもりはなかった。まず、『弱酸』で牽制していく。
距離はあるが、牽制なので当たらなくたっていい。攻めてくる範囲を狭ばせて、作られた道筋が出来ていく。その道に入ったポインズマミーは顎へ分銅を喰らっていた。分銅は『弱酸』を発動してからすぐに投げていた。暗闇だったから、黒に近い色をしている分銅が見えず、あっさりと当たったかと思ったが…………
「グギィ!?」
「これも牽制のつもりだったが、お前は眼が見えてないな?」
今度は『弱酸』を当てようとしたが、横へ転がるように避けていた。
「おそらく、五感ではなく魔力を感じ取っていますわ!」
「だから、鎖鎌があっさりと当たった訳か。これで攻め方は決まったな。エリラ、回復したならカレルを守るように位置へ着け!」
「わ、わかった!」
毒を解除したエリラはすぐ立ち上がって、カレルの前に立つ。今度は哲也が前衛で戦うつもりだ。
「さぁ、さっさと片付けて帰るぞ!!」
「来たばかりで帰るわけないだろ。こいつを片付けたら、ゾンビを探して退治しに行くぞ」
「面倒くせぇ……」
邪なる魔力を扱えるポインズマミーがいたら、この辺りにゾンビがいる可能性が高い。先程の1体だけだと思えないので、ポインズマミーを倒したら探し出して退治すると、エリラは言っているのだ。
ゾンビ程度ならエリラとカレルに任せても大丈夫だろう…と考えていたら、ポインズマミーが黒い魔力を丸めているのが見えた。
「ギィィィーー!!」
その黒い魔力を丸めた物、『魔弾』が放たれた。
「おわっ!」
哲也はすぐ地面に伏せることで避け、後ろにいたエリラとカレルも地面に転がって避けていた。
魔力で出来た『魔弾』は魔法に近い類なので、エリラじゃ盾になれない。
もしもの時は容赦なく肉壁にするが…………
「なんか、背筋が寒くなったんだが?」
「風邪を引いたんじゃないか?」
「そうなのか……?」
勘が鋭いなと思いつつ、また『魔弾』を作り出そうとしている姿が見えたので、邪魔をすることに。
その邪魔は、既に準備を終えていた。
ポインズマミーの足元には鎖が丸の形に作っていた。その鎖を引っ張るだけでーーーー
「ギィッ!?」
発動する瞬間を狙って、仰向けに転ばさせていた。『魔弾』は夜の空へ紛れ、今度は分銅を空に向けて振り下ろしていた。その分銅は左腕を抉って砕いていた。
「ギィッ……」
アンデット族だから痛みはないが、ポインズマミーには生存本能が少しあったようで、勝てないと理解した瞬間に背を見せて逃げ出していた。
左腕を無くし、ヨタヨタと走りだが哲也達は逃がすつもりは無かった。
追って、トドメを刺そうとしたが…………
先に何かが降り注ぎ、ポインズマミーを焼き尽くしていた。その熱量が此処までも届き、咄嗟に後ろへ下がっていた。
更に、重い空気が降り注いで3人とも膝を付いていた。
「な、何が……」
「あそこだ!」
「なんか、光っている……?」
始めは小さな光だった。それが少しずつ大きくなり、草原全体を照らす程の明かりとなっていく。そして、その光が人型に変わって行きーーーー
「ーーーーやれやれ、知識を僅かに与えただけでは強くなれないか。……ほぅ、私が現れる前に跪くなんて、いい心掛けだ」
人間に近い何かが喋り始めた。そのシルエットは女性だとわかるが、逆光で姿がはっきりとわからなかった。
お前が無理矢理に跪かせているだろ! と言いたいが、巨大な魔力に威圧がその口を開かせてくれない。後ろにいるカレルが顔を青くする程に、それは巨大な力だった。
「私の実験に付き合ってくれた人間だな。ご苦労様と一言を送ろう」
「お、お前は……」
エリラが何とか声を絞り出し、何者か聞いていた。
「失礼。私の事をお前と言った無礼は、私の広い心で許してあげましょう。だが、名前を聞きたければ、貴方から名乗るのが筋でしょう。罰として、更に跪きなさいな」
そう言っただけで、エリラは更に跪くを超え、犬の様に伏せのポーズになっていた。
「ぐぅぅぅっ!?」
「では、自己紹介して差し上げましょう」
エリラに眼を向けず、話を続ける女性。
「私はリヒト。魔王軍で第五の魔将の地位を預かっているわ」
逆光が弱まり、その姿が見えるようになった。その姿は人間と変わらない少女にしか見えないが、額にはもう1つの瞳があった。聖女みたいな姿をした少女なのに、リヒトと名乗る女性は魔王軍に滞在する第五の魔将だと。それだけでも驚く情報だったが、まだ上があったーーーー
「そして、魔王の一人娘でもあるわ」
早速、魔王の娘に出会うことになってしまった哲也。この場をどう乗り切るのか、次回をお楽しみに!




