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影勇者の魔王殺し  作者: 勇者
神話魔術覚醒
20/25

影勇者は依頼を受ける

「シュウヤ! 面白い依頼を見つけたよ! きっとシュウヤにピッタリだよ!」


 とある日ーまあ勇者会議の三日後だがー、エリナが一枚の紙を持って、図書館なのに騒いでやってきた。うるさくて仕方がない。


「静かにしろ。で、どんな依頼だ? 俺にピッタリって何を絶滅させればいい?」


 聞き返すと呆れ顔で見てきた。殺すしか能がないのか。的なことを言いそうだ。


「殺すしか能がないの? 違うよ。そんな依頼じゃないよ。エリナとシュウヤとレイティアちゃんにとってもピッタリなんだよ!」


 ほら言ってきた。まあ別のことも言ったが、てか興奮しすぎだろ。回りから睨まれているじゃないか。ち、仕方ない。


「用件はここを出てからにしよう。うるさすぎて迷惑だ」


 立ち上がり、そう告げる。一応出してきた本を片付け、図書館を出る。それにエリナが着いてくる。


「で、どんな依頼なんだ?」


「護衛だけど特殊なタイプだよ。家庭教師、使用人として雇われる護衛だよ」


 家庭教師……ああ、そういやエリナは俺が颯天に色々教えてやっているのを知っているな。だから俺にピッタリなんだろう。

 それにエリナは一応宮廷魔導師。魔法の知識はそれなりにある。さらにレイティアは長い時を生きている精霊だ。歴史とかにはとても強いだろう。


「たしかにピッタリだがエリナ、使用人の真似事なんてお前にできるのか?」


 無論、レイティアにはできない。絶対にプライドが許さないだろう。エリナはなんか普通に無理っぽい。


「失礼な! エリナだってきっとできるよ! きっと!」


 ……………心配だ。非常に心配だ。


「ちなみに期間は1週間で報酬は200ギル」


 胡散臭い。それだけで200ギル………できれば受けたくない。だがエリナがやる気満々だ。どうしようか。


「レイティアに聞いてみるか」


「もう承諾は得てるよ? 後はシュウヤだけ」


「早いな。じゃあ受けるか。どうせ依頼主はどこぞの貴族だろう。爵位はせいぜい伯爵がいいとこだろ。俺も颯天も一応公爵の爵位を無理矢理授与されてるし悪いようにはされないはずだ」


 うん問題ないはずだ。一応証拠である金の懐中時計でも持っていこうか。何かあると便利だしな。


「うん。それがいいと思うよ。シュウヤの執事姿かぁ………似合いそうだなぁ」


「執事姿……? あれ着ないといけないのか? 窮屈だし動きにくいぞ? 過去に何度か着たけどあまり護衛には向いていないぞ」


 過去というのはもちろん元の世界でのことだ。潜入して標的を殺すために使用人に扮したが、殺すときに動きづらくて殺し損ねるところだったのだ。きっと殺しに向いてなかったし護衛にも向いていないだろう。


「いつの時代の執事服の事言ってるの? 今ではバリバリに動けるよ」


「なら早速ギルド戻って正式に受けてからレイティア連れていくか。向こうも依頼を受けてくれる人を待っているだろう」


 そう言ってギルドへ行き依頼を受け、向かった。

 このときの俺は油断していたな。まさか自分の隠していた事がバレかけるのだから。


 



………………………………………





「あなたが、《ドラゴンジュエル》から派遣されたBランク以上の魔導師様達ですね。お待ちしておりました。私はここの執事のアルトと言います」


 依頼主の屋敷の門の前に穏やかな顔をした白髪のじいさんが出迎えてくれた。出迎えるのは良いことだ。だが明らかに俺たちを値踏みしてやがる。こういうのは嫌いだ。


「ああシュウヤ待って! 落ち着いて! ね?」


 剣を抜こうとしていた俺をエリナが押さえる。エリナがここで抜いたりしたら不味いと言いたげだ。仕方ない、従っておく。


「アルトさんでしたね。早速案内してください。早く仕事に慣れたいんで」


「そうですね。こちらへ付いてきてください」


 アルトさんが門を潜って中に入る。それに続いて俺とエリナ、レイティアも入る。


「それではまず軽く魔力の測定を行いましょうか。残念ながらお坊っちゃんとお嬢様に教えるためにはお二人以上の魔力がないといけないので」


 案内されるがまま歩くとある一室で止まった。この部屋には水晶が置いてある。あれは魔力測定器だな。


「なぜ、そうしないといけない。俺達の仕事は護衛だろ。家庭教師と使用人はカモフラージュのおまけなはずだ」


「家庭教師は結構本気で行ってほしいのです。私達のような中途半端な魔力を持っている者では教えても嫌がるのです。『自分より劣っているやつに教わりたくない』とお坊っちゃんが仰いまして、お嬢様もそれに流されてしまい………なのでプロの魔導師にお願いしたかったのです」


「ち、一度受けた仕事だ。エリナ、お前も魔力を測れ。もちろん魔力を流しすぎて水晶を壊すなよ。かなり値が張るらしいから」


 エリナに行動を促す。それにエリナは頷いて水晶に手を乗せ、詠唱をする。それにより水晶の色が金色に光る。その様子を見ていたアルトさんが驚いた表情をしている。


「次は俺だな」


 そう言ってエリナを軽く労いどけて、水晶に手を乗せる。俺はエリナと違い詠唱しない。俺の魔力はエリナと違い、普段から溢れ出ている。つまり、別に俺の意思で魔力を込めたりしなくても勝手に漏れた魔力が測られる。そしてその結果は真っ黒に輝いた。イメージとしては輝く大理石?


「これは………お二人とも十分です。お坊っちゃんとお嬢様もあなた方なら教わってくれるでしょう。そうですよね。お二人方」


 奥の扉が開く。俺はたいして驚かない。なぜなら入った瞬間に素人的な気配の消し方を行っている二人の気配を感じ取っていたからだ。だが俺はあえて何も言わず二度だけ見るだけにしてほっておいた。


「確かに、僕たちが気配を消しているにも関わらず気付いたみたいだし、僕たちより魔力量も多いみたいだ。まあ認めてやらんこともない」


 そう言って出てきたのは13くらいに見える金髪碧眼のツンツンした髪の男の子。俺が気付いていたことに気付いていたのか。中々やるな。


「お兄様、ノーラはそちらの殿方の目付きが怖いです」


 そしてもう一人、こちらも13くらいの金髪碧眼、髪は腰まで垂らしてある女の子。俺を指差して言っている。


「大丈夫だノーラ。僕たち二人が相手だと手も足もでないさ。おいお前! 先にどちらが強いかはっきりさせておく必要があるな。付いてこい。修練場でコテンパンにしてやる」


「お前じゃない。秋夜だ。依頼主から命じられている護衛対象だ。怪我は負わせられない。だが坊っちゃん。貴方の事は結構気に入った。いいだろう少し相手になってやろう。俺に傷を与えることができたら勝ちだ」


 簡単だろう? と言わんばかりに見てやった。すると坊っちゃんは挑発をしたのにも関わらず冷静でいる。全然突っかかってこない。やはり伸び素がある。


 そうして無言のまま案内された。ここにいるのは俺と二人のみ。エリナ達には来るなと言っておいた。


「坊っちゃん、名前は?」


「僕の名前はノイル・カートランド。覚えておくがいい。いつか勇者よりも早く魔王を倒す者の名だ」


 ノイル坊っちゃんから魔力が放出されているのがわかる。思っていた以上に魔力量が多いみたいだ。その様子を見たノーラお嬢様も同じくらいある。二人合わせればエリナの三分の二くらいあるのではないだろうか。


「まあ到底俺の域まで達しないがな」


「嘗めるのはこれを見てからにしろ!」


 弾丸のようにノイル坊っちゃんが飛んできた。魔力強化をしているのだろう。魔力強化って結構難しいと書かれていたんだがな………


「《ライトニング》」


 稲妻が上から飛んできた。ノーラお嬢様もいることをすっかり忘れていた。ノーラお嬢様も魔力強化を使っているのか。レベル高いぞ。


「二割半ってとこだな。まあ負けるの嫌だし三割だ。おめでとう。人相手に三割以上を出したのはお前達で多分三回目だ。ついてこいよ?」


 ニヤッと笑い、《ライトニング》を避けるついでにノイル坊っちゃんの死角に移動する。ノーラお嬢様がいきなり消えたことで驚いた表情をしている。


「後ろだ!」


 そう言ってノイル坊っちゃんから後ろ蹴りがきた。勘が良いな。


「《エンペラー・ライトニング》」


 おっと、横から雷魔法最上級の魔法が飛んできた。いや、実際は最上級ではないのだが一般からはこれが最上級とされている。


「受けてやろう」


 ノイル坊っちゃんの後ろ蹴りを膝蹴りで相殺し、ノーラお嬢様の魔法を片手で触れ、純粋な魔力を流し消しきる。


「「え」」


 二人同時に声を発した。その表情から読み取れるのは化物とでも言いたそうだ。


「俺を化物とでも言いたいか? いいぞ言っても。だがその時点でお坊っちゃんとお嬢様は負け確定だ」


 恐怖すれば確実に負ける。どの世界でもそうだ。いや、極希に恐怖すると強くなる。例えばシマウマ。ライオンに追われて恐怖するだろ? それにシマウマは普段以上の速度で逃げきる。だが恐怖してしまって筋肉が固まり、逃げ切れないのもいる。


「お兄様。『合体魔法(ユニゾン)』をしましょう」


「そうだな。僕たち二人が勝つならそれしかない」


 決断をしたようだ。当たって砕ける気だな。面白い。俺の魔力に合う人がいないから『合体魔法(ユニゾン)』見たことないがなかったが、見れそうだ。どれ程の威力か確かめよう。


「来い。五割以上を出してやる。七割だ」


 どんどん二人の魔力が跳ね上がっているのがわかる。どれだけ『合体魔法』すごいんだよ。だが、俺の六割にすら達していない。防げる。


「《ライトニング・ストリーム》」


 おお、すごいな。名前はどこにでもありそうな魔法名だがかなり強力な魔法だ。雷の嵐とでも言おう。それが俺めがけて一直線に飛んでくる。


「《ダーク・トリニティ》」


 頭の中で魔法陣を描き、右手を突き出して唱える。そうすれば発動する。多少威力が下がっているが、相殺するにちょうどいいくらいだろう。


 二つの魔法がぶつかり合う。どちらも強力だと思う。ずっと均衡して止まっていた二つの魔法は消えた。それに追い討ちをするべく高速で魔法陣を描き、展開していく。


「さあどうする? 今俺が詠唱すれば二人とも重症だぞ。降参するか?」


「……………仕方がない。降参だ。シュウヤさんを1週間の教官として、護衛として認める。だからその魔法陣を消してくれませんか?」


「良いことを教えてやろう。昔師匠がいたんだがな、まあその師匠がかなりのスパルタで、初めの修練は耐えろとか言ってメチャクチャ殴られたんだ」


 何を言っているんだと言いたげな顔をしている。まだ気付いていないのか。仕方ない。


「初めの教官としての修練だ。今展開している100の中級魔法、全て耐えろ。逃げ場は防がせてもらう」


 そう言って血の檻の中に閉じ込め、全ての魔法を起動させる。タイムという時間差で発動する技術を使っているので全てまとめて飛んでいく心配はない。


「師匠にやられた腹いせかよぉ!!!!」


 それがノイル坊っちゃんの最後の言葉だ。一時間後、あまりに遅いと様子見にきたエリナが来たとき、二人はもう意識なく倒れていた。


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