影勇者は拷問する
「で、なんのようだグレイ。呼ばれる理由はないと思うのだが」
機地竜討伐の依頼から一週間が経った。ちょうど動かなかった左腕が生活するのに不備がない程度に動くようになった。だから呼ばれたのかもしれない。
「取り敢えず座ってくれ」
グレイは王だから玉座に座っている。ちなみにこの王の間と呼ばれている部屋には椅子が1つしかない。もちろん玉座だ。つまり床に座れということだ。
「死ね。グレイが床に座れ。俺がその椅子に座る」
無理だと思いながら言ったのだが「まあいいか」等と言って玉座を降りて床に座った。それを見てアホだと思いつつ玉座に座って足を組んだ。
「で、何のようだ? 俺も暇じゃない。そろそろ魔王の納めている土地の攻略法を考えている。正直面倒だがな。ここの宰相に任されたんだよ。元帥に兵の特徴を聞きに行かないといけないし、暇じゃないんだ」
大事なことだから二度言った。本当にあの日以来、第一騎士団長がほぼ俺一人で片付けたり、機械であることに気付いていたなど言いふらしたお陰で忙しくなってしまった。
「全く、皆シューヤが逃げたとか裏切ったなどと騒いでおったのに………現金なやつらだのう」
まあそんな噂がたつだろうな。きっと選りなと駆け落ちしたとかも流れただろう。
「まあいいからさっさと用件を言え」
座りながらグレイを蹴った。それと同時に知らない人が入ってきた。
「王様…………キサマァ! 王に何をしている! そしてなぜ玉座に貴様が座している! 切り捨ててやる!」
そう言って剣を抜き突進してくる青年。いい訓練をしているのだろう。動きが素早い。だが俺からすれば遅い。さてどうするか。グレイの顔を見れば殺すなと言いたげな顔をしていた。面白いことをしよう
「動くな。動けばグレイの首が飛ぶ」
グレイの首に剣を突きつけた。それでも止まらず突進してくる。こいつは1つのことの気がいくと他に気がいかなくなるタイプの人間か。どうしようか。剣をへし折ろう。
「雑魚が」
剣と剣が重なり、青年の剣が俺の剣に斬られた。魔剣と市販の剣じゃあ話にならないだろう。にしても豆腐のように斬れたぞ……
「く」
青年が殴りに来た。それを避けて避けて避ける。全く当たらない。型はいい。いや、逆によすぎて推測がいきやすい。
「……」
拳を握り殴る無言で殴り続けた。若干可哀想に思いつつ殴り続ける。青年は呻き声をあげて気絶した。
「というわけで用件は?」
「今のを無かったことにするのか……では本題だ。シューヤに拷問をしてもらいたい。ソーマがシューヤは拷問が得意と言っていたのでの。そしてその後、『グロウヴィル帝国』へ単独で行くから護衛を頼む」
拷問……被害者は機地竜の操縦者だろう。『グロウヴィル帝国』へ行くのは様子見だと思われる。
「ま、大体わかった。一週間もらう。その間に吐かせる。どうだ?」
「三日。三日で終わらせて欲しい。そして行く。その間に魔王の納めている土地の攻略の準備を行わせる」
「ちょっと待て、三日で攻略法と拷問だと? はっきり言おう。無理だ」
「わかっておる。攻めるのは『グロウヴィル帝国』だ。まだ暫定だがな。帝国が黒の場合、攻め落とす」
「それでもだ。考えろ。向こうにも勇者はいるんだ。こちらにもいるが経験が違う。颯天が相手をできるわけない。あいつは優しすぎるから対人は無理だ」
「シューヤがいるではないか」
言うと思った。だがダメだ。俺はあくまで颯天のおまけ、颯天より目立つのはまずい。
「ダメだ。無茶だぞ。向こうは機地竜を製造している。あれの強さは桁違いだ。勝てる可能性は0に等しい」
「だからこその拷問だ」
こいつ………ヤバイやつだ。話が通じない…
「……………………もういい。時間の無駄だ。できる限りやる。だからいいか?」
「分かればよい。やつの居場所は地下監獄じゃ」
俺は玉座を降りて地下監獄へ向かう。もちろん拷問のためにだ。
……………………………………………
「なあ、情報をはいてくれないか? こっちも忙しいんだよ。これ以上吐かないなら体に害があることされるぜ?」
俺が来た時に尋問が行われていた。
「お、もう来たのか。ま、取り敢えずあっしはこれで」
知らない人が俺と代わった。まあここにいるということはそれなりの地位の人だろう。
「あんた、大量の酒を持ってきてくれ」
「? 了解」
俺の要求はあっさり通った。
十分後
「もってきた。これはどうするんだ?」
「百刻みと呼ばれる拷問だ」
百刻みとは……酒を大量に飲ませて酔わせ、痛覚が麻痺している状態で肉を削いでいくという拷問。
「それじゃ、頑張って」
そう言って帰っていった。結局どんな地位の人間かは分からなかったがどうせ攻略の時に見るだろうからおいといていいだろう。
「最後に一度きくが、吐く気はないんだな」
「………………………」
無言で睨み付けてくる。反抗の意思を表すとは…ならば方針は飴と鞭ではなく、酒と剣だ。
被害者に酒を大量に飲ませる。かなり吐かれたりしたが最後には酒樽1つを飲み干した。被害者の顔は真っ赤だ。目の焦点もあっていない。
だが本番はこれからだ。意識のあるうちに被害者の肉を削いでいく。被害者は目を見開いてやめるように懇願している。だが情報を言ってもらわないとやめられない。
「さっさと情報を言ってもらわないとやめられない。言え。一日でこの仕事を終わらせれば二日間戦略を考えられる」
「クソ! この国がこれほどの拷問を有しているなんて! 頼むよ! もうやめてくれ! 血が出てる!」
「やめて欲しいか? 他にして欲しいか? もっと酷いぞ?足から順に切り落としていくが?」
脅しながら肉を削いでいく。痛みはないはずなのに喚いている。騒がしい。
「アアアアアァァァァァ。じ、じぬぅ。いいのかよ捕虜を殺じで……」
「よかったな。出血多量で死ぬことはない。ちゃんとギリギリで残してやる。やめて欲しいなら言え」
「う、わがっだ。言う言う。だがらやめてぐれ!」
よし、結構早く終わった。次は質問タイムだ。
……………………………………………
「それじゃあ報告させてもらう」
「帰り次第無理とか言いながら三日でこなしたところはさすがだの」
結局三日かかってしまった。嘘かもしれないからで何度か同じことをすると三日かかったのだ。だが完璧だ。
「所属はやはり『グロウヴィル帝国』特務研究員などという役職であの機地竜は試作品らしい。だから新たに作られていなければ二つとないらしい。森へ入った理由はそこにいると兵士が来ると思うからその兵士を潰せと命令されたかららしい。機地竜の正式名称はマグナ・カルマらしい。それで…………」
「もういい。報告は帝国に行きながらしてくれ。出発は明日の朝だ。よろしくの」
「ああ、一応やってやる。だが、死んでも責任とらない。自分の身は自分で守れ。俺の目的はもとの世界に戻ること。だから死にたくない」
「わかっておる。ま、今日は休め」
「言われなくても休む。疲れた」
俺は部屋に戻った。その道中レイティアとエリナに会って明日からは二人で行くことを告げて行こうとしていたのを止めて終わった。




