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第一話

"レジェンドパック、闇の神の軍勢"


 村の教会の中、そう記されているカードパックを見てクロキリ ヴァンは、息を飲む。


「封入されているのは闇の神に関するカードばかりの、強力パックだ!!」


 クロキリの"開封の儀"を見に来ている村人の一人が、そう口にした。


 この世界で暮らす人間が15歳になった瞬間、その目の前に、数多種類があるカードパックの中の一つが現れる。


 そしてその中には、パックに応じたランダム1枚のカードが入っている。


 クロキリはそんなパックをゆっくりと開封し、一枚のカードを取り出した。


"闇の神 アリシア"


 それはまさにそのパックの中で、一番の当たりであるカードであった。


「す、すごい……」


「レジェンドレアのカードなんて、初めて見た。伝承じゃなかったんだ」


 見物人である村人達から発せられるそんな言葉が、クロキリの耳に届く。


 クロキリが引いた瞬間そのカードは具現化し、とある存在に姿を変えた。


 ヘラヘラとしたむかつく笑みを見せる少女だ。


 ハートのイラストのついた真っ黒なTシャツに、膝上10cmくらいまでの長さの真っ白なミニスカをまとった金髪ツインテールの少女には 真っ黒かつ先端がトランプのスペードのような形状になっている尻尾が生え、自らの身長の何倍の長さもありそうな、これまた真っ黒な翼も有している。


 クロキリはその少女を、まじまじと眺めた。


「これで、正義の国に一矢報いることができるかも……」


 クロキリは静かに、そう口にした。





 そしてそれから、数年の時が経った。数年後クロキリは神のカードを用いて世界を賑やかしている……のではなく、畑を耕している。


「今日もせいが出るねぇ」


 クロキリの幼馴染であるレイラが、クロキリに笑いかける。真っ白な長い髪に、朗らかな顔、大きな胸を持つレイラの明るい声により、張り詰めているクロキリの気持ちがほぐれた。


「今年はいい野菜がとれそうだよ」


 クロキリが笑顔でそう返答する、そんな午前中。


「きゃはははははははははは、本当、毎日毎日ご苦労なことねぇ」


 闇の神アリシアは畑の側で倒れている木にこしかけ、大きく伸びをしている。


「アリシアちゃんもおはよう」


「おはよ」


 アリシアは手をひらひらと振った。


 クロキリは、なんとももどかしそうな顔をする。


(もう少しこの子が協力してくれたらなぁ)


「なんか言いたそうな表情ね」


 鍬を持つ手を止めてアリシアを見るクロキリに対してアリシアは、嫌な笑顔を見せる。


「いや、いつもよく僕を助けてくれるなって思ってさ」


「あら、どういたしまして」


 アリシアは、皮肉を華麗に回避した。


 クロキリは指パッチンをした。すると、カードが一枚現れる。


 "闇の神 アリシア"というカードだ。


 種類 :パートナーカード

 レア度:レジェンドレア

 戦闘力:0

 効果 :汎用カードを使用する際に体力を消費し、消費した体力に伴い、そのカードを強化する


 そのカードには、そんな文言が書かれている。"開封の儀"でのみ手に入れられるパートナーカードは手に入れた瞬間に具現化され、所有者と共に生涯行動するという前提を元に考えると、まぁ使いづらいカードである。


 まず戦闘力0というのは、言わずもがなだ。


 クロキリはレイラの肩にちょこんと座っているリスのようなモンスターの"炎纏いリス"を見て、思う。


(炎纏いリスは戦闘力2000だから、この闇の神様は、あのリスにすら勝てないんだよなぁ)



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