17 骨騎士、今の勇者を知る
森の道を進む。
日の光が木々の隙間から差し込み、鎧の金属がきらりと光る。
その横で──
〈リリ〉
「レイセル様〜! 待ってくださいってばーっ!」
バサバサッと小さな翼を全力で動かしながら、リリが追いかけてくる。
〈レイセル〉
「飛ぶのが下手なのか、お前は」
〈リリ〉
「ひ、ひどい! これでも全力なんですよ!?
インプは飛行速度Eランクなんですからね!」
胸を張るが、すぐに木の枝にぶつかりそうになり、慌てて避ける。
〈レイセル〉
「……で、何の用だ」
〈リリ〉
「あっ、そうでした! レイセル様の目的って、結局なんなんですか?」
レイセルは歩みを止めず、淡々と答える。
〈レイセル〉
「仲間の子孫を止める。
あいつらの悪事を終わらせる」
〈リリ〉
「おおーっ! かっこいい!
“悪を断つ骨の勇者”って感じですね!」
テンションが高い。
だが、すぐに首をかしげる。
〈リリ〉
「で、その後はどうするんです?」
〈レイセル〉
「……その後?」
〈リリ〉
「はい! 全部終わったら、レイセル様はどうするのかなーって!」
レイセルは答えられなかった。
〈レイセル〉
「…………」
〈リリ〉
「あっ、もしかして……
“旅の途中で見つけるタイプ”ですか!?
それとも“実はもう決めてるけど言わないタイプ”!?」
〈レイセル〉
「どっちでもない。考えてなかっただけだ」
〈リリ〉
「えっ、そこ素直なんですね!?」
レイセルはため息をつく。
そんな中、リリは急に真面目な顔になった。
〈リリ〉
「……レイセル様。
ひとつ、大事なことを言わないといけません」
〈レイセル〉
「なんだ」
リリは飛ぶのをやめ、地面に降りて向き直る。
〈リリ〉
「魔王軍は今、“最強の勇者”に狙われてます」
レイセルの足が止まる。
〈レイセル〉
「最強の勇者……?」
〈リリ〉
「はい! レイセル様が倒れたあと、何人もの勇者が魔王城に攻めてきましたが……
その勇者が魔王城に攻めたきたらとても危険なんです!」
翼をバサバサしながら、リリは続ける。
〈リリ〉
「魔王様はその勇者を“不屈の勇者”って呼んでます!
もう、ほんとにしつこいんですよ!
何度倒しても心が折れないんです!」
レイセルは黙って聞いていた。
〈レイセル〉
「……なんか聞いたことがあるような……」
〈リリ〉
「だから……レイセル様が強くなるの、すっごく大事なんです!
子孫を止めるのも大事ですけど……
その後、どうするのかも……セレナ様は気にしてると思います!」
レイセルは前を向き直る。
〈レイセル〉
「……そうか」
〈リリ〉
「はい! だから、ちゃんと強くなってくださいね!
私も全力でサポートしますから!」
〈レイセル〉
「お前、監視役だろ」
〈リリ〉
「サポート“も”です!!」
森の奥へと歩き出すレイセル。
その後ろを、リリが元気よく飛びながらついていく。
湖上都市ミラージュまでは、まだ道のりが長い。




