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ごくあく魔王 と あんさつメイド の た・て・な・お・し?  作者: 功野 涼し
狩る者 狩られる者

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3


「「今日の配信はお終いなのじゃ! それじゃあ~いつものをやるのじゃぞ! せーのでいくのじゃ!」」


 広場に響く元気な声。


「「せーの、オツモモ~!」」


 モニターに映る魔法使いモモちゃんと広場にいる小さな子供たちや、ノリのいい男女たちが声を合わせてお別れの挨拶をする。元気に手を振るモモちゃんとの別れを惜しむ子供たちの「バイバーイ」の合唱が響く中、また会う約束をしたモモちゃんを映すモニターが消え、配信を楽しんだ人たちがまばらに帰って行く。


 人々が楽しい気持ちを持ち帰っていくと代わりに静寂が徐々に入れ替わり、広場に居座り始める。


 そんな中、いそいそと帰る準備をする二羽のガーゴイルがお互いの持ち物をチェックして、通信で帰る旨を伝え飛び立つ。


「今日も大盛況だったな」


「魔法使いモモちゃんは人気ですからね」


 2羽のガーゴイルが今日の盛況っぷりを語り合う。


「明日から休みだったな」


「えぇ、4連休です。どこか羽を伸ばしますか?」


「そうだな、ノルデン様の城を見に行くのもいいかもな」


「いいですね」


 会話を交わしていた2羽のガーゴイルだが、突然翼が動かなくなり失速する。息をすること同等に当たり前に飛ぶことができていた2羽が同時に飛べなくなる。突然の出来事に意味も分からないまま、必死に羽ばたくが成す術なく急降下していく。


 焦った顔で下降しながらも必死に羽ばたくガーゴイルたちを白い光が包む。


「こ、ここは⁉」


 真っ白な空間に倒れていたガーゴイルが、起き上がったと同時に掴まれ持ち上げられる。


「は~い、はじめまして。カラミィーテちゃんです」


 カラミィーテに握られたガーゴイルが大きく目を見開く。


「あれぇ~あたしと君ってはじめましてだよね。なのにその驚いた表情……あたしのことを知ってるなぁ~」


 左手で掴まれたまま頬をぐりぐりとされるガーゴイルがくちばしをパクパクさせる。


「ねえねえ、教えてほしいんだけど、魔法使いモモちゃんってオレガノって名前なの?」


 カラミィーテの質問にガーゴイルはくちばしをグッと閉じて無言を貫く。


「あ~あ。黙っちゃった。困ったなぁ~」


 わざとらしく喋るカラミィーテが、右手を振ると地面を這ってその場から逃げようとしていた、もう1羽のガーゴイルの体を光のリングが縛り締め付ける。


 縛られ立つことができずにガーゴイルはごろんと転がってしまう。くちばしで光のリングを突っついて抵抗するガーゴイルを見てカラミィーテは歯を見せ笑う。


「ざんねーん。逃げることも、外界に通信とかもできないよー」


 ニマニマと笑うカラミィーテが、指を鳴らすと光のリングに縛られたガーゴイルは宙に浮いてカラミィーテの手に収まる。


 右手と左手にそれぞれガーゴイルを握るカラミィーテは、2羽を交互に見る。


「それじゃあ、ゲームでもしよっか! 先に喋った方だけ助けてあげるってゲーム。どう? 助かりたいなら喋ればいいんだからね。よーい、スタート!」


 ゲーム開始の合図がなされるが、2羽のガーゴイルはくちばしを閉じて黙ったままカラミィーテを見る。絶対に喋らないという強い意志を2羽が見せると、カラミィーテは口を尖らせる。


「う~ん、忠義に厚いな。それじゃあ、ルール変更! 喋ったら自分は死んじゃうけど、相手は助けてあげるってのはどう? つまり喋ると自分の命と引き換えに友達を助けることができるんだよ」


 突然のルール変更、なによりも内容に2羽のガーゴイルが戸惑ってしまい、互いに見つめ合う。


「おおっ、悩んでるねぇ。うぷぷぷ、さてさてどっちが先に喋るかなぁ、右かな左かなぁ~」


 ニマニマと笑うカラミィーテを2羽のガーゴイルが悔しそうな表情で睨む。


「こわ~い、そんなに睨まないでよぉ。そうそう、喋るなら魔王オレガノとクミン、ローリエの3人についてぜーんぶ喋らないとノーカンだからね」


 3人の名前が出た瞬間、2羽のガーゴイルの目が大きく揺れる。


「あはっ、動揺してるし! わかりやすーい。君たちが知ってるってのバレバレだよ。噓つくのヘタだねぇ~。それじゃあ、噓のつけない純粋で優柔不断な君たちに代わって、優しいカラミィーテちゃんがどっちが死んじゃうか決めてあげる」


 そう言った瞬間カラミィーテが右手を強く握ってガーゴイルを粉々に破壊する。


 粉々になった同僚を見たガーゴイルが目を大きく見開くがすぐにカラミィーテを睨みつけ大きくくちばしを開け怒りをぶちまける。


「誰が貴様のような血も涙もない化物なんかに喋るか!」


 怒鳴るガーゴイルの頬をぐりぐりと人さし指で押すカラミィーテが、ゆっくりと右手を開いて、掌の中をガーゴイルに見せつける。


「これ、なーんだ」


 カラミィーテの掌に載る小さな丸い黒い石を見たガーゴイルの顔を恐怖が支配する。


「ガーゴイルってさ、石の像に命が宿るんだよね。そして体の中には核ができる。ガーゴイルの命を司る核、それだけを取り除くなんてことは、カラミィーテちゃんには朝飯前なわけ。つ・ま・りっ」


 放心状態になったガーゴイルをカラミィーテが満面の笑みで突っつく。


「君たちの記録したことは、核を通してぜーんぶ見れちゃうわけ。ぷぷぷっ、だからーどんなに君たちがだんまりしてても無駄でしたぁー。はい、ざんねーん!」


「貴様ぁあああっ! お前のような化物など我らが魔王オレガノ様が倒してくれる‼ 覚悟をしておけ!」


「やーん、こわーい」


 棒読みで体をくねらせ怖がるフリをしたカラミィーテが、左手をぎゅっと握ってガーゴイルを締め付ける。そして苦しそうな表情をするガーゴイルを見てニンマリと笑みを浮かべる。


「君の核から直接記録を抜くからもう喋んなくていいよ。ばいばーい」


 大きくくちばしを開け最後になにかを叫ぼうとしたガーゴイルを、カラミィーテは笑いながら粉々に砕く。


 左手をそっと開き、石や砂が落ちていくと現れた丸い石を摘まむ。


「ふふ~ん♪ このガーゴイルたちがオレガノとクミン、ローリエを知っているのは間違いないっと。さてさてとーどんな記憶が見れるかな」


 カラミィーテが右手に持ったガーゴイルの核に魔力を込めると、核はぼんやりと光を放ち始める。


「へぇ~、ふんふん。これは面白いね……こっちはっと」


 もう1つの核に魔力を込め記憶を抜き出して興味深げに何度も頷く。


「正直びっくりしたな。ティフォンお姉ちゃんとエリュプを倒したんだ。星渡りの勇者として各星を旅して出会ったあたしたちのうちの2人をね。この核に倒したときの記憶はないから詳しくは分かんないけど、ダンジョンに誘い込んでやっちゃうわけか」


 どこか嬉しそうに笑うカラミィーテが2つの核を指で摘まんで粉々に破壊する。


「いい情報ありがとう、ロロイくんとナキキくん! 優しいカラミィーテちゃんは君たちの思い出を忘れないからね。君たちの協力に感謝して、4連休じゃなくて永久に休みをあげちゃう」


 帽子のつばをくいっと押して上を向くと、カラミィーテを中心に光が孤を描いて走り周囲の白い世界を消し去っていく。


 街道から外れた林に立つカラミィーテは歯を見せてニンマリと笑う。


「2羽の信号がここで消え、あちらは北に注目するはず。トルナードには予定通り東の魔王のところで暴れてもらうとしてと。あたしを探りには誰がくるかな? まずはこのガーゴイル部隊を束ねる魔王オレガノ軍の丸っこい四天王、サフランくんの登場ってとこかな? あの子結構可愛いフォルムしてるから捕まえてペットにしてあげようかな」


 カラミィーテは、これからのことを考え楽しくなったのか口を押えぷぷぷと笑う。

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