[EPISODE1]CHAPTER7-OPENFIRE
若干の暴力表現が含まれます。
〔THE CITY|中央島|中央区|スラント四丁目|クラブスラップウェイト地下駐車場|PM 13:22|ブリーフィング〕
スラント四丁目にあるクラブスラップウェイト、その地下駐車場へ大型のバイクに乗ったアルフィンとサイドカーに乗った二階堂が現れる。地下駐車場には自警団白烏の団員達とSWEEPの隊員たちが集っていた。
「おう、ニカイドー」
「よぉ、ジミー」
SWEEPの隊長である黒人の男が二階堂に声をかけた。名はジミー・ローズヴェルト、都市警察内に設立された特殊部隊SWEEPの現在の隊長だ。
◇ー◇
ジミー・ローズヴェルト / Jimmy Rosevelt
性別:男
年齢:30代
職業:都市警察特殊部隊SWEEP・隊長
特記:元・中央区区役所職員
◇ー◇
「お前がいるってことはそういうことか?」
ジミーの問いに二階堂は頷いて返す。
「なるほどな」
ジミーは納得した。
◇
二階堂のリングフォンが鳴動する。空間投影された画面にはメイベルの名前が映し出されていた。
「俺だ」
『ニカイドー、その周辺のセキュリティは掌握したわ。後は派手にやるもよし、静かにやるもよしね』
二階堂はアルフィンに向いて軽く頷く。
「分かった。これから最終確認に入る。お前も参加してくれ」
◇
〔THE CITY|中央島|中央区|スラント四丁目|クラブスラップウェイト|PM 13:41|ショータイム〕
クラブスラップウェイトはストリップクラブである。大音量のクラブミュージックが巨大なスピーカーから流れ、大勢の男たちが欲望のままに紙幣をばら撒く。そんな異様な空間の中、二階堂は注意深く辺りを見渡しながらフロアをかき分ける。
「……いた」
二階堂は小さく呟く。VIP席で派手に酒を飲む男が一人、事前にリングフォンに送られた写真と一致している。二階堂は、G18Cの手動安全装置を解除し、VIP席へと近づいていく。
「お姉様からの伝言だ」
VIP席に立ち入ると同時にG18Cの銃口を男に向ける。
「ちっ!」
男は氷が入ったバケツを二階堂に向けて投げ付ける。男の反撃に二階堂は少し怯んだ。その隙をついて男は二階堂を横切り逃げ出す。
「くそっ!」
二階堂は素早く男に向けてG18Cの狙いを定める。
「野郎ども、あいつをぶっ殺せ!」
男が叫ぶ。刹那、男の仲間であろう男たちが一斉に短機関銃【IM10】を二階堂に向けて発砲する。二階堂は男が残したであろうキャリーケースの裏に素早く隠れる。
「アルファ、スコーピオ!」
リングフォンに向かって二階堂は叫ぶ。刹那、ジミーを含むSWEEPの隊員たちが雪崩れ込む。
「ジミー、ここは任せる! 俺は奴を追う!」
「わかったニカイドー!」
◇
〔THE CITY|中央島|中央区|スラント四丁目|クラブスラップウェイト地下駐車場|PM 13:44|ショーダウン〕
男は地下駐車場で自分の車を目指して走る、走る、走る。
「くそっ、なんでバレちまったんだ!」
悪態をつきながらも徐々に車へと近づいていく。
「メリ姉、標的捕捉。距離300メートル」
エリーが双眼鏡で男の姿を捉える。メリッサはWA2Kのスコープ越しに男の姿を捉える。
男が車のドアノブに手をかけた瞬間、メリッサは男の手に狙いを定め、引き金を引いた。
WA2Kから放たれた300WMライフル弾が男の手を貫いた。
「ぎゃぁ!」
「外すわけないわよ、こんな簡単な事」
男は車のドアを背にへたり込む。そこへ二階堂が近づいていく。
「あと、これはお前が殺した女たちからの伝言だ」
二階堂はポケットから数枚の一セント硬貨を取り出し、男の目の前に落とす。
「わ、一セントの暗殺者……」
眉間に一発。そこで男の意識はブツッと消えた。
次回でEPISODE1終わり。な、長かった……。