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第2話:言葉を持たない家族と、黒いカフス

「声を発するセリフ」

『手話を使用した会話』

【筆談を使用した会話】

《モールス信号を使用した会話》

(心の中、ひとり言)

ちょっと多いですがこんな感じで会話をしていきます。


長谷川はせがわ 統護とうご

年齢:27歳(10月18日)

バースデーカラー / 色言葉:マロウブルー(薄い青紫) / 「繊細・お人好し・不屈の情熱」

髪色/瞳『黄檗色きはだいろ』/黒色

色彩の詳細:緑みがかった、くすんだ黄色(パステルイエローよりも、少し渋みと深みのある鮮烈な黄色)。

冒険者階級:Eランク アイアン

属性:不明

世界観の補足:17歳で異世界勇者召喚された。髪色のせいで嬉しくもない勇者の称号を剥奪され、そのまま追放された。冒険者になるも10年という苦節を味わいなが

らも、お人好しで色んな人を拾ってくる。

襟にフードが付き フードと服を繋ぐところに房飾りが付いてて黒っぽい甚平型の服、腰に長ーいベルト、野良袴、靴はゴツめのブーツ、腰に愛剣(長年使ってるのでボロボロ、鍛冶師が旅からなかなか帰ってこない)

現世に兄弟が2人いた。夜な夜な(アイツら大丈夫かな...?)と心配してる。

森を抜け、隠蔽魔法を施したスラムの奥深く。

統護とうごたちが拠点にしているアジトの扉を開けると、中から一人の少年が顔を出した。

ツンツンとはねた赤茶色の髪に、鋭い眼光。彼の名はクロウ。生まれつき耳が聞こえない彼は、この世界から弾かれかけていたところを統護に拾われた男だ。

言葉も文字も知らなかったが、統護が教えた手話や文字、モールス信号を天才的な速度で会得し、今や独学で他人の唇を読む『読唇術』まで使いこなす、頼れる家族の一員だった。

アジトに入ってきた統護が、見慣れない翡翠色の髪の少女をお姫様抱っこしているのを見て、クロウの眉がピクリと跳ねる。クロウはすぐさま、流れるような手話で統護に問いかけた。


『──大将、その女は? トラブルの匂いがする』


統護は少女をそっと安価だが清潔なソファへと横たえながら、片手で手話を返す。


『森で盗賊に襲われていた。護衛は全滅。足に怪我を負っている。』「フェン、救急箱を持ってきてくれ」

「ガウ! わかった!」


フェンがバタバタと奥の部屋へ走り、すぐに救急箱を持ってきた。統護は手際よく少女の右足首に冷たい湿布を当て、包帯を巻いていく。

10年の冒険者生活で、この程度の応急処置はお手の物だった。その時、ソファの上で少女は身を震わせた。

彼女の耳は問題なく聞こえている。だからこそ、大将と呼ばれた男と赤茶髪の少年が、一切の「声」を出さず、ただ手の軌跡だけで完璧に会話を成立させている光景に、激しい衝撃を受けていた。


(手で……お互いの意思を、言葉を伝えている……?)


声の出せない少女にとって、それは世界のすべてがひっくり返るような光景だった。

この世界の人間は、誰もが長い詠唱(声)こそが至高であり、声を持たない自分を「無能」と切り捨てた。なのに、この人たちは声を使わず、手だけで対話している。怯えと驚きが混ざった視線を向けるシィルに対し、クロウはふっと鋭い表情を和らげ、目線に合わせて腰を落とした。

そして、ゆっくりとはっきりと手を動かす。


『安心しろ。俺たちは敵じゃない。君を傷つけない』

「……?」

「安心しろ、俺たちは敵じゃない、君を傷つけない、そう言ってるぞ」


統護はクロウの手話を翻訳してやると、少女は耳でその言葉を聞き、同時に彼らの優しい動きを見て、小さく息を呑んだ。

喉を震わせ、何かを伝えようとするが、やはり掠れた音しか出ない。


「あ……、う……っ……」


悔しそうに俯く彼女の前に、統護は古びたメモ帳とペンを差し出した。


「無理に喋ろうとしなくていい。代わりに、これを使ってくれ」


少女はハッとしたようにそれを受け取ると、迷うことなくペンを走らせた。

──サラサラと、流れるように美しく、洗練された文字が紙の上に紡がれていく。


【私の名前は、シィルです。ただの旅人です】


それを見た統護は、内心で鋭く目を細めた。

この世界は識字率が信じられないほど低い。スラムの住民はもちろん、同業の冒険者ですら、自分の名前を歪な文字で書くのがやっとという有様だ。

統護が教えたからこそクロウは読み書きができるが、それはこの界隈では異常なことだった。そんな世界で、これほど滑らかに美しい教養のある字を書く「ただの旅人」などいるはずがない。


(間違いなく、まともな教育を受けられる上流階級の──訳ありの人間だな。まぁ俺も人の事言えた義理じゃねぇか……)


それが彼女の精一杯の嘘なのだと直感しつつも、統護はあえて追及しなかった。


「そうか。俺はトーゴ。こっちのがクロウで、そこの元気なのがフェンだ」


シィルはメモ帳に【助けてくれて、ありがとうございました】と書き、統護を真っ直ぐに見つめた。

その一途な光を宿す瞳に、統護は再び現世の恋人・つむぎの面影を強く感じ、胸の奥を焦がす。

統護はポケットを探り、一つの小さな『黒いイヤリング』を取り出した。それは魔力を通すと特定の振動を伝える、魔道具の試作品だった。

統護はそれをシィルの手にそっと握らせる。


「シィル、これを持っておけ」


シィルが不思議そうに首を傾げると、統護は自分の手をトントンと叩いてみせた。


「それに《ト・ト・ト・ト》と4回、短く合図を送るんだ」


統護は意味まではあえて教えなかった。ただのお人好しの、彼なりの不器用な気遣いだった。


「細かい意味はいい。とりあえず、それを4回叩いて合図をくれれば──俺たちが世界のどこへだって、お前を助けに駆けつけるから」


声を持たないシィルに与えられた、確かな「SOS」を届ける道具。シィルは胸が熱くなるのを感じ、黒いカフスを愛おしそうに胸に抱き締めると、何度も、何度も、声にならない感謝を伝えるように深く頭を下げた。

そんな彼女の姿を見て、統護はふっと目元を緩めると、自分の右手のひらを左手の手背に重ね、そのまま前方へ流れるように滑らせてみせた。


「シィル、頭を下げなくていい。声が出ないなら──これが、この手触りが『ありがとう』だ。覚えておけ」


シィルは目を見開いた。そして、今教わったばかりの動きを真似るように、自分の小さな手を重ね合わせ、真っ直ぐに統護を見つめて、その手を滑らせる。

『ありがとう』言葉を持たない二人の心が、静かに、しかし強く繋がり始めた瞬間だった。




(第2話・了)

・シィル (Ciel)

年齢:21歳(5月16日)

バースデーカラー / 色言葉:エメラルドグリーン(深翠)/「純真・一途な愛・静寂の美」

髪色/瞳:『翡翠色ひすいいろ』/黒色

色彩の詳細:パステルグリーンの透明感のある美しい薄緑色。

属性:不明

世界観の補足:本作のメインヒロイン。森で盗賊に襲われているところを大将トーゴとフェンに救出された。現在はアジトのお留守番して、スケッチブックの筆談でみんなと心を通わせるアジトの宝物。みんなのあざと可愛い癒やしのお姫様。


お読み頂きありがとうございます。

次回も楽しみに!

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