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絡まった糸。
――カズは美夏ちゃんのことが好きじゃないの?
五時間目の授業中、僕はさっきの翔子の言葉を反芻していた。
美夏のことは…好きだよ。
色々あったけど、やっぱり今でも好きな事は変わらない。
ずっと一緒にいたいし、慶太郎と別れたって聞いたときはちょっと嬉しかったっていうか…なんかほっとした。
だからこそ、美夏にはアメリカに行って欲しくない。
けどアメリカに行っても行かなくても、美夏と僕が離れ離れになるのは必然といってもいい。
学力に差がありすぎるから、もし美夏が日本の高校へ行ったとしても、僕はその高校へ入学することはできないだろう。
けれど、美夏が日本にいてくれれば、道でバッタリと会えるかもしれないし、美夏にも会おうと思ったら会える。
――どうしたらいいんだ、僕は。
この想いをどうしたら……?
絡まった糸をほぐしているときのように、いらついて仕方がない。
……美夏に会いたい、今すぐ。
どうなるかわからないけど、どうなったっていい。
もう絶対自分の想いに、目をそらさない――。