願い。
「…なにが?」
翔子の質問の意味がわからず、聞き返す。
「なにが?じゃなくて、美夏ちゃんとのことよ!」
翔子が僕に詰め寄る。
「えっと…」
「美夏ちゃん、慶太郎くんと別れたんだってね。それってカズが関わってんの?」
「いや、それは別に…」
翔子のすごい剣幕に圧倒される僕。
「じゃあ、なんで?!」
「…好きな人がいる……って」
翔子はその途端、はっと息を飲んで黙りこんでうつむいた。
「告白は…?したの?」
「一応」
「一応?」
僕の答えに翔子が眉根を寄せる。
「でも、無理って」
「それって美夏ちゃんが付き合ってる時でしょ?」
「うん…」
頷く僕。
「もう一回告白してみたら?心が変わってるかも…」
「無駄だよ」
「……なんで?」
翔子がわけがわからないという様に僕を見る。
「だってアイツ…アメリカ行くし」
翔子が驚いたように一瞬、目を開く。
「――んなの関係ないじゃん!カズは美夏ちゃんのことが好きじゃないの?好きならそんなこと関係なくない?!」
「なんで、翔子がそんなに感情的になんだよ!」
翔子の声につられて僕の声もだんだん大きくなっていく。
「カズと美夏ちゃんが幸せになってもらいたいからに決まってるでしょっ…!」
そう言う翔子の目には溢れそうなほどの涙が溜まっていた。
その姿を見て、すこし冷静になる。
「……ごめん」
「…っ。幸せになってよ…お願い」
翔子は涙を流して僕にそう頼んだ。
僕はそれをただ見つめることしか出来なかった。




