美夏からの電話。
ようやく二人の呪縛から逃れた僕は疲れきっていた。
なんなんだ、あの二人は。
ハンパねぇ。
自分の部屋に入ると、ベッドに飛びつき、そのまま熟睡。
「カズぅ~、電話ぁ」
母が寝ている僕の肩を揺する。
「んぁ~もうちょっと・・・あとじゅっぷ・・・ん・・・ZZZ」
「美夏ちゃんていう女の子から。声は真凛ちゃん並みに可愛いよ。でなくていいのね?」
「美夏!?」
一気に目が覚めた。
ものすごい辛いミントガム食べた時くらいに。
「でるのね?」
母がにやっと含み笑いする。
それを無視して受話器を取った。
「代わったけど・・・もしもし?美夏?」
「――寝てたの?」
「まぁね。ちょっと疲れてたから」
声と手が震える・・・。
美夏にはわかりませんように。
「それより、珍しいね。そっちから電話かけてくるなんて」
「・・・翔子ちゃんと別れたんだってね」
「よくしってんね」
「結構有名だよ。私のクラスでも」
「マジでか。・・・勉強どう?はかどってる?」
「ぼちぼちね」
「そうなんだ」
会話がぷつんと途切れる。
何を話したらいいんだ――!!?
「なにか用事があんの?」
美夏がこんな話をするがために電話するとは思えない。
「――なんもないよ」
「本当に?」
「なんとなく・・・声が聴きたかったの・・・」
今なんて言ったんだ?『なんとなく』から聞き取れなかった。
「ゴメン。声が小さくて聞こえなかったんだけど」
「なんでもないっ!!」
「そう言われたら、なんか気になる」
「細かいこと気にするなっ!じゃ、今から英会話スクールあるから切る!」
「えっ。ちょっ」
プープープー―・・・。
なんのためにあいつは電話してきたんだ?
僕は耳に受話器を当てたまま、首をかしげた。




