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南藤の恋。
その後、南藤は目から涙を流して謝っていた。
「他の娘?」
そんな南藤に少し引き気味の翔子が首を傾げる。
「ぐすっ。はい」
鼻水をすすりながら、今日起きたことを涙声で話し始めた。
「それは、朝の電車の中だったさ――。
僕たんがあの娘と出会ったのは。それはそれは、運命的な出会いだったさ!
まぁ、ぼくたんほどのイケメンアーンド優等生だから、モテるのもしかたないんだけど~」
ウザったい南藤の語りを省いて、簡単に言うと――
今日の朝、南藤を好きという女の子に出会ったという。
正直、その女の子を尊敬してしまった僕だった。
「で、告白されてどうなったんや?」
雅が口を挟んだ。
「いや、告白はされてないさ!」
「は?」
僕たちは呆然として南藤をみた。
「ただ、あまりにも僕の顔を見てたから、絶対に僕たんのこと好きさ!」
南藤のそのおめでたい脳に心底、呆れてしまった。