表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
装虹のエルギア  作者: 谷橋ウナギ
第四章『聖なる者』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/194

四章 第七話 シーン1〜2



 これは数百年も前の話。

 ガルグはこの時旅人で、とある大国を訪れた。国の名前はバリオス鉄国だ。ドワーフが建国した国であり、当時は平和な国家であった。

 ガルグは既にオーラを偽装する魔法を完成させており、仮面無しで様々な国々を巡る旅を趣味で行っていた。

 そんなワケでガルグは馬に乗り、バリオスの首都にやってきた。本題とは関係ないのだが、黒い馬で名前はビークである。

 ガルグはそのビークを馬小屋に、預けて巨大な正門を潜る。鉄国と名乗るだけはあり、金属製の立派な門である。ドワーフは鉱物の加工など、鍛冶仕事を得意とする種族だ。門だけでなく街並みも含めて、美しい金属細工が多い。

 その大通りを暫く行くと、ガルグはドワーフ達に囲まれた。それなりに警戒はしていたが、彼等の存在に気づけなかった。

 ドワーフは背の低い種族であり、全員十代中盤に見える。もっとも金属の鎧を着込み、かなりゴツい姿になっているが。


「ガルグ・ブレッドマン殿ですね?」

「そう言うお前らはバリオスの騎士。しかも手練ればかりを集めたな?」

「流石はガルグ殿。その通り」


 その騎士の中の一人が言った。

 一際豪華な鎧を見ても、彼がこの騎士達のリーダーだ。それは間違いが無いだろう。つまりまず殺すなら彼である。

 ガルグは魔力を溜めて身構えた。


「勘違いめされるな、ガルグ殿。我々に貴方への敵意は無い」

「敵意の無い奴らが囲むかよ」

「そうだが事実殺し合う気は無い。こちら側の指示に従う限り、危害は加えないと約束する。なんなら書面にしても良い。民衆に対し宣言をしても」


 しかし騎士の男は無手のまま、ガルグに向かって片膝を着いた。

 なんのつもりかは知らないが、これなら首を落とし放題だ。嘘は無い、と示すつもりなのか。


「その指示ってのを言ってみろ」


 そこで一応ガルグは確かめた。


「我が主が貴方に会いたいと」

「興味は無いな。それに義理も無い」


 ガルグは聞いて直ぐに返事した。しかし、考えを改める。


「そう言われたら主はこう言えと。『伝説の鍛冶師イム・フェルム。私は貴方と話がしたい』」

「前言撤回。興味が湧いた」


 ガルグは騎士に言われ即答した。

 主が何者かは知らないが、間違い無く危険な存在だ。なにせガルグと鍛冶師イム・フェルムがイコールだと知る者は限られる。聖剣と魔剣。それだけだ。

 それに聖剣か魔剣なら、ガルグの実力をも知っている。つまり逃げる隙などは与えない。その上で騎士は片膝を着いた。

 ガルグも俄然興味が湧いて来た。良い意味でも、悪い意味でもだ。


「お前、名前は?」

「ランデルです」

「じゃ、ランデル。頼みがあるんだが……」

「馬小屋の代金は払いました」

「お前の主、ホントに何者だ?」


 ガルグは立ち上がったランデルを、鋭い視線で貫いた。



 ガルグが同行に承諾するとランデル以外はその場を去った。よってガルグはランデルと二人で、バリオス王城の地下へと進む。長い螺旋階段を降りて行き、扉を潜って廊下を進む。

 すると二人は広い場所に出た。そこは円柱状の空間で、その中央に巨大な剣がある。切っ先を下にして設置された、幅広で諸刃の輝く剣。


「これが我らが主。帝剣です」


 それこそがランデルの主だった。


「剣が主? 気でも触れたのか?」


 それを聞きガルグは皮肉を言った。

 確かに剣は非常に巨大で、圧倒的魔力を保っている。ただのインテリアであるはずがない。ガルグでなくとも直ぐ解ることだ。

 しかし、それでも剣は剣である。


「まずは私から説明を。主から既に指示されています」


 するとランデルはガルグに言った。


「この帝剣は我々ドワーフが製造した、『導く者』なのです。外部の情報を入力すると、正しい行いを示してくれる」

「賢論種よりも正確に、か?」

「はい。人は愚かな存在ですし。ハーフの貴方ならば解るのでは?」


 ランデルの説明は詩的である。が、ガルグはそれでも理解した。

 おそらくこれは剣の形をした、巨大な計算機のような物だ。人より遥かに正確に、求める答を教えてくれる。しかし機械は自ら動けない。根底となるデータが必要だ。


「なるほど。それで情報交換か」

「はい。貴方の持った情報量は、他の個体を超越していると」

「ま、良いだろう。ただし『交換』だ。そっちの情報も教えて貰う」


 ガルグも知りたいことがある。聖剣の行方。魔剣の行方。イム・フェルムだと知っていた理由。挙げていけば枚挙に暇が無い。

 と、ガルグが言うと──ランデルと、帝剣の間に光が走る。とは言え攻撃の魔力ではなく、通信魔法の一種のようだ。おそらく情報量が多いため、可視化するほど魔力も多いのだ。

 その光線で指示を受け取ると、ランデルはガルグに対して言った。


「主は了承しています。ただ直接会話はできないので、私を通して──となりますが」

「俺も構わない。じゃあ始めようか」


 こうして巨大な剣とガルグとの、不思議な会話が始まった。


感想評価お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ