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装虹のエルギア  作者: 谷橋ウナギ
第四章『聖なる者』

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四章 第五話 シーン1〜2



 長い時を経てしこりがほぐれ、和解に至ることもあるだろう。しかし逆に新たな憎しみや、恨みが生まれることもある。

 講習会から一夜明けた朝。ツリーランド王城の一室で、男は腕を組んで立っていた。皮鎧を着込んだ人間の、整った顔立ちをした男。その目の前には金属の──塊が無音で佇んでいる。


「ふ。これが国王の末路とは。いや、封印は慣れているのかな」


 男はその塊に問いかけた。しかし答が返るはずも無い。

 と、そこに彼の部下が現れて男に向かって報告を上げる。部下も男で皮の鎧を着た、まだ若い兵士風の人間だ。


「ススケル。王城は占拠した」

「だろうな。頭を失ったのだ。抵抗しない者は……」

「わかってる。俺達は暴徒とは違うからな」

「そうだ。我々には理想がある」


 ススケルと呼ばれた男は言った。

 すると部下はススケルに問いかける。


「ところでヘイザーはそれで良いのか。封印魔法で固めてあるが……」

「この男は腐っても人間だ。それを捕まえて殺したところで、我らの理念は広まらん」


 ススケルは鉄の塊を睨み、その上で部下の問いに返事した。


「なるほど。流石ススケルだ」

「この男はクサビだ。変わり行く、この世界を繋ぎ止めるためのな」


 ススケルは腕を組んで呟いた。



 その日の夜。レグスの会議室。

 石で作られたその部屋に、ガルグはリリエとアズマを呼んだ。もっともまだ彼等は森の中。ムース・コロニーに留まっている。よって通信魔法を利用した、半透明体での参加である。

 ガルグはその二人に現在の、ヘイザーの状況を説明した。


「と言うワケで、ヘイザーが捕まった。ツリーランド王城は占拠され、騎士団は城を包囲して待機。絶賛にらみ合いの最中だ」


 そのまとめがこの発言であった。


「ふん。奴も存外に情けない」

「おいアズマ。そいつは酷いだろ。ヘイザーだって努力はしてるんだ」


 ガルグはアズマの文句に言った。

 大体ガルグ達が妖怪で、ヘイザーは十分に秀才だ。とは言え捕らえられてしまっては、言い訳にもならない気もするが。

 それにもう一つの要因もある。


「ですがガルグ様。何故ですか? ガルグ様なら傀儡を利用して、計画を察知していたのでは?」

「傀儡も無限じゃねーんだよ。最近帝国側に出し過ぎて、領地側が手薄になったんだ。それでも俺が気づけなかったのは、手落ちとしか言いようがないけどな」

「えと、つまり……」

「半分俺のせい」


 ガルグはキッパリ言い切った。しかしくよくよと悔やんではいない。

 それよりやるべき事をやる。それが生き残るためのポイントだ。


「つーわけで奴を取り戻す。『ゼイガスの後継者』によるとだな、交換の条件はこの俺だ」

「行く気だな?」

「正解。流石アズマ」


 ガルグはアズマを素直に褒めた。あっちは苦々しい表情だが、ガルグとしては知ったことではない。


「無論、作戦はちゃんとある。お前らはそのままで待機しろ。帝国がこれに噛んでいるのなら、おそらく動きが有るはずだ」


 ガルグは二人に本題を告げた。

 つまりヘイザーを助けるために、ガルグがレグスに向かって動く。するとその穴を埋めるため、リリエとアズマがレグスに向かう。ムース・コロニーに穴が開くわけだ。

 それを防ぐのがガルグの狙い。つまりこの会議の本題である。


「心配するな。死ぬ気はねーからな」


 ガルグは言って部屋を出た。


感想評価お待ちしております。

最近寝坊気味ですみません。

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