了:舞ちゃんの長い名前について
「ちなみに舞ちゃんのフルネームは……来栖舞・ウランピヨン・キラキラキラルのキラキラリン・クロノクロミのチョンマゲリータのピンクバーレのフラッグ・かすや」
「長いな、おい」
いきなりつらつらと来栖の言い出した言葉は、キラキラネームにもほどがあるほど、幼児の考えた自分のかわいい名前リストなのだろう。ここまでゆくと、さすがにすごいと言えるレベル。
そういえば、ウランピヨンやキラキラキラルはよくわからないが、チョンマゲリータは来栖が前髪結んだ舞ちゃんを、からかうために何度か言っていたのを聞いたことがあるし、ピンクバーレは舞ちゃん自身が自称していた。ピンクが好きで、バレリーナになりたいから、くっつけてピンクバーレなのだろうだ。
「ちなみに、かすやってのは、オンラインバトルガールってアニメキャラの明日香からきてたりする」
「かすってもいないじゃないか」
「だからかすやなんだろ?」
あすかとかすや、三文字ということと真ん中の言葉が”す”である以外の共通点がみつからない、素晴らしいほど明後日な間違い方だ。口に出して言えば、少しは似ているのかとつぶやいてみるが、まったくもって似ていない。
やっぱり舞ちゃんは、耳が悪いのか記憶力が悪いのかと、ちょっとばかり疑ってしまう。
「ちなみに、ウランピヨンは全く元ネタがわからないんだけど、キラキラキラルもキラキラリンも、キラキラ城のお姫様とかキラパワーとか……アレだ、魔法美少女戦士系のアニメのパクリだ」
「クロノクロミもわからないよ」
「うん、それとフラッグは私もわからない……どっからきたのやら」
「まぁ、舞ちゃんだし」
「まぁな」
とりあえずそれで納得できてしまうというか、まぁ、しょうがないよねで飲み込んでしまえるのは、やっぱり舞ちゃんかわいさ故というところか。
これからもどんどん名前が増えていきそうなところだが、中二まであと十年、来栖は頑張って全て覚えておいて、そのうち黒歴史として大人になった彼女につきつけることだろう。
「あ、でも……とりあえず、最近はずかしがるようになったから、一つ進歩かも」
「恥ずかしがるけど、増え続けるのか」
「そりゃ増えるでしょう、十年ぐらいは……」
どうやら、舞ちゃんの黒歴史は、きっちり記憶され続ける予定のようだ。




