↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/20

「くーせん」風船

「風船?」

”ふ”と”く”とで異なってはいるが、くーせんはそのまま風船のことだろうとすぐにわかった。なんとなし感じるものがあったというよりも、来栖の視線が、給水器セールスマンが配る風船にいっているからだ。

 長細い風船を膨らましては、器用にもくりくりと捻って剣や花、犬やウサギを作っている。ちょうど今、小さな子が花の腕輪を付けてもらったが、ちょっとかわいらしくて、私も欲しくなっちゃうレベルだ。

 もちろん、その子どもの母親らしき人は、そのセールスマンとペアの人に説明を受けて困り顔を浮かべていたりする。私なんかが行ったところで、セールスに応えることはできないし、風船だけ欲しいってわけにもいかないだろう。

「うん、舞ちゃんへのお土産にちょっとほしいな」

「こらこらこら」

来栖の腕を引いて一歩二歩離れると、来栖の視線も風船からこちらへ戻ってくる。戻っては来るが、その足がおもちゃコーナーへ向かったあたり、風船を買って自作する気なのかもしれない。

「うきゅうってほうがよかった?」

「なんだそりゃ」

「気球と混合ってのもあるんだけど、浮くし球だから……って話かなぁ? 一回こっきりだったし、やっぱり風船といったらく~せんだからこっちだけどね」

うきゅうとくーせんと……とりあえず、舞ちゃんは間違えのバリエーションも豊富なようだ。

「ん? 待てよ、なんで意訳が入るんだ……」

「あ、バレタ」

思わずツッコミ入れると、来栖はぺろりと舌を出した。

「私がさ、浮く球体だからうきゅうって言うんだよ~って教えたんだけど、定着しなくってねぇ……ホント、すぐくーせんを覚えてきちゃうんだから侮れないよ」

「姪っ子にウソ教えるなよ」

ウソを教えた来栖の言葉を信じず、舞ちゃんはどこぞで間違いを覚えてきたらしい。保育園に通っているのだから、読み聞かせやお友達との関わり合いででてきたのだろう。どうせなら、正しい言葉を覚えてきてくれるとよかったのに……。

「いやぁ、ちょっとした出来心で……」

「そんなだから、信用されないんだ」

「えっ、そこに行きつくの?」

まいったなぁとか言っているが、やっぱりこいつが舞ちゃんに信用されないのは、自業自得以外のなにものでもないらしい。そういうのが散り積もって、今のこいつと舞ちゃんの関係をつくっているのだろう。

「うきゅうって言う舞ちゃんってば、最高にかわいかったんだよ?」

「そんなことは聞いてない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。