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第4話

辺りから聞こえる音は風が吹く音。

風に揺られてさざめく木々の音。

そして・・・・・。


「う、う~・・・・・・・」


本のうめく音。

私が、3つの問いを問いかけて既に5分は立っているのではないだろうか?

当然、本は私の納得いく答えを出しているわけがない。


「うー・・・・、う~・・・・・」


本に手があったら顎に手を当てて考えてるんだろうな。

まぁ、本に手が生えて足が生えてたら、焼却して灰も残らないようにしてやるけどね。


「・・・・・う~・・・・・だめだっ!!」


おっ、諦めたらしい。本は岩の上で匙を投げた。


「ないのね?私が納得できる答えが。だったら手伝う理由はないよね。じゃっ、そういうことで!」


よっこらしょと腰を上げると、私は片手を振って本をその場に置き去りに、歩き出した。


「ま、まてまて!!ど、どこに行く気だ!?」


本が慌てて私を引きとめようとするので、わざと深いため息をついて本の方に振りかえった。


「っはぁ~・・・。元の場所に戻ってみるのよ!もしかしたらそこになにかあるかもしれないでしょ!」


先程から最初にいたであろう場所は見えているのだ。

ならば、そこに戻って確かめなければ。

ほら、良く言うじゃない。なんとかは現場に戻るって・・・。

あれ?なんか違うな。現場百篇?・・・・・ん~。ま、いっか。とにかく、そんな感じよ!そんな・・・(汗)


「て、ことで、じゃぁ!!」


再び片手をあげて私は最初にいた場所へと歩いた。

てくてくてく・・・・・。

しばらく、歩いた所で後ろを振り返ってみると、やはり本は岩の上に置かれたままその場から動いていなかった。良かった。足が生えて歩きださなくて。

・・・何か叫んでいる声は聞こえないことにした。


「とにかく、なんとか元の世界に帰る方法をみつけないと・・・。あ、そういえば、携帯!!」


ふと、スカートのポケットに携帯を入れていた事を思い出す。


「あんなに存在をわすれた事のないコレを忘れるとは・・・。よほど、焦ってたのか。私・・・」


ごそごそと携帯を取り出すと、案の定、ここは圏外。


「ちっ!!・・・絶対そうだとおもったけど、やっぱり圏外か」


ふと、画面に目をやるとメールが3件入っていた。


「ここに来る前にメールが来てたのかな?」


そう思って、全く前も見ず歩きながら受信BOXを開く。

いつもの癖で、時間の古いものからメールを確かめる。


「あ、お姉ちゃんからじゃん。・・・あぁ、おめでとうメールね。ありがとう。って、返信おくれないんだけどねー。ごめんよ、お姉」


「次はっと・・・。ん?なにこれ?迷惑メールかな?」


よく入ってくる迷惑メール。アドレスは全く知らないアドレスだ。

タイトルが、『お誕生日おめでとうございます!!』


「・・・個人情報漏れてんじゃん!!ダメじゃん!!」


ぷりぷり怒りながら、メールを一応開いてみる。


「なになに?・・・」


『本日、お誕生日を迎えた貴方様に素敵なプレゼント!


 貴方のお生まれになった時間に貴方が願った願いを叶えます!


 さぁ、何を願うか考えて!


 その時間になると、貴方の願いが叶いますよ(^_-)-☆』



「・・・・・・・何これ」


意味がわからない。というか、なんだか最後の顔文字に腹が立つ。


「生まれた時間?」


今日が誕生日なのは覚えているけど、さすがに生まれた時間までは覚えてない。


「あ、でも、私が生まれる時、あまりに痛すぎて全ての物が憎らしくなった。とか言ってたよな~。・・・窓の外に見えた太陽とミンミンうるさい蝉を落としてやろうかと思ったとか、なんとか言ってた気がするから、とりあえずは太陽の昇っている時間帯だってことだよね~」


ふと、ママの言っていた言葉を思い出す。


『もう、アンタってば、予定日過ぎても生まれないし。生まれるかと思うとその年一番の真夏日に生まれるから、ママは汗だくで病院まで行ったわ~!!それなのに、いざ分娩室にはいって産もうと思うと、今度は詰まって出てこないんだから!!もう、本当陣痛って何度体験しても痛いものは痛いのよ?なのに、いくら力んでも出てこないから、周りにいたお医者様や看護婦さん達にあたり散らして、挙句の果てには、窓の外に見えたぎらぎら光る太陽や、外でみーんみーんってうるさい蝉をたたき落としてやろうかと思ったくらいなんだから~あはは~』


・・・・ママン、苦労して産んでくれてありがとう。

でも、そんな子供は現在異世界にいますよぉ!!!


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