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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第1話 親子の紅(あか)
2/67

1.図書館で出会ったヤバいやつ 前編

文字数(空白・改行含まない):2763字

 目の前にイケメンがいる。

 サングラスをかけ、ネックウォーマーで口元を隠し、黒い手袋と服装の、6歳ぐらいのイケメンくんが。


 久しぶりに図書館に来た。

 ギリギリ図書カードの期限は切れていない。

 何、借りよう。

 あっ、この本、悠斗がオススメしてた本だ。

 借りてみようかな。

 ただ、ちょっと読んでから。

 椅子、椅子。

 あったあった。机もあるし。

 ん?

 怪しいやつがいる。

 全身黒い服の……男の子?

 夏、しかも明日から夏休みなのに長袖、長ズボン、ネックウォーマーに手袋。部屋の中なのにサングラス。

 暑そうだな。変わってる。

 とりあえず、隣と正面は避けるべきだな。

 泣かれるのは嫌だし、真っ黒な服でしかもサングラスの男の子なんて。

 怪しい男の子の右斜め前に座る。

 ガタッ。

 怪しい男の子が席を立った。

 よかった。図書館から出ていってくれるようだ。

 ガタガタッ、ドスン。

 何故か僕の正面に座ってきた。

 は?

 逃げよう。

 隣の席に移動する。

 男の子も僕の正面に移動してきた。

 隣へ。

 正面。

 隣へ。

 正面。

「……」

 もう、隣へ移動できない。

 ヤバイ、終わった。

 男の子がネックウォーマーをずらして、サングラスをもったいぶった動作ではずす。

「君、佐藤(さとう)流射(るい)だよね」

「違います」

 本当なのに、否定してしまった。

 なんて、上から目線の男の子なんだ。

 ていうか、僕、どうしたらいいんだ?

 助けを呼ぶ?逃げる?会話する?

 ……ちょっと待って!

 なんか、周りに誰もいない!

 この男の子が怪しすぎるんだ!避けられてる!

 一個、選択肢が無くなっちゃったじゃん!

「何、嘘ついてるんだよ。お前、中学校から帰るとき、尾行(つけ)させてもらったけど、悠斗……クンって言ったかな―が『ルイ!図書館行こうぜ!』って言ってるの聞いたぜ。その、ええっと、また、忘れた。あ、そうそう、悠斗……クンって言ったっけ?に『流射はどこに行くんだ?どこの図書館だ?君は行くなよ』って言ったら、教えてくれた図書館にお前が現れたんだ。お前は、流射に決まってるだろ」

 初対面でお前呼び……。しかも、6歳ぐらいの男の子に。

 というか、僕のこと尾行(つけ)てたのかよ。

 悠斗は人の個人情報は教えない(やつ)だ。ということは……脅迫⁉︎もしかして、脅迫したんじゃ⁉︎

 というか、怪しい男の子(コイツ)、本当に6歳の男の子なのか?

 この口調、僕のイメージの6歳の男の子とかけ離れてるんだけどな。

 怪しい男の子(コイツ)やっぱり、ヤバイ(やつ)だ。

 待てよ、怪しい男の子(コイツ)、なんでここにいるんだ?

 どうして僕に話しかけてくるんだ?

「結局、なんなんですか?」

 ああ、怒っている口調になってしまった。

「そうそう、本題だな」

 てっきり、本題忘れてたっていうオチだと思ったんだけどな。

「忘れた」

 やっぱり。

「ウソだぜ」

 疲れるな。

「協力して欲しいんだ。異世界旅行に」

 ……は?何言ってるんだ?

 やっぱり、コイツ怪しいな。

「ウソつくな。とぼけるな」

「とぼけてねーし。異世界旅行に、協力して欲しいんだよ」

 コイツ、すごく怪しい。

 もしかしたら、怪しい道具とかで異世界に行くことができるのかもしれない。怪しい道具で。

「どうして、僕なんだよ」

 生まれてこの方、走って誰かに勝ったことがない。

 まあ、ビリになったこともないけど。

 僕はどちらかと言えば、インドア派。本当にどちらかと言えば。

 強いて言うなら、僕が得意なことは―得意なことって言っていいのかは、分からないけど―直感と勘だ。

 僕は草食系に見える、直感と勘で生きる肉食系―2年2組のロールキャベツ系男()だ。

 「C」なのは、顔が地味だからだ。あと、クラスにロールキャベツ系は何人かいる。この「手入れしてない」って意味の「無造作ヘア」。目もそこまで大きくないし。

 ……まあ、とりあえずそれは置いておこう。

 僕はこの2つだけで、この14歳3ヶ月を生きてきたんだから。

 僕の直感と勘が言っているんだ。この、黒い服が似合う、浅い茶色の髪と色白の肌の怪しい男の子が、いくら、うさんくさくても嘘をついていないと言うことが。

「お前の直感と勘を見込んでだよ。俺が異世界を征服するために必要だと思ったからね。ロマンがあるだろう?」

 マロン?栗は無いけどなぁ。

「無いけど」

 あいにく、栗は持っていない。

 じいちゃんなら、持っているかもだけど。

「無いのか⁉︎ロマンが。お前の辞書の中にロマンという字が無いのか⁉︎」

 夏休みに入るから持って帰ることになった、自分の辞書を広げる。マロンじゃなくてロマンなのか、ろ?

 ろろろ……。

 ロビー、ロブスター、ろぼう、ロボット……。

 ん?

 紙がひっついて跡になっている。

 ロマンス。

 ロマン、無い。

「ロマン、無いけど」

「無いのか⁉︎まさか、ロマンがない奴がいるとは⁉︎お前、人じゃないぜ⁉︎」

 ふーん。僕、人じゃないんだ……⁉︎

 え⁉︎

 僕、人じゃないの⁉︎

 えー……。

 っていうか、6歳の男の子に人じゃないって言われるって……。

「僕、行けないよ。詳しく聞いたのに悪いけど」

 本当は、ぼくを「人じゃない」って言ってきた(やつ)について行きたくないだけなんだけどね。

「え〜!なんで〜!」

「だって、勝手にいなくなったら母さんが心配するだろう?」

「マミーの問題?貸して」

「何を?」

「携帯」

「いいけど」

「もしもし。母さん?()の家、通ってる私立白流学園中等部から、遠いだろう?しかも、今日から夏休みだからさ。友達の陸の家が中学校から近いらしいから、夏休みから泊まりに行くよ」

『大丈夫?迷惑にならないの?』

「大丈夫だよ。世話好きの親らしいから」

『分かったけど』

 コイツ、ヤバイ。僕の声、口調を完璧に真似してる。

 やっぱり、コイツ、怪しい奴だ。

 通話が終わったらしい。

「ほら、マミーの問題は片付いたぜ」

 くっ!

 6歳の男の子に言い負かされるなんて。

「行くか?行かないか?」

 ここまで来たら、もうやけくそだ。

「行く!行くよ!」

「じゃ、来てくれ」

「どこに?」

「まあ、ついてこい」

 この辺の道、監視カメラないんじゃなかったっけ?

「<,#|*#;*#.|\}.<,#;}_€$+%%#^{>€@?&.(.(?」

 怪しいイケメンが何か呪文を唱えると、真っ暗な空間が開いた。

「ついてこい」

 真っ白な歯を見せて、ニヤッと笑う。

 カッコいい。

 僕たちは足を踏み入れた。

 まぶしいっ!

 ということはなく、真っ暗な空間が広がっているだけ。所々にドアがあってアスファルトの道が続いている。

 どこに行くの、と声をかける前にコイツはズンズン進んでいく。

 どこまでも親切じゃないな。

 ついていかないと。

 怪しい男の子は1番手前にあったドアに向かって進む。

「あ、そういえば、ここ、道を踏み外したら永遠にここをさまようことになって、永遠の苦しみを味わうことになるらしいからね。そのへん、よろしくぅ!」

 そういうことは、早く言ってくれよ。

 怪しい男の子がドアを開けた。

 あ、まぶし。

 僕は基本、反応が薄いので。そのへん、よろしくぅ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話のテンポが良く、とっても面白かった!キャラも活き活き(?)していて、2話が楽しみです。
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