まずは畑を元に戻そう
畑に着いた俺は呆然としていた。
荒れに荒れている、本当にここに畑があったのか?
そのくらい今はひどい有様だ。
『畑は何があってこのようになったんだ?』
老人ジルが答えてくれる。
「元々は良く野菜の採れる良い畑でした。
それが前領主の時に税金代わりだと、どんどん作付け回数を
増やされ、年柄年中作物を育てている状態でした。」
『ほうほう。』
「その翌年の後半には畑はひび割れ、いくら水をやっても
野菜が育たなくなりました。それを見た前領主が怒って
畑をこのような状態にしてしまったのです。
私達は職と生きがいを失いました。」
なんと前領主は出て行くことを念頭に畑をも壊していったのか。
ひどいことをするものだ。
『おい!セバス?』
「なんでございましょう?」
『糞尿は今どのように処理をしている?』
「我が領では共同の公衆トイレがあります。
その下には穴が掘ってあり、そこに用を足すのです
穴に入った汚物は奴隷が決まった時間に運び出し
乾燥させて焼却しています。」
『明日の分は畑に蒔かせろ』
セバスとジルは目を見開いて
セバスは
「今なんとおっしゃいました?」
ジルは
「これ以上畑を駄目にするおつもりですか?
まあ今でも何も作れませんが」
『いいから言うとおりにしろ。まず糞尿は畑にどんどん蒔け』
あとは・・・
『落ち葉がたくさんある場所は無いか?』
セバスが答える
「領都の東側に森がありますので、そこへ行けばあるかと思います。」
『ではそこに、農民80人を連れてできるだけ多くの土を持って来い。』
セバスとジルはまたも怪訝な顔をして
「ま、、まあわかりました。明日早速おこないます。」
『セバス!ジル!ありがとう!あと糞尿は乾燥させた後の物を
蒔け、落ち葉があるところの土を持ってきたら糞尿は不要だ』
領民は皆怪訝な顔をしているが一応返事をしていた。
『今日は畑の整備をしよう、俺もやる。』
セバスとジルが慌てて止めに入る
「領主様!いけません!まさか畑仕事までやろうなんて」
「ビクトル様!流石にそれは」
二人を押しのけて
『良いんだ、皆!畑を復活させるぞ!俺の言うとおりにすれば
きっと今よりは好転する!頑張るぞ!』
この日農民100人と領主、それに執事は畑を整備し
前よりも区画の整理された田畑を準備したのだった。
『次は領都の衛生観念について改革を進めよう』
悪い顔をしながら一人ブツブツと言っているのだった。