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シュウイチの罪

アルバには良き友人がいますね。それも、アルバが最初に手を差し伸べたからです。

どうにかこうにかライムに追い付いたとき、アルバはベランダでティーセットを片付けていた。ライムが執務室の扉を勢い良く開ける。

「わっ、なになに、ライム!?どうしたの急に」

「アルバ!なぜ僕に何も言わなかった!?僕はお前の友達だろう!?」

ライムは物凄い剣幕でアルバに詰め寄る。アルバはライムの放つ冷気と、扉の影にいる俺に気づいたようだった。

「……ライム、落ち着いて」

「これが落ち着いていられるか!アイツ、シュウイチ!お前に向かって怖いと言ったんだって!?面と向かって!お前が文字どおり生命を削り、血の滲むような努力を繰り返して作り上げたこの国と、お前の志の恩恵を受けておいて、のうのうと怖いと宣ったって!?」

ライムの叫んだ内容にぎくりとした。確かに俺は、アルバの作ったサービスの恩恵を受けて日々を過ごしているのだ。

「ありえないだろ!僕らはアイツに、手助けや惜しみ無い協力、理解の姿勢すら示しこそすれ、害なんてこれっぽっちも与えてないじゃないか!」

「ライム!」

アルバは一喝し、ライム黙らせる。

「ボクのために怒ってくれてありがとう。怒るのは、とても熱量を使うから、キミにはとても苦しいことだろうに……。キミがそこまで言ってくれるだけで、ボクは嬉しいよ。だけど、落ち着いて。シュウイチが怖いと言ったのはボクに向けてであって、キミに向けたものじゃない。これはボクとシュウイチの問題なんだ」

アルバは俺の方を向き直る。

「ごめんね、シュウイチ。ビックリさせたろう。ボクのことは怖がっていてもいいから、ちゃんと国の制度や使えるものはしっかり利用して、信頼できる人を見つけて、自分の身体と心を癒すんだよ。どのような思想を持とうとも、キミにはその権利が確かに認められているし、きっとそのためにここへ来たのだから」

アルバの言葉に続けてライムが毒づく。

「怖がっていてもいいってのは、だからってアルバが傷つかないし悲しくないって意味じゃないけどな」

「ライム……、キミは自分の考えをはっきり言える良い子だけどね。大きな負荷をかけて、シュウイチを追いつめないであげてくれるかな。彼は今、ずたぼろの心だけを持ってここに来たばかりなんだ。見える傷口であれば、ようやく血が止まり始めたところで、まだ瘡蓋すら出来ていないんだよ。そんなときに、ボクのような未知の存在があれば、心が許容量をオーバーして恐れるのも無理はない……分かってくれるかな」

「でも、アルバがアイツにそこまでする必要なんてないだろ?」

「ライム。思い出して。ボクは王だ。王であるから生きていられる。王はたとえ、王のことを嫌う国民でも、その国民のことも考えて政を行わなければならない。……当然だよね?国民には王を嫌う思想の自由があるもの。……あ、ごめんね、シュウイチ。ほっぽらかしにしちゃって。ライムを落ち着かせたいから、一旦退室してもらってもいいかな?彼の言葉は良くも悪くも力を持つから、キミの心身にも少し影響があってしまいそうだし」

「あ、ああ。じゃあ、今日はこれで」

「うん……、それじゃ、おやすみ」

俺はライムの言葉にも、アルバの言葉にも、何も言えなかった。俺は一体、彼らのなにを怖がっているのだろう?部屋にこもり、その答えに気づいたとき、俺は絶望した。俺は……彼らの持つ強さを認めることで、自分の弱さが露呈するのが怖いんだ。

シュウイチに誰が手を差し伸べてくれるでしょうか。

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