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仮初めの命


「でも、エドウインさんと違って僕にはとてもそうな力は無いよ」


 将来ナイスバディは間違えないけど……。


「いや、君には私をここまで追い詰めた機転と叡知が備わっている。十分後事を託せると判断した」

「え? 何故に人任せ?」


 まるで部活を去る先輩や定年退職する上司みないな事をいう。


「お前やはり……」 

「ああ、魔王のお察しの通り、私はもうじき死ぬ。この命はネクロマンサーによって与えられた仮初めの命だからだ」


 残された時間と思われる腕に刻まれた呪印が消えかかっていた。

 桂ちゃんもネクロマンサーに仮初めの命を与えられていたから、仕組みは理解している。

 道理で生気が感じられないと思ったよ。


「じゃあ、お前は俺との戦いでやはり相討ちになったんだな?」

「ああ。あの死闘で生き残れる事なんて出来ないさ。だけどやり残したことがあるから、もし命を落とした時は蘇生してくれとネクロマンサーに頼んでおいたんだ」


 少し物悲しそうに目を下向きに細める。


「俺が死ななかったらこの先の悲劇は起こらなかったのか?」

「いや、それは正しくはない。君の能力が死後も続いていたから、この地球はもったのだと邪推する。ふふっ」

「嫌味とか皮肉たっぷりだな」

「いやいや」 


 魔王と勇者は宿命の敵同士だけど、お願いだからここで第二ラウンドは止めてね。

 思念体の僕の体が持たないよ。


「疑似生命体だからタイムリミットがある。その間にこの宇宙にケンカを仕掛けたんだ。結果は今述べたように散々だったが、私の後継者になりうる一条君に出会えた」

「僕に可能性があるから、あんな光属性を消滅させるなんて、大義名分をエサにイタズラをやらせたの?」

「そう、今後、君は魔王とこれから出会う仲間達と共に、この次元を相手に一世一代のトリックショーを披露しないといけない。それに比べたら今までのは些事だ」


 それは確かに匿名で慈善活動を行っている秘密結社『薔薇十字団ローゼンクロイツァー』って感じで憧れを感じる。

 食指が動いた。

 まぁ、僕的には魔術秘密結社『黄金ゴール夜明デンドーン』の方が超格好良いと断言するけど。

 あくまでも個人的な趣味趣向なので心の中で留めておく。


「その可能性を私はこの目で垣間見た。実の処、私はここに何度もたどり着いている。確信が持てるまで何度も君と騙しあった。結果は私の1人負け。一勝も出来なかったよ」

「にわかには信じられないけど」

「一条君。改めてお願いする。君に後事をお願いしたい。私に成り代わり魔王と勇者王復活を阻止してくれないか。頼む……」


 エドウインは深々と僕に頭を下げた。

 そこにあったのは勇者でもなく歳上でもなく一人の乙女としてだった。

 僕は気付いた。

 同じ恋する乙女だから通じ合う。

 エドウインさんは桂ちゃんが大好きなんだと。

 本当は桂ちゃんと一緒に戦いたかったんだろうね。

 その役目を僕に譲ってくれるって事は、後妻または後添いとして認めてくれたのかな?

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