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改めまして、僕が一条 サラサ

 

 空には赤いオーロラのような帯が羽衣のように舞っている。

 これも魔王が復活した現象の一つなんだろうか。

 探究心旺盛な僕が、僅かながら桂ちゃんを解剖して調べたいと愚考したのは述べるまでもない。


 それより、僕は気持ちをリセットして、素顔が窺うことは無理だが、きっと狐に化かされた顔になっているに違いない被害者へと向き直る。


「改めまして予言者さん。僕が一条 サラサ。以後よしなに」


 胸に手を当てて一礼。

 本当は淑女らしくスカートの裾をたくし上げたいが、生憎、ドレスじゃなくて僕の戦闘服だから、ズボンじゃ出来ないのであしからず。


「そうか、君が一条君か」

「どう? 僕の演技、気に入ってもらえたかな?」

「なるほど、道理で従来より専門知識豊富で頭が切れる訳だ」

「ちょっと待て、それだと俺が旧式のOSみたいじゃないか?」


 当たっているので敢えて突っ込まない。

 っていうか邪魔。


「僕が意識だけの存在なら、思い込む事によって姿さえ変えられると思ったんたのだ。実際は大変だったけど。トレースするの得意だけど、本人になりきるのはもうこりごり」

「どうする、予言者よ一戦やるか?」


 自信ありげに意味もなく手を鳴らす桂ちゃん。

 あのインテリジェンスに見えて実はただの日陰君は何処に行ったの?

 この脳筋魔王うざい。

 

「いや、遠慮しよう。私でも復活した魔王相手にする程愚かじゃない。だが、どうやって復活した? ここは夢の中だ。似せる事はできても本物にはなれない」

『何時までしらきるんや、このペテン師が。わいがこの世界の住人であるのが証拠やで』


 夢の中の割にはリアルだ。

 てっきり桂ちゃんの記憶を元に作られた疑似世界だと認識していたけど、それだけでは説明つかない部分もある。

 やはりここは……、


「そうだ。ここは夢の中じゃない。本物の我がもう一つの故郷ローグエンドバーグだ」

「そこまで分かっていたのか? 魔王、いや、この冴えは一条 サラサか?」

「桂ちゃんが住んでいた異世界と考えたのは半信半疑さ」


 でも、それが一番自然の流れなんだ。

 じゃなかったら予言者にあんな芸当が出来る訳がないからね。


「一条が立てたもうひとつの仮説が正しいのなら、予言者が夢だと思いこませただけだ。だから、予言者が俺の体をネクロマンサーが死んだあと持っていったと聞いて回収したんだ」

「しかし、どうやって復活したんだ? 遺体は厳重に封印して、魂と接合しないようにしたのに」

『わいに助けを求めてきたんや。ビックリしたで。姿形が全然違う奴がいきなりガンナムレイドラームを名乗ったからなぁ。でも、魂の友だから直ぐに分かったけどな。がははははっ!』

「ははは……」


 いや、多分壮絶だったと思う。

 桂ちゃんが半笑いしてるのが苦労した証拠だ。

 

 それと、ブラックドラゴンが笑う度に死の波動を出すのは遠慮してほしい。

 幾ら生きている思念体でも、ポックリ成仏してしまいそうだ。

遅くなってごめんなさいm(__)m

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