太陽と金
『光属性と皆の誕生日。もっと正確に言うと方位と星座が作戦決行日と場所に合致するんだよ』
「偶然では無さそうだな」
『残念ながら適当には言っていないつもり。これをホロスコープ占星術を用いた僕が独自に編み出した特殊な計算方に当てはめると、全て太陽と関わっている事が分かる』
星座とか方位ね。
俺だと戦国時代で竹中半兵衛が使用した四聖獣の宿曜道と、孔子が完成させた占いの八卦しか思い浮かばない。
当たるも八卦当たらずも八卦。
「太陽?」
『そう、星は錬金術の世界では、鉄ー火星、銅ー金星、鉛ー土星、錫ー木星、水銀ー水星、銀ー月、そして金は太陽を現している。即ち、金とは眩く輝く物、『光』の事を指しているんだよ』
太陽でも十分光だと思うが、ワザワザ錬金術を絡めてカッコよく決めている一条がへそを曲げるので、折角の邪気眼アニメ風な真面目なシーン、ここは水を指さず言わぬが花。
「なるほど、そういう事か。要は太陽の暗示が出ている間、俺達はイタズラをして属性を消失させていた訳か」
『でも、どうやってイベントが起こるのか謎は解けていないから、まだ仮説何だけどね』
それは知らなかった。
良くこの短期間でそこまで思い付くものだ。
俺の一万分の一の記憶しか無い筈なのだが、情報量と機転の早さは向こうの方が格段に上のようだ。
「こうなっては予言者に直接問いただすしかないみたいだな」
『そうだね。一度話し合った方が良い。そろそろ敵か味方か見極めないと。それに警戒心の強い桂ちゃんなら、もし、予言者に悪意があっても見抜く事が出来ると思うよ』
「ありがとう、本当にお前が味方で助かったよ」
『どういたしまして桂ちゃん♪』
素直に喜んでくれているのか声が踊っていた。
――話終わってスマホの画面を見つめると、もう深夜近くになっている事に気付く。
幸い明日はイベントの振り替え休日だ。
ゆっくりは出来るが学校側に反省文を提出しなければならないので、ブラック企業で社畜やっている父さん並に徹夜覚悟で頭を酷使しないとな。
「兄ちゃん、うにゅう……」
「寝たのか?」
いつの間にか寝息を立ててる遙斗の頭を撫でた。
弟が食べ残したポップコーンを大量に頬張ると、掬いきれず手から落下したコーン。
偶然なのか必然なのか、にゃん太郎の肉球が思いっきりダイレクトアタック、「いてぇぇ!」俺の眼球に穀物がピンポイントにヒットした。
今ので緊張の糸がぷっつり切れた俺は一人苦笑しながら、今後について考えを纏めようと目を瞑る。
だが、眠気が先行して意識が落ちていった……。
「――兄ちゃんラストだよ頑張って」
「ぶにゃあ♪」
今回から1日二回更新で勘弁してください。
完全書き下ろしシーンに入っているので間に合いません。
ご了承下さい(/≧◇≦\)




