表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/120

執念


 小泉は投石作戦を諦めたのか、キョロキョロと物色するかのように周囲を見渡す。

 そこに前方に都合良く棒が落ちていた。


 これも小泉が豪運たる証だ。

 守護霊が十二体位憑いているのではなかろうか。 

 ブツの正式名称は物干し竿だ。

 しかし、残念ながらこれで燕返しは出来ないし、釣り糸を付けても魚を釣り上げられないだろう。


 粗大ゴミが多いエリアだ。

 落ちていても不思議じゃないが、これも一条の読み通りだ。

 小泉を知り尽くしているから、ここまで行動を先読み可能なのだろう。


「これならどう?」


 緑の棒はターゲットを捉える。

 だが、それでも箱を小突く程度の効果しか得られない。

 逆方向へと誘導するのみ。

 高跳びの棒だったら向こうまで届いたのだが、神はまだこの少女を試すのか。


 向こう岸に人がいれば大した問題じゃなかった。

 だが、小泉は携帯で人海戦術するまで頭が回っていない。

 にゃん太郎の窮地に視野が狭くなっているんだろう。


 この猫も意外と機転が利くので、イザとなったら棒渡りぐらい余裕なはずだが、ダンボールがまたもや妙な動きをするので渡るタイミングを失っている。

 十連ガチャや最近のクレーンゲームみたく意地悪だ。


「絶対に助ける」

「ぶにゃあ♪」


 小泉はにゃん太郎にそう宣言しているのか、それとも自分に言い聞かせているのか。

 靴と靴下を脱ぎ捨て、躊躇無く川に入った。

 何故に彼女をそうまでさせるのだろうか。

 普通なら諦める。

 見て見ぬふりを決め込むのが子供のいや人間の特権だ。 

 自分にとって正当で都合のいい言い訳を製作して理論武装、トラウマにならない為に心の防衛に走るのが常識だ。


 俺はその小泉の姿に苛ついていた。

 良心が痛むか……? 

 これが俺の平穏への唯一無二の道なのか?

 

 水が苦手な勇気ある者は躊躇するも意を決して進む。

 水位は下半身まで達した。

 スカートが揺らめいている姿は海藻やクラゲにも見えなくもない。

 

 水の流れが早くなってる。

 小泉が石に足を取られているのか中々先に進まなかった。


 どうする俺。

 どうしたい。

 このままじゃ小泉が二次被害に合う。

 だが、それでミッションが成功するのだろうか。

 

 光属性を確認するには方法がある。

 一つは予言者に確認とる。

 もう一つはこの手に持っているビー玉だ。

 俺の半径10メートル以内の目標物の光属性を計る事が出来る。

 白く濁っていたら光、透明なら浄化な具合だ。


 残念ながら俺固有の特殊能力なので、確認可能なのは本人のみ。

 昔、友達と思っていた奴に相談したら、次の日から笑顔が妙に優しかった……。

 ただの妄想、世迷言。

 古来より宗教以外実証出来ないものに関して人間は冷たい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=242238402&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ