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にゃん太郎りたーんず


 うーん。


 なんだろうか、川の動きを目で追っていると、丁度良いスピードも相まって、回転寿司のベルトコンベアを連想する。

 ならば無意識に好物のマグロを求めるのも詮無い事だな。

 

 幸い水位は通常通り、水の流れも一条のペッタン胸程なだらかだ。

 水質に関しては関東圏ながら俺の心並には濁っていない。

 

 クレーンゲームでゲットした腕時計の時間が刻まれていく。

 幾分かの焦りを、フレームに描かれている今流行りのアニメのメイドキャラが俺を癒してくれるが、草むらに身を隠しているので、穂先が肌を露出部分にダイレクトアタック。

 むず痒くて仕方ない。

 ここで笑い声なんて上げたら、ミュージカル調まで悪化させて醜態をもろ晒しているメガネっ子に無言でめった刺しにあうだろう。

 

 予言者の情報通り。

 今のところ誤差は現れていない。

 わざわざ道路を舗装していない下のかわっぺりを進み、雑草に足を取られながらも、リズミカルに軽やかにステップを決める。

 丸メガネに写っているのはアニメのダンス。

 かなりセンスは足りてないが小泉なりに模倣しているのだろう。

 ありもしない第七のセンス開花を願うばかりだ


 それにしても、スマホ見ながら歩行とは良い子ちゃんの割りにマナーが悪い。

 幾ら道路を避けているとはいえ、よそ見は危ない行為だ。川との距離がなかったら落ちているだろう。

 近所のマンホールに落ちて警察沙汰になった当人が断言しているのだから間違いない。

 

 この山の落とし物、または雨水の集合体は、茜色の反射で蜂蜜の様な光沢のある液体の流れだ。

 メタリックな流動的デザインに心奪われるは俺だけだろうか。

 是非、自然の素晴らしさを分かってない下手くそなダンスもどきを踊っている少女にも拝ませてやりたい光景である。


「来たな」


 思わず声に出す俺。

 新たな川の表現方法を模索していると、太陽が遠くのビル群に合わさり、オレンジカラーから黒く侵食させた合間から、奴が静かに姿を現した。

 

 1つの茶色の長方形がドンブラコと流れてくる。

 だが、残念ながら桃ではなく、材質は木を再利用した物、つまりダンボール箱と確定。

 サイズはMだ。

 中身は予定通り猫で、パンドラの箱またはミミックではないから、驚く程の事はない。


 普段なら。


 俺は目を疑う。

 中にいたのは、「ぶにゃあ」白と黒のツートンカラー。


 にゃん太郎だ。


 学園の人気者がダンボールに乗りコーヒーカップの様に流れていた。

 予言者はここまで説明していなかった。

 一条を引き込んだ事によるぶれた運命の誤差か? 

 それとも唯一の友であるにゃん太郎のピンチに、俺が躊躇すると踏んだのか?

 

 こっちの心配を他所に要救助者は呑気な顔をして鳴いていた。

 されど小泉は一向に気づかない。

 善人はツータイプある。自分の見える範囲のみの救済と全ての救い。

 小泉は意外だが前者だ。身近な危機にしか見向きもしない。だが、それが人間だろう。

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