紅葉ヶ丘美少女四天王
何であいつが俺の前世の名前が知っている?
普段ポーカーフェイスを貫いている勘太郎さんも今回は驚きを隠せない。
俺の注目はあるグループに向けた。
「サラサ、そのマイブーム何とかならないの? というか、お行儀が悪いから椅子の上に立つの止めなさい」
「くくくっ、僕の終生のライバルにして最大の盟友、円谷 凛子よ。今は魔王様と呼ぶが良い」
「はぁ、サラッチは相変わらずの不思議ちゃんだぁね。でも、流石に恥ずかしいかも。半年前のばかつらの二番煎じだし」
「でも、サラサさんなら何でも許す。許容出来ない奴はむしろぶち殺す」
「真顔で淡々と言うなし。カエデ超怖い」
それにしても、なんの因果か幼馴染みの他に俺が討伐に失敗した真面目クール小泉とギャル香月も一緒とは、中々この世界の神も嫌がらせは上手いようだ。
円谷 凛子、香月 まどか、小泉 楓子、そして一条 サラサ。
紅葉ヶ丘が誇る美少女四天王は、仲良し四人組としても有名だった。
「むはは、その位で参っていたら我同胞は務まらんぞ」
「はいはい、分かったからとっととお昼食べよ?」
「凛子さんはお母さんよね」
「そうだな、所帯染みているんだよ」
「隣の男の子預かったりしているから、癖ついているだけだよ」
うちのクラスメート、一条サラサ。
染めた銀の髪、挑戦的で高圧的な瞳は勿論髪に合わせてカラコンのグレー、身長小学生、童顔、高めのきんきん声、胸は控えめ……ってか無い。
極めつけは白マントが異質だった。
お前は大正時代の学生か?
つい最近まではただのロリお嬢様キャラだったのが嘘のようだ。
コスプレも堂に入っていて、今では立派な魔族を演じている。
当初は悪魔っぽい角も着けたのだが、円谷に僅か一分で没収された。
端から観賞すると面白い。
「モグモグ」
「ご飯食べている時のサラサって和むよね。ハムスターみたいしょ」
「そうだね。サラサさんは可愛い」
「失敬な、あんなネズミモドキと一緒にしないでもらおうか。モグモグ」
「はいはい、無駄口叩いてないで口動かす」
円谷は一条のほっぺたに付着したお弁当をつまんで食べた。
俺と一条はちょっとした因縁がある。
一番最初に勇者の資質である光属性を潰した奴だからだ。
当時、たまたま一番近いところにいたからやり易かったと思う。
予言者無しで成功したのは先にも後にもこれ一回きり。
それ以来、一条は悪落ちというか中二病に目覚めてしまった。
そう、この不思議ちゃんにした責任は俺にもある。
幸い、彼女の場合は元々人望が高かったのが講じて、交遊関係が積み木の如く崩れることはなく、こうして人気者を維持している。




