次のミッション
「馬鹿め、金柑頭なんて秀吉が天下人になるための前座ではないか!」
「何でよ!?」
大好きな秀吉を馬鹿にされて思わず手を挙げてしまった。
「皆に愛されていた人望、ピンチを好機に変える機転、凡人には真似出来ない策謀、秀吉こそ正にパーフェクトヒューマン!」
「あんたと同じただの甲斐性なしでしょ!」
「何だと!」
円谷とは昔からここだけは合わなかった。
「いや、瓶割り柴田を忘れてはいけない!」
「違う家康だろ!」
「島津最強!」
ここからクラスメート達が推し武将を思い思いに語り一時騒然となる。
論争は熾烈を極まった。
恐るべし戦国時代。
ちなみに三國志でも同様な現象が起こる。
昔は魏が最強と思っている俺と蜀LOVEの円谷とは部屋の窓越しで朝まで論争になった。
――先生はある程度収まった頃合いを見計らって、
「きりがないので、徳川家光からスタート!」
「先生もしかして」
「もちろん男色家だからよん」
結局そこに落ち着いてしまった。
このセンコー何とかしろよみたいな沈黙が教室を覆った。
さて、俺は付き合ってられないので、先生のヤオイ話をBGMに今回の作戦を立案でもしようか。
ターゲットはこの前失敗した同学年の小泉、女だ。
隣クラスの委員長だ。
メガネが似合う真面目な奴。
犬を探して学生の貴重な休みを1日潰すなんて、ボランティアでも中々出来ることじゃない。
ちなみに学校のボランティア部は組織としては強制なので、これは慈善事業とは言えないのではなかろうか。
なので彼女は下心丸出しの部員、久保田のエセ野郎より勇者らしい。
さて、次のミッションだ。
今回の予言者の予測だと、川に流れてくる子猫を救助する事になっている。
日時は今日の夕方だ。
だが、小泉はどれだけ徳を積むつもりだ?
政治家かシスターにでもなるつもりなのだろうか。
自分の命をもっと大事にして欲しいものだ。
その為にも、今回は必ず妨害を成功なせないといけないない。
こんな事していたら将来、命が危険に晒される時がやって来る。
うーん、心苦しいが、これも彼女の為だ……、って、どんなに綺麗事並べたって私事で手を下している俺に、そんな事言う資格はないか。
「……!?」
――まただ、誰かが俺を見ている……って、「良い度胸じゃなーい、勘太郎きゅん。私の方針に文句があるの? お持ち帰りじゃなくて、生徒指導室に来なさい」クロード先生、顔が近い、顔が近い。
「真面目になるので、それだけは勘弁してください」
「い・や」
「マジで、平にご容赦を……」
このクロード先生の指導を受ければどんなワルても真人間になった。
どれだけの恐怖体験を経験すれば心を入れ換えるのか興味は尽きないが、それを好奇心だけで試す程、俺は愚か者でもない。
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