第二十一話 五日目の朝
五日目の朝。
目を覚ますと見慣れない天井が見えた。
あまりハッキリしない頭を頬を叩くことでシャキッと目覚めさせる。
ここは確か宿屋だ。
辺りを見渡すとサラとソレイはベッドにアレンは壁に寄っ掛かっているのがわかった。
まだ三人とも寝ており目覚める様子がない。
それもそうだろう。
何故なら昨夜はアレンのせいで酒を飲む羽目になったのだから。
ソレイは酒を飲んでいないが夜遅くまで騒がれたせいでしっかり寝れていないだろう。
にしても意外にもサラってお酒飲むとイビキ凄いな。
そんな皆を起こさないように僕は部屋の外へと出た。
宿屋の裏へ来た。
朝の冷たい風が肌を撫で、体を冷やしていく。
思わず身震いをしてしまった。
ここにはちょっとしたスペースがあるため簡単な剣や魔法の練習ができる。
僕は慣れない大剣を出現させるとそれを遠心力に任せながら振ってみる。
だが完全には振り方やスピードを制御しきれない。
恐らく僕では筋力不足なのだろう。
力を上げるスキルを修得してから大剣の稽古をしよう。
次に魔法の制御だ。
昨日アレンの使っていた発光と言う魔法。
あれが気になる。
戦闘中不意に使えば有利になることは間違いない。
事実僕もそれで不覚をとってしまったのだから。
世界説明、あの魔法はどうやるんだ?
《推奨:アレンに聞く》
まだアレンは寝ているんだけど・・・・・。
《マスターにはアレンを叩き起こす権利があります》
そ、そうか?
じゃあ起こしてくるか。
アレンを起こしに行こうと振り返った。
その時視界のはしでなにかが動いたように感じた。
すぐさまそちらを見たがそこには何もいなかった。
部屋のドアノブに手をかけようとしたその時。
突然ドアが開いたので慌てて避ける。
「お、スマンスマン」
中からは慌てて服装を整えながらドアを開けたアレンが出てきた。
「どうした?」
「それがな、ちょっと朝イチで集まんねえといけねえ会議があってな。起きてすぐ気づいたのはいいがもう時間がないんだよ」
「はあ」
「だから悪いが俺はすぐに出なくちゃなんねえ」
アレンはそう言い残すと僕を避けて出て行った。
よくよく考えると何故僕達は昨日知り合った訳も分からぬ奴に酒を飲んだのだろうか。
しかも宿屋でだ。
今回は悪い奴ではなかったからよかったもののこんどからは気を付けなくては。
今更ながらにそう思った。
部屋に入ると既にソレイは起きていた。
恐らくアレンが起きた音で起きたのだろう。
「おはよー」
「おはようございます」
ソレイはいつもながら畏まった口調で朝の挨拶をした。
サラを見てみるとこちらはまだ寝ていた。
そろそろ起こした方がいいだろうと思い揺すってみるが起きる気配がない。
「おーい、起きてー」
声で呼び掛けてみるも全くダメだった。
今日はクエストをこなすのは無理かな。
そう思いソレイに今日の予定を決めようとした時。
「り、リユイさ、ん」
そう途切れ途切れの声が聞こえ足を掴まれた感覚が伝わってくる。
そう、サラが目覚めたのだ。
だがその顔には気持ち悪いという文字が張り付いているかようだった。
「大丈夫?」
「ダメです」
「ですよね、水持ってくるよ」
「ぷはー」
ただ水を飲んでいるだけなのにまるで酒を飲んでいるかのような声をあげ水を飲み干したサラはどうやら少し体調が戻ったようだった。
「ありがとうございました、お水」
「対したことないよ、それぐらい。と、では今日の予定について決めようか」
「は、冒険会議ですね」
ソレイは話の流れで冒険会議を開くのだろうと思い既に拍手の準備さえ始めていた。
あまつさえ尻尾をピンと立て瞳孔は開き、髭は大きく広がっていく。
何だか狩りでも始めるかの勢いだ。
「いやいや、いちいち会議を開くようなことじゃないよ。そんなこと言ったら毎日会議を開くことになってしまうよ」
「そ、そうですね。申し訳ございませんリユイ様」
ソレイはすっかりのり気になっていたのだろう、会議は開かないと聞くとしょんぼりし耳はいか耳になってしまいや尻尾は垂れてしまった。
「でもまた近いうちに開くと思うよ」
「そうですか!」
僕の言葉を聞くとソレイの機嫌は少し戻ったようだった。
「それでは話を戻すよ。今日は昨夜アレンに酒を盛られたこともあり僕とソレイは大丈夫だけどサラがあまり動けそうにない」
「いえ、大丈夫です」
「え?」
僕の言葉を遮りサラは酔っていても大丈夫発言をした。
そして立ち上がると足をふらつかせた。
ど、何処が大丈夫なんだよ!?
危なっかしい足取りを支えサラが転んでしまうのを何とか回避する。
「あ、ありがとうございます」
「な、どう考えても今日は動けないだろ?」
「いえ」
諦めが悪いぞ、そう言おうとしたがその言葉はサラの行動で喉からでることはなかった。
サラは頭に手を当て、
「状態異常回復」
と唱えるとその頭に当てた手が青く光始めたのだ。
するとたちまちサラは自分の力のみでしっかり立つことができた。
「ね、大丈夫でしょう?」
「う、うん。これなら問題ないよ。それにしてもそんな魔法いつ覚えたの?」
「魔法学校です!どうですか、リユイさん」
まるで中学で習う数学を小学生なのに出来たから褒めてとでも言うようなドヤ顔でサラが見てくる。
「ああ、凄い凄い」
「えへへ」
きちんと褒めてあげるとサラは素直に喜び少しだけ頬を赤らめた。
「それじゃあ話を進めるよ。サラが大丈夫ってことが分かったから今日は一昨日と同じくギルドへ行きクエストを受ける。昨日はアレンのせいで何も出来なかったからその分頑張ろう」
「「はい!」」




