第十三話 奇襲(前編)
とうとう時が来た。
魔王カゲイン様のお蔭で満月だ。
奇襲なのだから必ず転生者を殺さねば。
皆に目標の牧場に攻め込むように言う。
一斉に走り出し目標の敷地に入ろうとしたその時だった。
凄まじい地震が起こったのである。
それだけでなく牧場に近寄れば近寄る程足が痛くなる。
恐らく何らかのスキルが発動しているのだろう。
だが我らにもスキルはある。
獣人族は一斉にスキルを使い目標へ向かうのだった。
凄まじい地震だ。
だがそれもすぐに治まるが代わりに狼のような獣がこちらへバカみたいなスピードと高さのジャンプで来ていることに気付いた。
ざっと見たと所百匹ぐらいはいると思う。
いったいあれはなんだ?
何となく分かるけど。
《解説:獣人です。普段は狼のような姿をしていますが黄昏時にだけ人と同じ姿になるのが特徴です》
ですよね。
にしても汚いな、不意打ちとは。
まあいい。
オイトさんの罠は無いけどやりますか。
僕は左手に槍を出現させ構える。
「サラさん、オイトさんを呼んできてください」
僕はそう言うと獣の群れへと走り出す。
もしサラさんが感情的になって魔法を放ちオイトさんに当たっちゃたらマズイから気をつけないといけないが。
「私も戦います」
え?思わぬ返答が返ってきたな。
分かりました。とか頑張ってください!とかなら分かるんだけど一緒に戦いますってなに?
力を完璧に制御できないんじゃないの?
それにオイトさんを呼んできてよ。
僕のそんな心情にお構いなくぶんぶん炎の球を獣人に投げつけるサラさん。
一応魔法を放つことは出来るのか。
ではこの前僕が世界説明を使い無理やり魔法を放たせた意味は・・・・・?
まあいい。
炎は獣人達を丸焼きにしていっている。
さっきからこっちに当たりそうで怖いんだけどね。
だが突然その炎が来なくなった。
獣人達へ走りながらサラさんの方を見るとハアハアしていた。
魔力切れとかいうやつか?
《いえ、あまり魔法に慣れていないためそうなっているのだと思います》
ああ、僕が転移させられた時と同じ感じか。
《はい。ですがそんなことよりも目の前の獣人に警戒して下さい》
ハイ。
けどなんだ、面倒だ。
九十何体かを相手するのは面倒だ。
そこで僕は荒業にでることにする。
サラさんから貰った五十本の麻痺小型ナイフを練習しておいた魔法で吹き飛ばす。
この魔法は魔力を思いっきり凝縮させる。
それにより魔力が反発し爆発するというものだ。
その爆風で小型ナイフをまき散らせる。
ちょっと違うけどショットガンみたいなものだ。
流石に全員は戦闘不能には出来なかったけど残りは40体ぐらいになった。
後は普通に戦うか。
異常だ。
あんな魔法の使い方があるというのか。
いや、普通ならあり得ない。
馬鹿げている。
だが実際に40名ほどやられたのだ。
これは深刻な被害だ。
そして今度は転生者が走り出し槍を使って一秒に一人倒している。
転生者の攻撃を一回でも受けた者は戦闘不能。
いったいどうなっているのだ?
一旦冷静になろう。
出し惜しみしている場合ではなくここでこそ与えられた力を使う時だろう。
「皆の者、〈超人化〉せよ」
そう、〈超人化〉だ。
普通の人化ではなく超人へとなるのである。
これが我々に与えられた力であり満月の夜のみ発動できるエクストラスキル。
それ故に体への負担が大きいので使用する場面は見定めないといけないのである。
だが今こそ使うべきだろう。
皆は次々に筋骨隆々な超人へとなっていく。
これではいかに転生者が強かろうと勝ちはこちらのものだろう。
なぜなら超人は普通の武器では攻撃を通さないのであるからだ。
そのはずなのだが・・・・・?
次々と仲間は倒れていく。
いったいどうなっているのだ?
「皆の者、〈超人化〉せよ」
その声を聞いた獣人たちが次々に筋骨隆々な人間になっていっているんですけど。
黄昏時じゃないのに。
それに攻撃も全然効かない。
まずくないか。
《警告:通常攻撃が無効。推奨:今まで以上に〈衝撃倍増〉の効果を上げた攻撃による内臓へのダメージ》
結構怖いこと言うな世界説明さん。
それしか手段はなさそうだけど。
とりあえず目の前の敵を〈衝撃倍増〉の効果を上げて棍で叩いてみると簡単に倒れた。
良し、無双再開!
そう言えばさっきコピーしたスキル何だったっけ。
《〈夜快目〉と〈思考共有〉そして〈超脚力〉です。〈超人化〉は獣人のみ使用可能なスキルなのでコピーできませんでした。解説:〈夜快目〉は暗い中でも視界を快適にします。〈思考共有〉は仲間と思考を共有できます。〈超脚力〉は足にかかる負担を軽くしジャンプ力や走るスピードを上げます》
どれも使えそうだな。
《ではコピーしたスキルを発動させますか?》
頼む。
おお!さっきまで月明りでしか見えなかったのにくっきり見える。
それに足も軽い。
これは快適。
僕は順調に獣人を狩っていく。
そこに突然他の獣人とはケタが違う魔気を放つ獣人が現れた。
恐らくBランクだな。
「流石だ、危険因子の異世界転生者。あの方がお前を殺すように命じられたわけも理解できる。我が村の精鋭百人をやってもこれほどとは恐れ入ったよ。だがDランクごときが私に勝つことは出来ぬがな」
そう言えば僕、魔気を抑えているんだった。
そりゃあ勘違いしちゃうよね。
まあ本当のレベルを教えるわけはないけど。
《解析結果:個体名ソウ。所有スキル〈夜快目〉〈思考共有〉〈超人化〉〈超脚力〉〈皮膚鋼化〉です。解説:〈皮膚鋼化〉は皮膚を鉄にするスキルです。コピーしますか?》
頼む。
それにしても面倒なスキルを持っているな。
ていうかネームドか、厄介だな。
目の前のソウはスキルを発動させたのだろう、筋骨隆々な身体が銀色に光沢し始めた。
はっきり言って〈衝撃倍増〉で内蔵まで衝撃が届くか怪しい所だ。
《推奨:ハンマーでの攻撃による衝撃で内臓へのダメージが届きます》
なるほどハンマーに変えればいいのね。
だが僕は刀を出現させそれを両手で持ちソウに向かって走り出す。
ソウに刀で斬りつけようとするが全て避けられる。
そして反撃の隙を与える。
この罠にうまく引っかかったソウは刀の斬撃をくぐり抜け僕の懐へ入って行き首を噛みついてくる。
だが、僕はさっきコピーした〈皮膚鉄化〉にて首を鉄化しソウの牙を滑らせる。
体勢を崩したソウの頭へ持っている刀をハンマーに変え〈衝撃倍増〉を発動させながら叩きつける。
ソウは衝撃をもろに頭に受けその場に倒れた。
だが・・・・・。
背後からオイトさんのうめき声が聞こえた。
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