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|半身《ハーフサイズ》の魔法




 オーク将軍デブリンガー・アブラハムの栄光への道(ビクトリーロード) 第二十一章



*********** オーク将軍デブリンガー ***********



 翌日、朝の視察を終えた私は、昨日のうちに屋敷に戻って来ていたバルドッグを伴って、ハーフサイズの魔法を実際に使ってみる事にした。

 

 先ずはバルドッグに基本的な効果を教わる。

 大体はプドルから聞いた通りだ。

 

 半身:ハーフサイズの魔法


 *身長が半分位の大きさになるまで全体的に縮小される魔法。見た目は多少子供の体型に近くなる。


 *効果時間は約六時間、時間を過ぎれば徐々に元の大きさに戻って行く。ディスパースの魔法で解除可。


 *あくまでそのままの見た目で小さくなるので、若返って見える事は無い。


 *小さくなった際、筋力が多少低下する。


 しかし、この筋力低下に関しては予想外の言葉が返ってきた。

 確かに筋力は低下するのだが、私の考えているほど弱体化するわけでは無いらしい。 


 私は、身体の大きさが半分まで小さくなるのだから、少なくとも筋力も半分以下になると思っていた。

 しかし、実際は筋肉も同じ様に縮小されているらしく、筋力は落ちてもせいぜい二割ほどだと言う。


 但し、単純に体重は落ちてしまっているので、体重を掛ける攻撃などはどうしても大幅に威力が落ちてしまうらしい。 

 

 反面、身体が軽くなる分、素早く動く事が可能だと言う事だ。


 後、小柄なので攻撃は回避し易くなる反面、万一攻撃を受けると受けるダメージは大きくなる点も注意しなければならない。


  

 簡単にまとめれば、普段の八割程の筋力で、素早く動く事が可能だが、食らうダメージは大きくなるといった所だろうか。


 しかし、これは考えようによっては十分使い道があるのではないだろうか。

 

 「取り敢えず、一度試してみるとするか。」


 私は、身体が縮んでしまっても裸にならないように、頭から被るだけでいいチュニックに着替えると、ハーフサイズの魔法のスクロールと武器を持って、屋敷の裏の訓練場を訪れた。


 この訓練場は、身体が鈍ってしまわないように私が時折使用している他、元特殊部隊だった部下達も気分転換に使用している場所だ。


 訓練場と言っても特別何かあるという訳ではなく、武器や魔法を使用して戦っても問題無い程度の広さの広場に砂地の地面と石畳の地面が用意されているだけだ。

 後は周囲に打ち込み用の木製の人形が数体置かれている程度だった。

 

 私は訓練場の中央までダブルアックスを二本運ぶと、その場に突き立てる。

 小さくなると筋力が落ちるらしいので、私が普段使用している武器を小さくなった状態で、どの位操る事ができるのかを確かめる為にも、敢えて本物を持って来た。


 もしもこれを振り回す事が出来ないとなると、念の為にも新しい武器を用意しておかねばならなくなる。


 バルドッグは、力の程度を測った後に、どの程度動けるか試す為の相手をして貰う事になっている。

 予めバルドッグは、訓練用の刃引きの鉄剣と鉄斧を持ってきてくれている。


 これらの訓練用の武器は、訓練場の横に建てられている物置小屋に沢山置いてある物だ。



 私は懐からハーフサイズの魔法のスクロールを取り出すと、スクロールを広げ、キーワードの言葉を唱える。


 「半身!!」


 キーワードを唱えると、ボウッと私の体が淡い光に包まれる。

 すると、徐々に私の目線が下がって行った。

 しかし本当に身体が小さくなっているのだろうか? 身体自体にはこれといった感触が無い、何となく衣擦れの感触があるだけで、後はただ視線が低くなって来ているだけだ。


 暫くして身体を包み込む淡い光が消えると、目線の下降も止まる。


 私は自分の身体を改めて確認すると、成る程、着ているチュニックがダブダブになっていた。

 履いていた靴も明らかにサイズが大きい。

 以前と変わっていないのは、首に掛けた魔法の鎖の付いた消散のペンダントだけだった。


 「バルドッグ、私はどれくらいの大きさになったのだ?」


 少し離れた場所で見ていたバルドッグに尋ねると、ツカツカと私の傍に近付いてくる。

 するとどうだろう、私の身長がバルドッグと殆ど変わらぬ位の大きさまで小さくなっていたのだ。


 バルドッグは元々比較的身長が高い方だったが、私はそんなバルドッグの1.5倍位背が高かった。

 それが、今は殆ど同じか、少し低い位まで小さくなっている。


 「しかし、聞いていた程小さくはならなかったな。 半分くらいの身長と聞いていたが・・・。」


 もし本当に半分の身長まで小さくなるのなら、少なくともバルドッグより頭一つ分以上は低くなっていないととおかしいのだ。


 「確かにその様ですね。 私の場合は本当に半分位まで小さくなったのですが・・・、今のデブリンガー様は私より少し低い位です。 まあ、元々個人差がある魔法ですから・・・。」


 「まあ、これでもかなり小柄になった事は間違いないな。」


 これ位まで小さくなれれば、リーネと・・・。

 

 『いかんいかん、また顔が熱くなってきた。』


 私は頭を振ると、バルドッグにスクロールを預ける。

 魔法使用前とどれ位差があるのか確かめる為、私は取り敢えず武器を振るってみる事にした。

 


 私は無造作に付き立てた二本のダブルアックスの柄を握り締めた。

 成る程、身体が小さくなった為何時もの位置よりも遙かに高い位置に柄がある。

 重さ以前に地面から引き抜くのも難しそうだ。


 私は仕方なくダブルアックスの柄を逆手に持ち、一旦地面から引き抜いてから柄を持ち帰る事にする。


 「ふんっ!」


 気合と共に両手を上げると、ダブルアックスは問題なく持ち上がった。

 ダブルアックスの刃が上を向いたタイミングで、咄嗟に握りを持ち替える。

 ズシリと身体にかかる武器の重みを感じながら、両手を水平にし静止してみる。


 「どうやら、左程普段と変わらぬ感じで扱えそうだ。 ただ私の場合、重さよりも大きさや長さの方が扱い難く感じるな。」

 

 そう言いながら、何度かダブルアックスを振り回してみる。

 

 「やはり、振り回す筋力よりも、体型の違いの方が違和感が大きいな。 特に振り回した後の反動を止める時に、武器の重さに身体が引き摺られそうになってしまう。 これが体重が軽くなった事による弊害と言うやつか。」


 涼しい顔でダブルアックスを振り回す私を見て、バルドッグは目を見張っていた。


 「まさかその体格になって尚、それ程の筋力をお持ちとは正直驚きました。 二割ほどの筋力低下と言うのは、案外馬鹿にならぬものです。 以前私が使用した時も、普段使っている剣では、直ぐにスタミナが尽きてしまいました。」


 「ふむ、そういうものなのか。 私はむしろ、振るった武器の反動を消すのに余計な力を使わねばならぬのが問題だとは思っているのだが・・・。 この辺は訓練すれば何とかなりそうだ。」


 私は、履いていた靴を脱ぎ、裸足になって少し動いてみる事にした。

 流石にブカブカの靴を履いて動き回れそうも無いからな。


 私はザッと地面を蹴り、両手にダブルアックスを持ったまま上へ飛んでみた。

 おお、思った以上に高く飛べる。

 

 普段の私は、かなり素早く動ける方なのだが、それでもあの体格と体重だ、ジャンプはそれ程高く飛べない。

 しかし、かなり体重が少なくなったからなのか、重い武器を持ったままでも普段の倍以上の高さまで跳躍出来た。 


 そのまま私は、落下の勢いを利用して地面に叩きつけるように斧を振るう。

 ザンッ! 

 叩き付けた斧の勢いで土が巻き上がる。

 私は、動きを止めずにそのまま足を踏みしめて斧を引き抜くと、今度はダッシュした。 


 私はダブルアックスの刃先を地面に擦り付けながら訓練場を高速で駆け抜けると、打ち込み用の人形に横薙ぎの一撃を放つ。

 カーン!と言う高い音と共に、木製の打ち込み人形は中心で真っ二つに切れ、宙を舞った。

 そしてその人形が地面に落ちる頃には、私は既に元の場所に戻っていた。 


 「速い!」

  

 様子を見ていたバルドッグが思わず言葉を漏らす。

 私は、息を切らす事も無く元居た場所に立ったまま、ダブルアックスをクルクルと回していた。


 「成る程、このスピードは魅力だな。 戦う相手によっては十分使い道がある。」


 「しかし、此処まで素早くなられるとは・・・。 もしやバルドッグ様は、殆ど筋力が落ちていないのかも知れません。」


 「そういう事もあるのか?」


 「あくまで個人差の範囲なのですが、人によっては筋力が半分近くまで落ちた者も存在します。 私の場合は二~三割減といった所でしたが・・・。 デブリンガー様はどう考えても二割も落ちていない様に見受けられます。」


 「ふむ、人によってそんなに効果に開きが出るのか。」


 「これはあくまで私の推測でしかありませんが・・・。」


 それからバルドッグが語った推測はこうだった。


 この魔法を使用した場合、殆どの者が筋力の低下は二~三割程度だが、稀に半分近くまで筋力が低下した者が居たそうだ。

 そして、その時の筋力低下が著しかった者は、皆魔法師や魔法医などの、普段筋力を左程使っていない者達だったと言う。


 「ですから、人並み以上に筋力が強いデブリンガー様は、低下の度合いも少なかったのではないかと。」


 「成る程、元の筋力が高いほど低下に歯止めが掛かるという訳か。」


 一方身長の方は、筋力の時のような関連性がこれといって見つからず、これは恐らく純粋に個人差だろうとの事だった。 


 「そして、その殆ど落ちていない筋力のまま、体重が大幅に減った訳ですから・・・。 先程のデブリンガー様の素早い行動が可能だったのではないかと思われます。」



 今の説明に納得が行った私は、バルドッグと立ち回りの訓練を行う事にした。

 確かに力は殆ど落ちていないし、体は軽くなったが、それ故に動きに戸惑う所も多くあったからだ。


 戦いにおいては、ちょっとした違いが思わぬ怪我に繋がりかねない、しっかりと慣れておくことが大切だ。


 私は、バルドッグが用意しておいてくれた刃引きした訓練用のダブルアックスを持つ。

 刃先は丸めてあり、尖っていた部分は丸くしてあるため、切れたり刺さったりする事は無いが、それでも本来のダブルアックスと同じ重さに調整してある。

 

 私が構えると、バルドッグも練習用の剣を構えた。


 「行くぞバルドッグ。」


 「お相手致します、デブリンガー様。」



 私達はそれから1時間近く、模擬戦を続けた―――。


▽


 素早い動きからの攻撃の応酬で、ひたすら止まる事無く戦い続けた結果、流石に私も、息が上がっていた。


 一方のバルドッグも、地面に片膝を付き肩で息をしている。


 「年は取りたくないものですね、これ以上は動けそうもありません・・・。」

 

 「ははは、こっちは身体が軽くなっているからな、持続力はむしろ上がっているかもしれないな。」


 だがこちらも限界だ、武器を下ろすとその場に腰掛けた。

 

 「しかし、この魔法はかなり便利じゃないか? どうしてあまり知られて居ないのだ?」


 「元々、諜報活動に使うのが主な使用目的の魔法ですので、わざわざ表立って宣伝をしていないと言う事もありますが・・・、実はこれ以上に使い勝手の良い魔法が存在するのですよ。」


 「そんな魔法が存在するのか?」


 「幻影:ミラージュという魔法です。 これは使用者の姿を、頭に思い描いた姿の通りに見せる事の出来る魔法で、半身の魔法のように身体が小さくなっても顔が大人のままといったような事が無い為、非常に便利なのです。 熟練者は、それこそ自由自在に姿を変化させられるそうですが、殆どは自分の姿を多少変化させる程度しか出来ません・・・。 そして最も大きい利点は、変化しても戦闘能力に何の変化も無いという所です。」 


 「ほう、それは凄いじゃないか。 しかし、それならどうしてハーフサイズの魔法なのだ?」


 私の質問に、バルドッグが苦笑いを浮かべながら答える。


 「それは、ミラージュの魔法はあくまで幻を創り出す魔法だからですよ。 実際に身体が小さくなっている訳ではないのです。 あくまで相手にそう見せているだけですから、術者自体になんら変化はないのです。」 

 

 「そう言う事か・・・。」


 確かに、身体がそのままでは意味が無いな・・・。

 あくまで今回の私の目的は、身体を小さくする事だからな。


▽


 バルドッグと話をしていると、屋敷の方から誰かが近付く音が聞こえてきた。

 振り返ると、プドルとリーネが二人でこちらに何かを持って歩いて来る所だった。


 確かリーネは、プドルの指導で治癒魔法の練習をしていたはずだったが、恐らく気を利かせてお茶でも持って来てくれたのだろう。

 

 プドルは手に持っていたティーセットを、訓練場の脇に置いてあるテーブルの上に置くとこちらに声を掛けて来た。


 「そろそろ紅茶でも如何ですか?」


 そして、同じく手に持っていたバスケットをテーブルに置いたリーネが、私の方を改めて見て、驚いていた。


 「ご・・・ご主人様が小さくなってる!?」


 どうやら、プドルもハーフサイズの魔法の事は話していなかったみたいだ。

 私の姿に驚いたリーネは、慌てて私の元まで走ってくる。

 近くに来たリーネが、かなり大きく見えた。

 地面に座っている私と殆ど目線が変わらない。


 「ご主人様、一体どうしたんですか?」

 

 心配そうに尋ねてくるリーネに私は落ち着かせるように言う。


 「心配は要らないよ、ちょっと体が小さくなる魔法を使って、訓練していただけだから。」


 「身体が小さくなる魔法・・・?」


 当然聞いたことなど無いのだろう、不思議そうな顔をしているリーネの後ろからプドルが話し掛ける。


 「リーネちゃん、ご主人様は随分とお疲れの様子だから、回復魔法を使って差し上げたらどうかしら?」

 

 プドルの提案に、途端に笑顔になるリーネ。


 「はい!」


 嬉しそうに返事をすると、リーネが私に回復魔法を掛けて来た。

 私の体を、淡い光が包み込んで行く。

 

 『おや?以前よりも効果が上がっている?』

 

 そんな私の疑問にプドルが答える。


 「実はリーネちゃん、中級の回復魔法が使えるようになったんですよ。 それに遂に下級の治癒魔法も使えるようになったんです!」


 「そうなのか!? 凄いじゃないかリーネ!」


 私が褒めると、リーネは照れた表情のまま回復魔法を続ける。

 この前までは、私と同じ下級の回復魔法しか使えなかったのに、たいしたものだ。 


 「ワタシのお母さんや、プドルさんに比べたらまだまだです・・・。 でも、何時かきっと、ご主人様を癒せるようになって見せます!」


 回復魔法を使いながら、真っ直ぐ私の目を見つめてそう語るリーネに、私は思わずドキドキしてしまった。


 

********** オーク将軍デブリンガー **********



 あれから数ヶ月が経った。

 季節はもう冬を終え、かなり暖かくなって来ていた。

 

 しかし、私は未だにリーネを抱けずに居た。 


 事ある毎にプドルに発破を掛けられてはいるが、どうしても踏ん切りが付けられなかったのだ。

 

 毎夜、私の部屋にリーネがやって来る度に、普段の大きさに戻っている私を見て、少し残念そうな顔をするリーネ・・・。

 もしかしてプドルに、ハーフサイズの本当の使い道を聞いているのかもしれない・・・。

 そして、それでも尚、毎夜私の部屋を訪れるリーネ・・・。

 私は毎日のように、リーネを抱くべきか否か悩み続けているのだった。


▽


 あれ以降、私はハーフサイズの魔法状態での訓練を、リーネは回復魔法と治癒魔法の訓練を続けていた。


 私は最早、普通の生活ならばもう何も問題無い程に、小さな身体に慣れていた。


 流石に毎日は行わなくなったとはいえ、数日に一度は戦闘訓練も行っている。

 訓練時、大きさの変わるたびに服を着替えるのも大変なので、魔法の繊維で作られた伸縮性の高い服も数着用意していた。



 一方、リーネの回復魔法の成長も目覚しく、既に上級の回復魔法まで習得できていた。

 治癒魔法も、中級レベルのものまでなら既に使用可能になっている。

 最近では、回復、治癒魔法以外の魔法も少しずつプドルに教えられているみたいだ。


 私は、一般的なハーフエルフの魔法の才能がどの程度のものなのかは知らないが、リーネの才能はかなりのものなのでは無いかと思っている。

 将来はプドルのような優れた魔法師になれるかもしれない。


 リーネは、この数ヶ月で魔法の腕が上達しているだけでなく、メイドとしての腕も上がっていた。

 魔法の訓練の合間、プドルの手伝いをしている内に色々と覚えたようだ。


▽

 

 この数ヶ月、ずっと平和な日々が続いていた。


 ピピとランは、あれ以降も月に一度のペースでこの屋敷を訪れて来てくれている。

 その度に私の屋敷ではささやかなパーティだ。


 うちの子供達も、すっかり仲良くなって、彼女達には毎回子守をして貰っている様なものだったが・・・。

 しかし、二人は嫌な顔一つせず子守をしてくれている。

 特にランと言う娘は、子供達を見る目がとても優しかった。

 うちの子供達に、死んでしまった自分の弟を重ねているのかも知れない。

 是非とも強く生きて欲しいものだ。



 実は、最近では彼女達が屋敷を訪れる日が近付くと、リーネだけでなく執事見習いのビットまでソワソワするようになった。

 ビットも、ピピの事が相当気に入ってる様で、よく二人で話をしている。

 つい先日も、彼女達が屋敷を訪れた所だったが、見る度に二人の距離が近付いているような気がする。


 もし、二人が本気で交際を望むなら、成人後結婚を後押ししてやるのもありかもしれない。

 私はそう考えるようになっていた。


▽

  

 最近のリーネは、屋敷に来た頃とは見違える位に明るく、活発になっていた。

 最初のうちは、明るくしていてもどこか無理をしている所が感じられたが、今では自然と明るく振舞ってくれているように思う。


 この前など、リーネ一人で焼いたクッキーを私に食べさせてくれたのだ。

 見た目も悪くなく、味も凄く美味しかった。

 あまりに美味かったので、ついバクバクと一気に食べてしまったら、もっとゆっくり食べて欲しいと怒られてしまった。

 

 「あまりにも美味しかったから止まらなかったんだ。」

 

 私がそう弁解すると、リーネは嬉しそうな顔で、”だったら、また作ります。”と許してくれた。



 私は、こんな毎日が幸せで仕方なかった。

 だからこそ、下手にリーネの身体を求めてしまって、この幸せを壊してしまわないか心配だったのだ。




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