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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第1部 来川ナナ編
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第4章 薄茶色のピアノ (来川ナナ編) 前編

冬。創作ダンスが終わり、僕たちは作曲作りに改めて取り掛かっている。…………と、その前に……僕たちはある大切なことをやることを忘れていた。


来川ナナ

「ここはH2Oよね……?」


真瀬莉緒

「いや、そんな簡単な答えじゃないと思います。」


そう、期末テストが待っていた。


この六郭星学園は期末テストは1年に1度だけ行うため、期末テストの結果が就職や進学に響いてくる。そのため、絶対に上位を目指さなければならない。


ちなみに今はファミレスにいる。


ここのファミレスは六郭星学園の敷地内にあり、クラスメイトも何人かここで勉強をしている。


真瀬莉緒

「……でも、そろそろ頼んだ食べ物も届くはずですね。」


来川ナナ

「そういえばそうね。そろそろ……あ、来たわ。」


ウエイトレス

「お待たせいたしました。フルーツパフェとチョコレートパフェでございます。」


偶然にも2人ともパフェを頼んだ。僕たちはパフェに乗っているアイスが溶けないように、勉強を一旦切り上げてパフェを食べることにした。


真瀬莉緒

「いただきます。」


僕が頼んだチョコパフェはチョコの苦味とアイスの甘味が絡みとても美味しい。


来川ナナ

「………………。」


来川さんが僕のパフェをじっと見つめている。


真瀬莉緒

「良かったら僕のパフェ1口食べますか?」


そう言うと来川さんは嬉しそうに……


来川ナナ

「ありがとう!じゃあ1口……。うん!とても甘い!」


来川さんがとても美味しそうに僕のチョコレートパフェを1口食べた。


来川ナナ

「じゃあ……1口食べたから私のフルーツパフェも……。」


来川さんはとても嬉しそうにフルーツパフェを1口差し出してくれた。


真瀬莉緒

「いいんですか?」


来川ナナ

「もちろん!」


真瀬莉緒

「それじゃあ……」


僕は来川さんから差し出してくれたフルーツパフェを1口食べた。


来川ナナ

「どう?美味しい?」


真瀬莉緒

「はい。とても美味しいです!」


来川ナナ

「ふふ……。じゃあ……食べたら続きの勉強をしましょう。」


真瀬莉緒

「はい。」


僕たちはパフェを食べ終えた後……再び期末テストの勉強を始めた。


……そして数週間後。


笛花奏

「今日はテストです。みんなしっかりと勉強したわね?」


クラスのみんなが「はい。」と返事をする。


笛花奏

「いい声ね……それじゃあ……テスト開始!」


僕は配られたプリントをめくり、試験に挑む……!


テスト終了のチャイムが鳴る。

僕のプリントは空白欄は無く、出来る限りの答えを出した。そして全員が提出した……


テストの結果は大広間にて貼り出される。1位から最下位まで名前が載る。貼り出されるまでの間、ドキドキが止まらない。


そして……結果発表当日。


来川ナナ

「いよいよね……。」


真瀬莉緒

「はい……。」


そして、テストの順位が貼り出される……

生徒の人数は700人前後……僕たちの結果は……。


真瀬莉緒

「僕は……49位!良いところかも……!」


700人中の49位。上位にいると言っても過言ではない。


……一方で来川さんは……。


来川ナナ

「…………36位……。うーん。上位かな?」


真瀬莉緒

「え、なかなかの上位ですよ!」


僕は少し落ち込んでいる来川さんを励ました。


来川ナナ

「そ、そうかな……?」


他の2人もそれなりの……


星野シキア

「30位…………。」


こっちもこっちでショックを受けている。星野さんも何かショックなのかな……?


真瀬莉緒

「古金さんは……?」


古金ミカ

「私……?私は……24位!」


真瀬莉緒

「え……。」


僕は少し呆然としてしまった。


真瀬莉緒

「…………来川さん。」


来川ナナ

「…………練習……しよっか……。」


真瀬莉緒

「…………はい。」



六郭星学園 音楽室



あれから少し経ち……僕たちは音楽室で残り数少ない作曲の作成を行っていた。


真瀬莉緒

「ここは、こうしましょう。」


来川ナナ

「ええ、それで……ここは、ベースを元に戻さないかしら?」


真瀬莉緒

「うーん…………そうですね。元に戻しましょう。」


最初は何も言わずに全てのことに賛成していた来川さんとの練習。今となっては自分の意見をしっかりと言ってくれて、とても充実をした作曲作りができている。


そして、無事に完成した。あとは音源を作るだけだ。


来川ナナ

「準備できたわ。」


真瀬莉緒

「はい。じゃあいきますよ。1.2.3.4……」


僕の掛け声で音源を作っていく……そして……


真瀬莉緒

「完成……!ですね!」


来川ナナ

「ええ、これが……私たちの曲よ!」


僕たちの曲が完成した……。あとはこれを声優さんに歌ってもらうためにはどうすればいいか……。


真瀬莉緒

「作ったはいいですけど……これ、どうやって声優さんに渡しますか……?楽譜を。」


来川ナナ

「…………それもそうね……。」


真瀬莉緒

「それに歌詞も必要ですよね。歌詞はどうしましょうか?」


来川ナナ

「歌詞は大丈夫。私がすでに書き終えたから。」


真瀬莉緒

「それならいいですけど……やっぱり問題はどう渡すかですよね……。」


来川ナナ

「そうね…………。」


僕たちが悩んでいる最中に1人の男性が音楽室に入ってきた。


??

「ずいぶんと困っているようだな。」


真瀬莉緒

「えっ……?あなたは……?」


僕が恐る恐る聞いてみると、すぐに応えてくれた。


日比谷直輝

「私は日比谷直輝(ひびたに なおき)だ。世界史の教鞭をとっている。」


来川ナナ

「はあ……それで…………日比谷先生はどうしてここへ?」


日比谷直輝

「ああ……君たちにお客さまが来ている。少しだけ会って話してみるといい。」


真瀬莉緒

「僕たちに?」


日比谷直輝

「ああ、なかなかのお客さまだ。おそらくは喜ぶとは思うだろう。」


来川ナナ

「…………?…………わかりました。そのお客さまはどこに……?」


日比谷直輝

「ああ、応接室にいる。急いで言った方が良いかもな。」


真瀬莉緒

「わかりました。来川さん行きましょう。」


来川ナナ

「そうですね。日比谷先生ありがとうございます。」


日比谷直輝

「ああ、構わない。」


僕たちは一礼をしたあとすぐに、応接室に向かった。



六郭星学園 応接室



応接室についた。そこにいたのは……。


来川ナナ

「あ、あなたは……!?」


そこにいたのは来川さんがずっと憧れていて、その人に曲を作りたかった声優さんがいた。


隣には笛花先生も座っていた。


……しかし、何故こんなところに……?


笛花奏

「あなたたちが文化祭のときに踊っていた曲をたまたま見ていたらしいのよ。」


来川ナナ

「そうなんですか!…………光栄です!ありがとうございます!」


来川さんと僕は来てくれたことに感謝をした。


笛花奏

「それでね……お願いがあるらしいの。」


来川ナナ

「お願いですか……?」


笛花奏

「ええ、あなたたちの踊っていた曲を……ぜひ歌わせて欲しいとのことなの。」


来川ナナ

「本当ですか!?」


声優さんは来川さんが立ち上がり驚いていたときに少し驚いていたが、顔に笑みを浮かべ、首を縦に頷いた。


笛花奏

「それでね、色々と聞きたいことがあるらしいの。説明出来る?」


来川ナナ

「は……はい!もちろんです!」


来川さんは声優さんに色々と説明をした。どのような曲なのか、どのようなコンセプトなのか、声優さんがしてくる質問を来川さんは答えていく。


最後にどんなアレンジを加えたのか実際に曲を聞いてみたいと声優さんの要望があり、僕たちはそれに応えた。


来川ナナ

「これが私たちが作った楽曲です。一生懸命に作りました。よろしくお願いします。」


来川さんは早速、曲を流す。声優さんは目を瞑り、ひたすらに曲を聞いていた。


曲が終わると、声優さんはもう一度聞いてみたいと言ったためもう一度流した。


その後は何度も何度も繰り返し曲をひたすらに聞いていた。


そして……声優さんはこの曲を…………



歌いたいと言ってくれた。


僕も来川さんもとにかく嬉しい限りだった。


来川ナナ

「ありがとうございます!」


声優さんはそれに応えると、歌詞はあるのかと聞いてきた。


来川ナナ

「はい。それでしたらこちらにあります。」


来川さんはいつのまにか作詞をしていた。僕には何も言わなかったのでどんなのかはわからないが、声優さんは歌詞を見て、とても良い笑みを浮かべてくれた。


来川ナナ

「……!ありがとうございます!」


どうやら全てを受け入れていただけたようだ。


その後は互いに強い握手をした。今後の展開が楽しみで仕方がない。


声優さんは学園を後にして、笛花先生も鹿崎先生に呼ばれて職員室に行き、僕ら2人だけになった。


真瀬莉緒

「良かった……ですね!」


来川ナナ

「ええ、本当に良かった……諦めなくて……妥協をしないで……。」


真瀬莉緒

「来川さん……」


来川ナナ

「莉緒。改めてだけど……ありがとう。」


真瀬莉緒

「…………どういたしまして!」


こうして僕たちの作曲は無事に完成し、声優さんに歌っていただけることになった。


これからは来川さんとの学園生活を楽しもう……!

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