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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第七章 双子竜 編
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騎士と愚者

ノヴィス王国、竜殿地下祭壇の間


魔術師の顔見たラガノは言葉を失っていた。

俺は魔術師が誰かだなんて知る訳もないが、魔術師はラガノを見てただ笑うのだ。指輪は相変わらず取れず痛みはジワジワと痺れるような感覚へと変わる。手を握って開いてを繰り返す様子を魔術師が不思議そうな顔をして見ている。


「人間の身でありながらよく耐えているが、そろそろ辛いんじゃないのか?」

辛くは無い、正座して痺れた足をツンツンされるあの感覚のままだから耐えているだけで、下手したら「んひっ!」みたいな変な声が出そうだから頑張って口を閉じてるんだ。


それを魔術師には痛みに耐えている様に見えているらしく一計を案じてみる。日本でこんな事をしたら、厨二病をこじらせたまま成長した痛い大人の図にしか見えないがこの世界なら大丈夫さ、多分。


「っくこのっ指輪のせいか・・くっそ!あっぐあぁあ、だがこんなもの・・」

魔術師にはどう見えただろうか?痛がっている様に映ったかな?不安になりながらチラっと顔を見る。

「ふはは!そうだろう?精鋭騎士達はその毒に気が付かず今や俺の操り人形だ」

簡単に種を明かしてくれた事に俺は笑みを浮かべていたらしい。

「何が嬉しいのだ?」

「騎士達だけって事は王達は大丈夫ってことだろ?」


その言葉を聞いた魔術師は高笑いで答える、手をおでこに付けてな。

「新人騎士君?王達が無事な訳が無いだろう?」

「エッチェン!貴様!王達に何をした!」

「悪いが私の舞台に彼らが演ずる役は無くてね?降板して貰ったんだよ!」

「何を言っている!」

俺達が考えていた予想が当たりかを知る為、あえてこちらから答えを言ってみようと言葉を放つ。

「もう死んでると言いたいのか」

「新人騎士君の方が物分りが良さそうだな。そうさ、王も中枢の者達も既に死んでいるよ十年前にね?あはは」

「貴様ぁあああああ!!」


激昂したラガノは中心部に向かい走り出そうとするのを手を引くことで止める。

「止めるなっ!」

鬼の形相、そんな表情で俺を見たラガノは尚も手を振り解こうと腕を振るう。

「ダメです!あんなのに敵う訳がありません!」


彼の前に回り込み叫ぶとラガノは何とか冷静さを取り戻して止まる。隊長、その言葉にちゃんと反応してくれたようだ。動き出した段階で俺達は演じる事を止めていたのに、このタイミングで俺がそう呼ぶ理由をちゃんと理解してくれたようだ。


「そうだ新人騎士君、君は物分りが良い。素晴らしい人材だ王も中枢も君のようであったらと思うよ」

「この指輪で操ったと・・?」

「褒美に教えてあげよう。その指輪にはある方法で少しずつ毒が流れる仕組みになっている。勿論、毒といっても物理的なものでは無いんだけどね」

「魔法・・・」

「違うね、君達に話したところで信じる事も理解することも出来ないだろう」

「エッチェン・・貴様はそれで王を殺したのか」

「ラガノ、君はダメだな。国を得ても兵が簡単に死んでは意味がないだろう?王は別だがね?ははは!!后の目の前で殺してやったよ!出来るだけ苦しむようにね。そうしたらどうだ?后は気が触れてしまったよ!それから毎日抱いてやったがまったく動く事は無くてね?多種族の女を抱く方がまだマシだよ」


ラガノは唇を噛み血を流し怒りに震えているが、一線でなんとか堪えている。

「でも・・二年前にも姿を見たと聞いたぞ!」

「新人騎士にしては頑張って情報を集めたようだね。ここで死ぬ君達に話しても意味は無いがこれも余興かな?いいよ話してあげよう。二年前に謁見した王は死体さ、ある力で肉体を保存し私が動かしていたんだね。こうも簡単に死体を本物同様に動かせることには驚いたもんだよ!それに気が付かない馬鹿共を顎で使うのも楽しかったしね?中枢の人間には全員死んでもらって全て私が動かしている納得できたかね?」


「兵士達をどうするつもりだ!」

「兵士やら騎士達には違う方法を取っているから簡単には死なない。洗脳とでも言えばいいかな?ただ気が触れた后に試したがダメだったよ。だから殺して今は死んだ王と並べてあげているよはははは!」


「隊長!クレフィア姫以外にも後二人おられるのでしたよね!!」

必死の形相でラガノを揺さぶり、辛いだろうが続けろと目で訴えると一言だけ搾り出すように返事をする。魔術師ことエッチェンとラガノがどういった知り合いかは知らんが、まだ聞き出すべきことはあるのだ。耐えてくれと彼の肩に乗せる手に力が入る。


「あの二人ならまだ生きてるよ?単純に人形にするのは少し飽きてね。牢で生活しているよ!たまに顔を出すと・・ふふはは!凄い反抗的な目とどうにか私を殺そうとするんだがね?その度に軽く甚振ってやるんだよ!その顔がたまらなくてねぇ!!」


クレフィアの姉達は生きている。

ノシュネの姉から力を無理矢理引き出しているのも確定か、さて・・・どう動くべきかクレフィア達に姉達を助けさせるべきか?

精鋭と言えど人数では圧倒的不利。

レミナとエルジュ達がいることを考えても・・どうする。動いてしまった以上は引き返せないのだからやるしかない!


頭の中でイメージをする。

ノシュネの顔を思い浮かべてそのノシュネと話をするように。少し前にいる彼女に龍力を糸状に伸ばして繋げて行く・・・。


「お兄ちゃん!!」

(ノシュネ聞こえるな?)

「うん!」

(これから言う事を皆に伝えてくれ!)

「わかったよ!」


現状のまとめと姉達のこと、魔術師は俺がどうにかする事とノシュネの姉ちゃんはまかせろ。それだけを一方的に伝えて糸を外し眼前の敵を見た。


「新人騎士君、君は今何をしたんだい?」

「あぁ~龍の力を使っただけだから気にしなくてもいいぞ?」


龍の力の単語に明らかに喰らいついた目を俺は見逃さない。

「よくもまぁベラベラ馬鹿みたいに話してくれて助かったよ。ラガノあんたもよく耐えてくれた」

「このまま怒りでどうにかなるところだったぞ」

「今、あいつらに連絡をしたからラガノはそっちの助勢に行ってくれるか?」

「だが!」

「あんたがコイツを殺したいって気持ちは分かるが、今は適材適所だ諦めてくれ!俺もこの馬鹿の話聞いてイライラしてんだ」

「・・・」

「言い方が残酷になるが死んだ王を考えるより生きているヤツらを救う事を考えてくれ」

「わかった!ここはシン殿にまかせるが・・」

「騎士団長も動くだろうから気をつけろよ」


とっとと行けとの雰囲気にラガノは扉を出ようと走り出す。

「行かせる訳が無いだろう?」

言葉より先に火球がラガノを狙うも、龍の手に展開された小さい御炎渦で防ぐ。

「お前の相手は俺だっての」

「君のそれは私と同じ竜の力か!」


無理矢理盗んでいる力と同じにされるとイラつくが、竜の力を行使しているけど龍法は使えないのだろう。竜の力を転換させているのか、単純に力としてだけ利用しているのか、どちらにしても負けてなんかやらねぇよ。


「君が竜の力を使えても私には勝てないよ?」

「やってみんと結果なんて分からんもんだぞ?」

「なら足掻いて見せてくれ!君も殺して私の人形にしてあげよう」


それを合図に魔術師は火球を連続で放つ。

展開速度は遅いものの火球自体のスピードは蒼煉より劣るが十分に速い。同じ弾道で三発放たれたその初撃を龍の手に展開した御炎渦で払いのけ、次弾を回避し、三発目を右手に展開した御炎渦で下からすくい上げる様に軌道を反らし、そのまま加速し接近しようと走る。


だが魔術師は微動だにせず笑ったままで気味が悪い。数メートル前進したところで後ろから衝撃を受けてバランスを崩す。回避したはずの二発目の火球が、放たれた軌道のまま戻り真後ろで爆ぜたのだった。


バランスを崩した俺を見逃すはずもなく、追撃とばかりに目の前で何かが爆裂し後方へと飛ばされる。飛ばされた勢いのまま体を捻り右手を地面に付いてトンと押しさらに距離を取った。まさか火球がバックしてくるとは思ってもみなかっただけに油断した。


こんな所をソルナやルビネラに見られたら絶対におちょくられてる。「なぜそんなモノも避けれんのじゃ!」とか「ゲロリンはどぉこに目をちゅけてんだ?」とか弄られるに決まってる。気合を入れなおして前を見ると「さっきから使っているそれは一体なんだ?」なんて訳の分からん事を言い出したのだ。

竜の力こそ扱ってはいるがこいつ龍法の事なにも知らんのか?仮に知っていたとしてもヒトの身で行使出来るハズも無い。俺は目の前の馬鹿みたいにベラベラしゃべる趣味は無いし、教えてやる必要も無い。無視を決め込んで、今度こそ加速する。


加速に対して魔術師はピンポン玉サイズの火球を数十単位でばら撒く。すり抜ける余地は無いか。

走り抜ける頃にはボロボロになりそうだぞこれ。

でも迂回するように動けば次の一手を打たれて後手後手になってしまうだろうが、無いなら自分で作るだけだ。


「蒼煉華!」

放った直後、走る速度を落とし蒼煉華が炸裂するのを確認し煙の中へ突入する。ついでにこれも行っとけ「蒼煉!」あえて左に打ってみたら反応するだろうその隙を突く!煙を突き抜けた先に魔術師は立ったままで俺の考えどおり蒼煉で抉れた地面に釘付け。


感覚的に行けると判断して龍力で肉体を強化しさらに加速をする。一瞬のタイミングが勝負を決するんだ油断したな、一撃で終わりにしてやる気持ちで突っ込む。が、飛んだところで体に激痛が走って攻撃するどころかカウンターで腹パンされる。腹を殴られた痛みより、体を走る痛みの方が圧倒的に上回って地面をバウンドした。


「普通に動いているものだから効果は無いと思っていたけど絶大のようだね」

「っぐ!!」

「君は自滅したんだよ?体を強化したんだろ?一撃で私は殺れると思ってね。だが体内に流したその力が絶大過ぎる故にダメージも大きいだろう」


指輪の効果は俺には殆ど意味が無いと勝手に思い込んでいたのが間違いだった。蒼煉を放っている時には感じなかった痛みが肉体強化をした時に激痛となって現れるなんて思わないだろう。追い討ちとばかりに真上から火球の雨を降らせて止めを刺しに来る。


「御炎渦!」

寝転がりながら真上に展開する、身体を強化しなければ大丈夫と展開を開始。直後に全身に激痛が再度流れ展開途中の御炎渦はいくつかの火球を受け止めはしたものの消失する。


轟音と共に俺は爆裂に飲まれまたも飛ばされた。

地面に転がる俺を愉快気に見下す魔術師に苛立ちを覚える以上に自分に腹が立っていた。貰った服があればこれぐらい何でも無く倒せるだろうと思ってしまったからだ。クレフィアは俺の力は俺の物だと言っていたけど服一枚無いだけでこの様なんだ。

う●k竜の時もそうじゃないか、あの服が無ければあの場で簡単に死んでたんだ。結局の所、俺が強いんじゃなくて貰い物で繋いでただけの命だった。

この程度の痛みで動けなくなる程度しか力が無い、ただの七光りの馬鹿だ。自分自身に怒りがこみ上げる中で三度、爆裂は俺を襲った。


本話もお読みくださり有難う御座います。

ブックマークをして下さっている方にも感謝です。


気がつけばもう今年も僅かですね・・・・。

気温も落ちて寒くなりましたね・・・。

冬って実はあんまり好きじゃないんですよ・・・。

寒いですからね・・・。

という訳で・・・・。


次話以降も宜しくお願いします!

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