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龍軌伝 異世界で龍に愛されるニート  作者: とみーと
第七章 双子竜 編
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騎士の証

「もう騎士団長と接触している頃ですわね」

「騎士団の者と手合わせしているかと思われます」


シン様なら大丈夫だとは思うけど何もせず待つというのは不安だ。違う世界からディルカーレに流れた落ちたオトシゴ様と聞いた時は驚いたけど、自分の立場なんてまったく気にせずに自由奔放で正直羨ましい。アタクシにも気兼ね無く話しかけてくれるし、何度もはしたない所も見られてしまったのにそれも気にしてない。


「クレフィア様?お顔が真っ赤ですが体調が悪いのですか!」

エルフの魔術師の長、アティーが顔を覗き込むように見てくるから余計に焦って声が上ずってしまう。アタクシがしっかりしないでどうする、ちゃんとしないとダメだ。そして彼女に何でも無いっと笑顔を送る。


「お兄ちゃん大丈夫かな・・」

「主様は強いから大丈夫」

「飼い主様は強いのですよ?」

「ヒンヒ~ンヒンヒンヒヒン!」


「エルジュさんはその子の言葉が分かるのでしたわね?」

「ドリちゃんはヴォルマに竜が来た時、あの場で荷運びしていたそうで戦いを見てたそうなのですよ?」

「ドリドゲスもっと教えて!」

「ヒーンヒンヒヒンヒイイイン」

「大きいヤツの顎を蹴って牙を折ったり、小さい翼があるのを一撃で叩き落してらしいのですよ」

「主様やっぱり凄い!」

「はは・・・」


周囲の魔術師達も最早絶句であった。

その話でお腹いっぱいになったようで皆黙る、そうしている内に森を巡回していた騎士達が合流した。クレフィアとノシュネを中心に魔術師が囲い、さらにその外を騎士達が固めた方円の陣形を取った。


「お二人も中に入れて差し上げなさい!」

「ですが・・」

「シン様は自ら敵の中心へと向かって下さっているのに、そのお仲間を守る自信もないのですわね」

「レミナは外でいい」

「私めもお姉様と一緒でなのですよ」

「ですがあなた達!」

「主様は何かあってもレミナ達を頼らないかもしれない、自分でどうにかすようとする」

「その時、私め達は何が何でも飼い主様の所に行くのですよ」


房から出されて反省をしたヴィスはまたも棘のある言い方で絡んだ。

「あいつが死ねば我々は撤退もありえるのだ」

「お前は一々小さい事に拘る」

「小さいのですよ~」

「きさっ・・・」

「ヴィス・・貴様は黙れ。騎士ですら無い貴様に発言権は無いと知れ!これ以上の侮辱を行うならばここで切り伏せる」


騎士達を現在まとめているリクティフがヴィスに剣を向け黙らせた。息を呑みクレフィアを見るも彼女はヴィスが居ることすらどうでもいいといった感じだ。

「二人共すまない、気にせず方円の中へ」

「いい、どうにか出来る」

「中にいたら何かあった時に動けないのですよ?」

「我々を信用してはくれまいか・・」

「勘違い、主様はレミナ達にノシュネを任せた」

「ノシュネちゃんはお友達のですよ、だから助けるのですよ?」

「君達も共に戦うと?」

「勝手にする」


レミナはそう言い残しエルジュとドリドゲスの方へと集まった。

「主様早く帰ってくるといい」

「飼い主様も大変なのですよ~」



ラガノのノックで部屋へと入室し、暫く時間が経った後にレーゼンは来た。彼は手に小さな箱を持って俺達の前でその中身を出して見せた。

箱の中には小さな指輪が一つ収められている。

「ノヴィス王国騎士の証。騎士となった全ての者に与えられる誉れある証だよ」

「竜殿の騎士達もでありますか?」

「いいや、竜殿でこれを持っていた人物は過去において一人だけだ」

「隊長ですか?」

「竜殿側の騎士に与える事はありえぬのだがシンラ君には期待を込めて送られてもらおう。竜殿でこれを与えられるのは君が初めてとなるのだがね」

「自分の場合は竜殿へ行く前から賜っていたのだよ」

「ですが宜しいのですか?」

「私の期待の現われだと思ってくれていい」

「はっ!有り難く頂戴致します!」

「本日より君は本物の竜殿騎士だ、この指輪は後でちゃんと付けるのだぞ?」

「はっ!」

「今日はこのまま城で休むといい、部屋は用意させてある」


俺達は兵士に案内され宛がわれた部屋で甲冑を脱ぎ捨てようやく一息付いた。

「シンラ、この部屋は・・・」

「大丈夫何にも無い」

「そうか、一先ず潜り込む事は容易に出来たか。その指輪はしておくといい」

「そうでもないさ、指輪を今あんた持ってるか?」

「自分は騎士団長を辞めた時に外したがそれがどうしたのだ?」

「この指輪、微力だけど龍力を纏ってるんだよ」

「それはマズいのか?!」

「これは騎士以外には?」

「騎士以外にも城にいる者なら何かしらの形で持っているはずだ。模様が違ったり首輪だったりと多種ある」

「これで操るには足りないが常日頃から装備していた場合は分からんな」

「ならシン殿は付けない方がいいだろう」

「それがそうも行きそうに無い、術を行使している者が装備しているかどうか分かるはずだ。装備しないって手を使えば騎士団長が付けろと言うだろうし、拒めば騎士としての責を問われるだろう」

「付ける以外に道は無いのか」


でも、俺なら何とかできるかもしれない、不確定で危険な賭けになってしまうけど怪しまれない程度ならこちらから探る事も出来る可能性がある。

尻尾を掴む為には多少のリスクを負う必要もあるか?魔力を探知されたら場合はセーフだが、俺の龍力を察知されるのはアウトだろう。極力龍力を使うような展開は避けれるかもしれんが、えぇいままよっ!


「シン殿!」

「大丈夫だ・・術が展開されているがさっきも言った通り即効性は無い。じわじわ這う様な感じだよ。本当にマズイと思ったらハズすさ」

「その時までにどうにかせんといかんか・・」

「だな、そうなった時は全力で戦うことになるけど勘弁してくれ」

「シン殿がそこまでしているのに我々が何も傷つかず美味しい蜜だけ吸う訳にはいかんさ」


ラガノは己の覚悟を言葉にしてくれた。

この場で何もせずにいたって何も分からない。

ラガノがいればある程度なら城を調べることも可能かもしれない。


「城には知り合いは多いよな?」

「あぁ、それなりには関わりある者はいるだろう」

「なら怪しまれずに動けるか?」

「新たな騎士の紹介やら旧友との再会ということで誤魔化せるか」

「じっとしていても埒が明かないからな、行こうか?」

「だがシン殿、外を出歩くなら甲冑は着てもらうことになるぞ?」

「この手は出せんもんな、兜は被らなくてもいいよな?」

「兜ぐらいなら多目に見よう、顔見せとでも言えば通るだろうしな」


流石に兜まで被れと言われたら気持ちが億劫になるところだった。前面は開く使用になっているとはいえ、顔が痒くなった時に辛いし視界が狭い。甲冑を来たもののガシャガシャ鳴る音だけはどうにも出来そうに無いから派手に動くのは無理みたいだ。


ラガノに連れられて歩く城の内部は、やはり豪華絢爛と言う言葉がぴしゃりと当てはまる。外観を見ながら一階へ進み、ラガノが騎士団長をしていた時の副団長へ会いに行くそうだ。連続して並ぶ柱は尖頭アーチを描きガラスがはめ込まれていて外の光をふんだんに取り込んでいる。


想像と違う、それが感想だった。

もっと閑散としていて暗く黒くてドロドロしたそんなイメージを勝手にしていたのに。その想像を打ち消すまでの違い、外からは鳥の鳴き声も聞こえてくるし町からの活気もそれなりで、そう容易く尻尾が掴めたら苦労はしないか。


ラガノが止まったのは一階、右廊下最奥の部屋。

扉をノックすると中から女性の声が聞こえて俺の期待も膨らむ。扉が開かれ女性が顔を覗かせ、ラガノだと分かった途端に扉を完全に開いてくれた。


「あらら?久しぶりね。あなたから会いに来るなんて珍しいわ」

「先程、騎士になった者を連れてきたんだ」

「そちら?え~とっ」

「ルーヴェンザ=シンラと申します!」

「元気が良いわね、私はサンセマス=クリュテよ。立ち話も何だし中に入ったら?」

「そうだな、少しだけ邪魔をさせてもらおうか」


部屋の中に招き入れられると花の甘い香りがする。

クリュテと名乗った元副団長は、三十路手前の人間で栗色の髪を纏めて上げて大きなバレッタでとめている。他の兵士より立場が上だと分かる格好で俺のぐにぃレーダー照射の結果、Cクラスだと一瞬で判断出来た。


「えーとシンラ君は騎士に今日なったのね?」

「はっ!ラガノ隊長の元、日々訓練を積み重ね!本日騎士になりましたっ!」

「元気ね。良いことよ?竜殿で動く騎士には大切なことだわ」

「シンラ、君はまだ原石のようなものだ!この先も緩むことなく磨き上げろ」

「はっ!」

「ラガノは相変わらず厳しいのね」

「クリュテ、これが普通なのだ」


思い出話に花を咲かせている間、俺は部屋の中を目で確認していく。特に怪しいものは見当たらないけど彼女の胸元に俺の指輪と同じものを感じた。

指輪をネックレスの様に首から下げているのだろう。この指輪は監視の意味もあるのだろうか、それとも他に何かがあるのか?分からないことがむず痒い。


「ラガノ達は今日にでも竜殿に帰るのかしら?」

「いや、今日は城に泊まる予定だ、部屋はもう宛がわれているよ」

「そう、なら夕食は一緒にどうかしら?ルネスも呼びましょう」

「そうだな、これからルネスの所にも行こうと思っていたところだ」

「シンラ君もどうかしら?」

「いえっ!自分は遠慮させてもらいます!隊長殿も親しい方達とゆっくりされたいでしょうから」

「シンラは何時も気が効く男だな」

「あら?残念ね・・でもありがとうね」

「いえっ!」


その後も少し話し込んでいたが、ルネスの所にも寄るからと話しを区切り部屋を出た。

部屋を出る時「これから騎士として大変だと思うけど折れずに頑張ってね」と応援された。廊下を引き返し歩く横でラガノが目でどうだ?

そう聞いているのが分かるが、ここでは迂闊に話せなそうになく首を鳴らし合図。

そのまま廊下を真っ直ぐ進み今度は三階へ上がり、ルネスと呼んでいた元騎士団の仲間の部屋へ直行するようだ。同じように紹介されて話を弾ませてもらい、俺は同じ様に確認し終わると部屋へと戻った。


「シン殿、どうだった?」

「部屋に何か特別なものは無かった。ただ、この指輪と同じ反応は確認できた」

「騎士としての証が鍵と?」

「騎士に関してはそうだと思うけど、他の人達は分からない。今の所誰ともすれ違ってないからな」


それを聞いたラガノは、夕食を取る場所を俺に教えてそこで確認してみるのはどうかと提案してくれる。確かに騎士以外の人間も居る場所なら複数を一度に確認出来し怪しまれることもないだろうと提案に乗った。


「あんたも一応気をつけておいた方がいい」

「敵地として考えて動く方が良いだろう」

「俺は夕食を取ったら真っ直ぐここに戻るからそっちも頼む」

「ある程度したら怪しまれぬように戻る」


そうして次の行動を決めて夕食の時間まで城の構造やらを詳しく聞き時間を待った。部屋に入っていた光はオレンジに変化し時間だとラガノが立ち上がり俺達は部屋を出た。


「シン殿、一応手は怪我をしているように包帯を巻いてはいるが意識しておかないとボロが出るぞ」

「こう見えて俺は演技派だから安心してくれ」


それを最後に俺は食堂を目指した。

城へ来た時よりも人の気配を多く感じて食堂に行くのは正解だったと思った。ラガノに言われた通りの場所へ辿り着き食堂内へと足を進める。

中へ入ると数十人の人間が食事を楽しんでいる光景が目に入り、それら全員から指輪と同じ反応があった。騎士は指輪、兵士は胸元に何かドッグタグのようなものでも下げているのだろう。他にいた女性達は同じ腕輪をしていて同様の反応があった。


働く人間によって与えられる装備は違うが効果は一律同じようだ。反応が無い者はこの空間に誰一人としてその存在を確認出来ない以上、この指輪に込められている力が答えへ繋がる物で間違い無い。

運ばれた夕食をぼっちで食べていると少し悲しくもなるが気にして入られない。目線をチラチラと感じているが、見た事のない顔が居るってことは理解されているらしい。


「シンラ殿!」

横に座った人間に声をかけられて声の主を見る。

ウルダが横の椅子を引いて座るところで「横いいかい?」なんて言いながら既に座ってしまっている。「城の夕食はどうだい?あの後、シンラ殿の戦いについて皆で色々話したよ」とか俺の事を根掘り葉掘り聞いてまるで尋問だ。

そうさせられている可能性があると思い、時にはぐらかし、時に巧妙に話しを逸らして何とか一息。

最後に彼は「竜殿で働くことは誇りだと思うけど、十分に気をつけないと危ないよ」なんてここでも似たような雰囲気を出される。


夕食も食べ終わり部屋へと戻ろうと廊下に出たところでレーゼンに引き止められた。仕掛けてきたか?警戒してレーゼンを見ると彼は俺の手を見て言う。

「シンラ君は怪我をしていたのかね?」

速攻で痛いところを突いて来る、伊達に騎士団長ではないって感じだな。

「えぇ、情けないのですが前日の隊長殿との訓練試合で油断してしまい・・」

「騎士になれるからと浮かれいたのを見抜かれていたようだね」

「お恥ずかしい限りです」

「だが、昼間は十全に剣を振るっていたと記憶しているが?」

「あれは剣そのものを振りましていた訳ではありませんでしたし・・」

「確かにそうだったな、君さえ良ければだがこれから少し付き合わないかね?」

「と仰られますと?」

「うむ、君の戦いに興味が沸いてね?私も手合わせがしたいと思ったのだよ」

「ですが・・」

「なに昼と同じ程度だから安心してくれたまえ。で?どうかな?」


ここで断るのもあまり良くはないか?軽くだったら演技しながらでも行けるだろうと判断して頷いた。

「手合わせ願えるとは光栄であります!是非、宜しくお願い致します!」

「良い返事だ!ではこのまま行こうか?」

「甲冑を着ておりませんが・・・」

「何、軽い訓練なのだからそこまでしなくとも良いさ?それとも付けたい理由でもあるのかな?」


もしかしたら既にバレているのか?だとしたらこの流れは良くないが・・・。団長殿がお相手なのですから胸を借りるつもりで挑ませて頂こうかと思いまして。そう切りか返すことでこの場は凌げた。

結局、甲冑は着れずじまいでレーゼンの後ろを付いて歩くしか道は無かった。

本話もお読み頂きまして有難う御座います。

ブックマークをして下さっている方にも感謝を。


次話から物語が少しずつ動き出しますので楽しみにして下さると幸いです。

次話以降も宜しくお願い致します。


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