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転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~  作者: 喰寝丸太
第8章 竜助けのドラゴン

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第47話 ガービッジドラゴン助ける

 俺達は国境の街に一ヶ月間ほど居座っていた。

 ミニアでも出来る討伐依頼をこなし魔道具を作る日々。

 ゆっくりするのもたまには良いものだ。

 今日は国境の近くの村にお邪魔していた。

 ミニアと木剣を一緒に作っていた少女が居た村だ。

 そこで気になる話を聞いた。

 茶色のドラゴンがグリフォンの集団に追われていたというのだ。

 グリフォンは単体ではAランクと言われていて集団ではSランクだ。

 風の刃のブレスは見づらいので強敵だ。

 茶色のドラゴンはアースドラゴンだな。

 ここいらを縄張りにしているなら餌取りは気をつけないと。


 居るのなら近くの森だな。

 挨拶に出向くとするか。

 喧嘩にはならないと思いたい。

 俺はドラゴンの臭いを探してミニアを村に残し一頭で森をうろついた。


 捉えたぞ。

 ドラゴンの臭いだ。

 血の臭いも混ざっているな。

 怪我をしているのか。

 グリフォンにやられたのだろうか。

 臭いを辿って行くが一向に茶色い巨体は見えない。

 段々と血の臭いが濃くなる。

 遂に血の跡を発見した。

 成竜にしては少ないな。

 それとも軽い怪我か。

 血の跡は木の洞に続いていた。

 中を覗くと緑色の赤ちゃん竜が居た。

 怪我をしている。

 俺は拒否されたらそれまでで死んでもしかたないと思った。

 拒否したら死ぬぞ、その時は野生の掟だ、悪く思うなよと言ってから、かさぶたが出来る傷治癒の魔法を掛けた。


 魔法は掛かり、傷はかさぶたに覆われた。


「がぉー」


 赤ちゃん竜が吠える。

 何言っているのか分からない。

 俺の息子はドラゴンの言葉を喋っていた。

 こいつもしかして、ガービッジドラゴンか。

 母ちゃんは卵を産んだ後グリフォンと一戦交えて忘れたのかな。

 いやウィッチも息子の事は微塵も興味を持ってなかった。

 父ちゃんはどうしたんだ。

 グリフォンにやられちまったのか。


 少し観察してみるか。

 赤ちゃん竜は吠えるばかりでブレスを吐く事も飛ぶ事もしない。

 決まりだな。

 ガービッジドラゴンだろう。


 今から祝福して大丈夫だろうか。

 俺は尻尾で赤ちゃん竜を巻き取り、手を置いて祝福すると念じる。

 その時に渡す情報をブレスの使い方、飛び方、言葉の知識に絞るように強く願った。

 赤ちゃんドラゴンは苦しそうに呻く。

 要らぬ事をしたかな。


 頭を二三度振って赤ちゃん竜はドラゴンの言葉で吠える。


「掛かって来い」


 ドラゴンの赤ちゃんはどうしてこうも喧嘩っ早いのかな。


「お前そんなじゃ死ぬぞ」


 じっさい今、身動き出来ないんだからな。

 よし、今日は特別だ。

 獲物をおごってやろう。

 尻尾に巻き取ったまま狩りに出た。

 ちょうど頭に角を付けた兎が出てきたので、絞ったブレスを吐く。

 良い具合に焼けたそれを赤ちゃん竜の前に置くと、拘束を解かれた赤ちゃん竜は猛烈な勢いで食べ始めた。


「サービスはここまでだ。強く生きろよ」


 俺はそう言ってから飛び立った。


 村に帰るとミニアはあの女の子とチャンバラをしていた。

 なんちゅう遊びをしているんだ。

 女子らしくないんだけど。

 教育を間違ったかな。

 その時村に向かって豪華な馬車が来るのが見えた。

 お偉いさんかな。


 これは場合によっては逃げた方がいいのかな。

 馬車は俺の手前で停まり、ドアを開ける。

 中から出てきたのは金ぴかの魔法使いだった。


「妙な所で会うねドラゴン君。ところで茶色いドラゴンはどこかな」

「ギャオ(知らんがな)」


「君達、茶色いドラゴンの事を俺に教えてくれないか」


 村人に金ぴかの魔法使いは話し掛けた。


「一回猟師が見ただけです」

「噂にもあがっとらんですな」

「もう居ない。ドラゴン情報」


「知らせを受けて大急ぎできたのだけど、残念だ。無駄足だったか」

「ザンダリル様、何かありましたか」


 金ぴかの魔法使いはザンダリルというのだな。

 馬車から顔を出したのはリタリーだった。


「無駄足のようだよ」

「せっかくドラゴンの事が何か分かるかもしれなかったのに。私も残念です」


 リタリーはなぜかドラゴンを見る目つきが研究材料を見るみたいだったから、この展開は分かる。

 きっと竜言語魔法を研究したいのだろう。


「俺はドラゴンが居なくて良かったぜ」


 グバートも馬車から降りて来た。

 居ると思ったよ。

 リタリーといつも一緒だからな。


「リタリー、グバート。久しぶり」

「ミニアちゃん。しばらく顔を見ないと思ったらこんな所に」

「よお、久しぶり」

「立ち話も何だ。どこかでお茶でも飲もう」


 ザンダリルがそう言った。


「四人。ちょうど良い。街まで。飛ぶ」


 馬車の御者にザンダリルは引き返せと告げる。

 そして、伝言魔法でドラゴンは既に居ない事を伝えた。

 ミニア、ザンダリル、リタリー、グバートの四人は慣れている様子で俺に乗り込んだ。

 ザンダリルの態度に恐れがないのは実力に裏打ちされた自信だろう。

 リタリー、グバートは前に乗ったからな。


 ルカイルの街のカフェの前に俺達は降りる。

 街には盗賊退治の依頼をやったら入れてもらえるようになった。


「ちっちゃなテイマーさん、俺はSランクのザンダリルだ。よろしく」

「ミニア。Cランク。よろしく」

「後のメンバーは顔見知りみたいだから、本題に入るよ。ブライシー騎士団が暗躍しているみたいだから、ドラゴンのついでにその調査に来たんだ」

「私も。知りたい」

「そうだね。冒険者なら興味があるよね。戦争になれば駆り出されるんだからさ」


 何っ、そんな事は聞いてないぞ。

 戦力としてあてにされているのか。

 ミニアに詳しく聞けと伝言魔法で指示を出す。


「初耳」

「知らなかったのか。冒険者ギルドは国営だから、いざという時は国の管理下に置かれるんだ」


 何だって、戦争に参加させられるのか。

 人間を殺すのに抵抗はないが、大量虐殺はごめんだ。


「やりたくない」

「それは出来ないね。裏切り者呼ばわりされてこの国には居られなくなる」


 流されておけと伝言を送った。


「仕方ない。やる」

「賢い選択だ。実は俺もやりたくないんだよ。でも仕方ない。この国で生まれたんだから」

「そうなのよね。私も戦争は嫌だわ」

「俺は強者と戦いたいな。ドラゴンとはやりたくないが」


「俺達はしばらくこの街に居るから何か情報があったらよろしく」

「うん。調べとく」


 何か一波乱ありそうな予感がする。


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