4 外国人問題の根源とその他の問題
◇安倍政権が長続きした理由
質問者:
本筋とはまた違う質問なんですけど、2回目の安倍政権ってどうしてあんなに長く続いたんですか?
本人が退陣されなければ10年続いても不思議ではない雰囲気があったんですけど……。
筆者:
安倍氏は1回目の総理大臣の時に恐らく「自由にやり過ぎた」がために1年で交代という事になりました。
そのために2回目の際には様々なところに気配りをしました。
例えば自民党幹事長として歴代最長1498日在任した二階氏、財務大臣として歴代最長3205日在任した麻生太郎氏など多くの議員を束ねる「長老」を上手く活用しました。
また、第一次トランプ政権になった際にすかさず渡米して挨拶したりと、親密さをアピールしました(そして貿易面で日本を売った)。
その上で解散総選挙をするタイミングが優れており、国政選挙にことごとく勝利して5連勝したんです。
国民、党内部、アメリカの3本柱が盤石であったために最長政権になったと言えるでしょうね。
しかし、逆を言うと国民に対しては良さそうなことを言って実際は破壊し、党内部の権力者に忖度し、アメリカに対しては下手に出た――何か最長だった割に何か中途半端に終わってしまったという事なのだと思います。
◇「第三の矢」は後世にも禍根を残すレベル
質問者:
確かに何か大きく成し遂げたというよりも「長く安定した政権」というイメージが強かったですからね……。
ここまで見た限りだとアベノミクスはトリクルダウンが起きていないのに途中で軌道修正が出来なかったことと、実は積極財政をしていなかったという事は驚きでしたね……。
筆者:
ちなみに「第3の矢」としてあった規制緩和や産業力強化というのは「十分でなかった」と言われていますが、一番大きいものが見落とされていると思います。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA046MG0U5A101C2000000/
それは2019年からの外国人労働者――いわゆる技能実習生の「特定一号」「特定二号」と呼ばれている方の大解禁です。
当時ですら様々な在留資格で200万人を超える外国人受け入れでしたが、2018年当時の目標として「2025年までに50万人増やす」とありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31413180V00C18A6MM8000/
しかし実際の2025年末時点では「初めて400万人を超えた」とまであります。予想の3倍ほど増えたイメージです。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00062.html
つまり、これを皮切りに家族なども呼び寄せたりしたりもしたので当初予想していた人数を超えるだけの数を受け入れたという事なのです。
質問者:
6年で2倍だと今、様々な文化的対立や給料が低いままの問題などの外国人問題が発生しても仕方ない感じがしますね……。
筆者:
当時から言語の問題や外国人の人権の問題など様々なことが疑問視されており、「技能実習」から「育成就労」の制度に移行することでこの問題を少しは解消しようとはしています。
しかし、人数を積極的に受け入れる姿勢と言うのは高市政権になってからも全く変わっておらず、全体で上限を123万人、2年間で限れば43万人まで増やすことを目標にしています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2281L0S5A221C2000000/
結局のところ、このように増やすことになったのも「最初の一穴」として安倍政権が開けてしまったからに他なりません。
当初は「少ないから大丈夫」「管理できる」みたいなことを言っていましたが、ここまで数が増えてしまったのです。
最初の段階で警戒しなくてはいけないという事を皆さん覚えていただきたいと思います。2回目以降は結構シラッと間口は広げられていきますからね。
質問者:
確かに当初は、文化の対立、日本人の賃金の低下、外国人の方の人権の問題など「大丈夫だ。大丈夫だ」と言われて結局言われていた通りの問題が生じたような気がしますね……。
筆者:
今もネットを中心に外国人に関しては相当問題になっているイメージはありますが、これでもほとんどの地域が外国人比率3~4%程度なのでまだまだ少ないです。日本人が減る上に自民党が受け入れを推進することから10%になるのは時間の問題であり、「序の口」と考えた方が良いと思います。
更に90年代から小泉政権までの間で規制緩和された派遣についても2015年に大幅に緩和されました。
それまでは3年間派遣で勤めた場合は再雇用は正社員にしなければならない――そんな制度でしたが「労使双方の合意」が必須になりました。
そして同じ部署では暫定的に3年派遣で次からは正社員にする必要があったのも同じ人で無ければ派遣社員を引き続き同じ部署で働かせることが可能になったのです。
https://www.tis.amano.co.jp/hr_news/979/
これは外国人労働問題とは逆で小泉政権が開けた穴を安倍政権で広げた形になります。
質問者:
ですが、安倍政権では「第三の矢」ってほとんどされていなかったことにされているのはどうしてなんでしょうか?
筆者:
簡単に言えば、規制緩和を要求していたアメリカ、経団連、竹中氏一派などの「要求の全てを実行しなかった」ことを不満に思っているだけだと思います。日本全体からしたら安倍政権が行った外国人受け入れの加速、派遣改悪だけでも十分日本に損失を与えています。
質問者:
なるほど、推進側からしたら「足りない」レベルでも日本からしたら痛手という事ですか……。
◇「マクロ経済スライド」で「年金物価負け」が確定に
筆者:
これについては安倍政権だけの責任ではありませんが、安倍政権が「偽積極財政」をしたように見えた大きな要因として年金と医療が膨らんだことがありました。
これまで日本の年金システムが自己積立制度では無く、賦課方式だったのがゴミ過ぎて赤字を垂れ流し続けてきているんです。
この年金社会システムがゴミであり、1973年の話なので今回の本筋には反しますが、その当時も自民党が政治をしていたために失政であると言えるのです。
特に出生率が2を切る段階になった時点で社会保障が大赤字生産マシーンになることは明らかだったので、その時点で自己積立制度に転換しなければいけなかったのです。
質問者:
筆者:
安倍政権では「マクロ経済スライド」というのを適用させるのを定跡化させました。
この制度自体は2004年の小泉政権から出来ていたのですがずっとデフレだったので発動していなかったのですが、派遣の問題と同様で「穴を広げた」として安倍政権の責任は重いです。
※しかも2015年のマクロ経済スライドは800円とは言え年金減額。
質問者:
眠っていた制度が動き出したってのは大きいものがありますね……。
物価高では確か物価高に追いつかない程度の上昇しかされないんでしたっけ?
筆者:
そうなんです。それを高市政権は「年金増額しました」とさも成果のように報告しています。
日銀が「インフレ目標」とか言って設定しているのも物価高に追いつかない程度の年金上昇しかしないので「実質年金減」をして年金支払額を実質的に減らそうとしているんです。
質問者:
なるほど……だから「適正な」が付くとは言えインフレさせようとしているんですね……。
筆者:
現状年金の信頼度が低下して、ここまで制度の複雑さを知らないであろう中高生すらも6割年金を支払いたくないと言っています。
そりゃ現役世代が減り続けているのに高齢者を支えなくちゃいけない狂った制度なんですから、やる気も無くなり、いくら老後のために貯金すれば良いのか分からないので不安感も出てきますからね。
質問者:
筆者さんは自己積立制度にするか任意加入にするかにして若者の人生設計の確立と不安感を減らすのが重要だと常々おっしゃっていますからね。
筆者:
また、消費増税も目的税ではないために実際は違いますが「社会保障のための増税」ですからね。人口動態統計が若者に振れる状況になるぐらいまで全体の人口が減らない限り極めて厳しい社会保障の状況が現制度では続いていきますよ。
◇「利権イベント」を誘致しまくる
質問者:
筆者:
安倍政権では「大型イベントの招致」に成功しています。
一つは「東京オリンピック2020」で2013年に招致を決めました。
もう一つは「大阪万博2025」で2018年に招致を決めました
そして2016年12月にはIR誘致法案――実質的なカジノ誘致法案で日本はマネロンやらギャンブル中毒者を生み出す装置を成立させました。
これらは盛り上がったり経済効果あったりすることが喧伝され、実際に行けばそれなりに楽しいと思います。
しかし、実際は東京五輪には汚職・談合があったり https://www.jiji.com/jc/v7?id=tokyogorin
大阪万博では条件を厳しくして入札日程を短くしたことから3分の2の案件が「1者応札」だったことが分かっています。https://www.sankei.com/article/20250228-LSQGJJ424VPH7MQORBQFCNIN4A/
このように、「政治家のお仲間にお金配りイベント」として国民以上に楽しんじゃっているんですね。
カジノも完成やその後も利権と不正のるつぼになることは間違いなさそうです。
質問者:
ホント、建前では国民のためと言いながら実際は本当に自らの懐を肥やすことしか考えていないんですね……。
筆者:
非常に残念ですけど、これらが安倍政権の評価だと思います。




