2 「氷河期世代」を生み出し「第三次ベビーブーム」を潰した小泉政権
筆者:
ここでは「構造改革」を行うとして様々な日本のプラスを消していった小泉内閣と竹中平蔵氏を中心に語っていこうと思います。
質問者:
前の項目ではバブル崩壊後の利率引き下げ、銀行の統廃合や資金投入のタイミングが遅れたことから銀行は結果的に潰れてデフレ経済になるという大惨事になったという事までは分かったんですけど、小泉さんは何をしたんですか?
◇郵政民営化は「国民に何の益も無し」
筆者:
当時の小泉総理はデフレ経済や閉塞感があるのは「「既得権益」があるせいだ!」と断じ「聖域なき構造改革」を実行しました。
構造改革の意味としては資源配分の効率性を上げることによって潜在的なGDPを押し上げるといったものでした。
ここまではそう間違ったことは言っていません。
ところが、その解決方法が実情の問題とは全く異なるもので、
実態は外資と経団連贔屓の政策ばかりでした。
まず、当時の小泉総理が参議院で否決されて衆議院を解散させるという珍妙なことをやってまで成し遂げた郵政民営化についてですが、
これは「ゆうちょ」の預金を海外に投資させることを目的としたものでした。
実際にゆうちょの投資先は日本国債の割合が3割以上と極めて高かったわけですが、7%まで割合が減り、その分外国債や外国株式(主にアメリカ)に対する投資が80~90兆円増えたことも分かっています。
https://ameblo.jp/adachi-kyoto/entry-12882855976.html
質問者:
その分、円安が進んでいることを考えてもマイナスですよね……。
筆者:
安定した国債引き受け先が半減したわけですから、その分当然ですが国債利回りと言うのも上がります。
日銀引き受け額が減ったのも近年では影響が大きいですが、その前の段階から国債買い入れ先を国自ら民営化によって減らしているという要素も大きいんですね。
しかも笑えないのが、「既得権益」の代表格としてつるし上げられた郵政ですが、確かに郵便事業のみでは赤字ですが、保険やゆうちょは黒字であった上に独立採算制だったために、ほとんど税金は使われてこなかったんです。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-08-20/2005082003_01_1.html
そのために、ここを郵政民営化したところで国民の税負担が軽くなるなどは一切ありませんでした。
郵便事業の運営は非効率で問題があったかもしれませんが、民営化した後の最近でも点呼未実施、フリーランス法違反などコンプライアンス違反が相次いで発覚しています。
更に、民営化後の方が赤字で650億円ほど公費が投入されることが確定しているぐらいです。
https://www.nishinippon.co.jp/item/1506145/
※一方で株式はすべて売却される予定でしたが、その後法改正で覆ったので完全に乗っ取られる危険性と言うのは現在無くなっています。
質問者:
ホント、日本のお金を外国に投資させるためだけの民営化だったんですね……。あまりにも酷過ぎます……。
◇派遣が増加し、「第三次ベビーブーム」のはずが「氷河期世代」になってしまう……
筆者:
そして前の項目からの続きの話ですが、デフレ経済や銀行の不良債権問題は雇用において非常にマイナスの側面を及ぼしました。
企業は急激なリストラをしない代わりに新卒採用を大きく抑制したんです。
1993年から2005年までの間は有効求人倍率は1を割り込むほどだったようです。
そこで、公務員を増やすなどの救済措置を取ればよかったと思うのですが、
小泉政権と竹中氏は「官から民へ」という発想であったためにそんなことをするはずがありません。
そして、トンデモプランをブチ上げたのです。
それが、派遣社員の規制緩和です。
小泉政権の前の1996年から実は派遣は拡大されていたのですが、2004年には製造業にも適用され男性の非正規の割合は96年以前の7%台から小泉政権時には10%台に、小泉政権の更なる規制緩和以降は20%台と急激に上昇していきました。(女性の場合は主婦のパートがあるため主な収入源でない可能性もあるために比較対象としないものとする)
当然のことですが、非正規では収入がままならないために結婚どころの話ではありません。
氷河期世代の非正規雇用の未婚率は6割に達するというデータもあり、90年代から小泉政権にかけての非正規の大規制緩和というのは「第三次ベビーブーム」というのを発生させない大失政だったと言っても過言ではありません。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/6f84f4110196c2ff19f7a8508e57de3765d92e9a
単発の政策ではこれが30年のうち最も大失政だったと断言できるレベルだと思います。
深刻な少子化問題、外国人問題もここがターニングポイントだったと思いますからね。
質問者:
少子化対策に今、年8兆円とか予算をつぎ込んでいますし、外国人の方受け入れも今後増えるという話になっていますけど、ここで団塊ジュニア世代が氷河期世代になっていなければ……という感じなんですね……。
筆者:
この時は20年以上前ですから当時生まれた子でももう成人されていますからね。人口動態にも大きくマイナスの影響を与えました。
しかも酷いのが当時の小泉政権は「この世界でのし上がっていけたのは本人の努力の結果で、そうでなかった人は努力が足りなかったからだ」という「自己責任論」に自らの失政を予見してか責任を擦り付けました。
https://kin-ikyo.or.jp/headquarter/tokusyuu/201101-1jikosekinin/jikosekinin03.htm
確かに、全く努力をしていない方が良い職に就けないという事は間違いないと思います。
しかし、氷河期世代の方は努力をしても有効求人倍率が1を切っており、優秀な人であっても職に困る状況で、「世情が悲惨」だったのです。
それを救ってこその政治だと思います。それにも関わらず「自己責任」としてやらなかったことは小泉政権全体が「戦犯」と言っても過言では無いです。
この時救っていればまだ少子化に歯止めがかかったのですからね。90年代の失政も回復できたかもしれませんし、振り返れば歴史の大きな転換点でした。
それを酷いことをやりながら「よくやっているように見せかける」ことに関して小泉政権は超一流だったと言わざるを得ません。
質問者:
竹中さんは小泉政権の中でも極めて嫌われているんですけどやっぱり派遣の問題からですか?
筆者:
竹中氏は当時総務大臣・郵政民営化担当大臣であったことから直接派遣の規制緩和とかかわりがあったわけではありません。
しかし、議員を辞した後は人材派遣会社のパソナ会長に就任したことから、「利益相反では?」と度々言われているわけです。
竹中氏はこれらに関し「自らが全ての政策を最後までやっていない」「パソナは当時解禁した製造業の仲介をしていない」として責任を免れようとしています。
しかし、ありとあらゆる政策を最初から最後まで貫徹させる大臣は存在しないと思います。大抵は閣議で全会一致をして決めているので、当時大臣だった身としては責任が大いにあると言えるでしょう。
ここまで見てきたようにこの30年の問題の根幹にかかわるところですからね。「私が反対して止めたのだ」というのならわかりますけど、現実は派遣を推進して今も世界経済フォーラム(ダボス会議)の理事で日本維新の会の倫理委員会会長で政治への影響もありますからね。
質問者:
筆者:
ここで凄いのが「日本を破壊した」とまでネットでは嫌われている竹中氏に対して高市政権は旭日大綬章に選びました。(旭日章の中では最高位、全体でも3番目)
https://news.ntv.co.jp/category/politics/ca848f92f2ad4e4cb2023a278e70d980
倫理委員会の会長としての竹中氏の立場があるので、維新の会との連立の関係もあるかもしれませんが高市政権としては事実上「竹中氏の業績と政策を肯定」しているということをここで言及したいと思います。
3つ目の項目では2010年代で「アベノミクス」をして国債を発行しまくったのにどうして日本はその間、好転しなかったのか? を中心に語っていこうと思います。




