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混沌迷宮の支配者 難攻不落のダンジョンと最強の魔物軍団  作者: しんこせい
第二部

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86/98

雷神

 ◇◇


あとがきに大切なお知らせがあります!

ぜひ最後までご覧になってください!


 瞬間、アッズワース自身の身体にかかっていた自重が一瞬にして消えた。

 めまぐるしく変わる視界、そして腹部に感じる強い衝撃。


 自分が攻撃を食らったのだとわかったのは、彼がステージを飛び越えて観客席へと叩きつけられた時であった。


「これは……驚いたな」


「そう、どうやらお前も気付いてたみたいだが……俺は、素手のが強ぇ」


 アッズワースはどうやらかなり驚いてるようで、言葉を失ったままジッとイシドロのことを見つめていた。


 全身から雷を迸らせながら、イシドロはそのあっけにとられた様子を見てハハッと笑う。

 今の彼は全身から雷を迸らせているのではなく、全身そのものが雷と同化していた。


 この世界の魔物と戦うために人類が生み出した叡智の一つであるジョブにはいくつかの種類がある。


 通常のジョブ、そのジョブレベルをカンストして就くことができるようになる上位ジョブ、そしてその先にあるのが……この世界でただ一人しか就くことができぬ唯一無二のジョブ、超級ジョブだ。


 超級ジョブ雷神……それこそがイシドロを現役のSランク冒険者へと覚醒させた力の源泉である。


「ぐっ……」


「遅ぇッ!」


 アッズワースが立ち上がろうとした時には、既にイシドロはアッズワースの背後に回っていた。

 彼はアッズワースに跳び蹴りを見舞うと、横に吹き飛ぶアッズワースの背後に回りその巨体を蹴り上げた。


 そのままハヤブサのように宙を舞い、更に連撃。 


 ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!


 アッズワースが防御姿勢を取る間にはその脇を掻い潜って十を超える超える打撃をたたき込み、カウンターを放とうとすればその間を縫う形で連撃を見舞う。

 その動きはあまりに速く、先ほどまで速度が拮抗していた二人の均衡は完全に崩れていた。


 ただ速いだけではなく、その一撃一撃の威力も上がっている。

 先ほどまでは薄皮を切ることしかできなかったアッズワースの全身が、衝撃を逃しきることができずにべこべこと目に見えて凹んでいる。


 内側に凹んだ打撲痕は赤く変色し、中には青色が混じり腫れ上がる部位まで現れ始めた。


 突如として速度と威力が大幅に向上した理由はもちろん、彼が使ったスキルによるものである。


 雷神固有スキル、雷化の理。

 これは自身の肉体を、自身が放つ雷魔法と同化することができる力である。


 現在彼は超級雷魔法疾風迅雷と同化し、魔法そのものへとその肉体を変じさせている。


 超速戦闘を可能とする魔法そのものとなった彼は、強化された肉体ではなくその強化を宿す魔法エネルギーそのものとして動くことができるようになることでその速度と威力を加速度的に上昇させてみせたのだ。


 だが先ほどまでと動きが変わったことを感じ取ったアッズワースもまた、混沌迷宮の魔物達の長である軍団長。

 彼もまた、即座に新たな動きを見せる。


「ぬううんっ!!」


 イシドロからラッシュを受けているアッズワースは、その場で急に棒立ちになり肉体に力を込め始めた。


「させるかよっ!」


 何かをするつもりだというのはすぐにわかる、故にイシドロは技が出るよりも速く出先を潰しに向かう。

 彼の雷掌が、アッズワースの腹部に触れる。


「カンナギ!」


 そして自身が魔法と同化している彼は、いわば魔法という現象そのもの。

 精霊種などと同じように、今の彼は精神集中や詠唱すら必要とせず即座に魔法を起動させることができる。


 発陘として押し込まれた打撃がアッズワースの外側の皮膚と筋肉を内側へと押し込み、その最奥から生じた魔法剣が体内を押し進んでいく。


「カンナギ! カンナギ! カンナギイイイイイッッ!!」


 連続して炸裂する超級魔法。

 一度の発動でAランクの魔物程度であれば焼き切れるほどの高温と破壊が、アッズワースの内側を責め立てていく。


 都合四度のカンナギの連続発動により、彼の魔法はアッズワースの肉体を貫通した。


 初めてアッズワースに、確かなダメージを通すことができた手応えと共に掌毎魔法剣を引き抜くと、血が噴き出し、周囲に展開された雷魔法による高温がそれを即座に蒸発させた。



「はっはっは、痛いのぅ! こりゃあ参ったわい!」


 腹部から滝のような血を流しながらも、アッズワースに焦るような素振りはない。

 状況は圧倒的にイシドロ優位、けれど彼は油断することなく新たな雷超級魔法を発動させた。


「カンナ……雷公招来(ディヴァイン)!!」


 ゾッ!


 再び距離を詰めようとしたイシドロは、アッズワースが纏う気配が変化したのを感じ取る。


 存在が一段階強くなったアッズワースを前に彼は使う魔法を即座に変え、近接型のカンナギではなく中距離攻撃魔法である雷公招来を発動させる。


 半魔力体となっている彼の肉体は魔法発動までのラグがゼロになるため、発動させる魔法の選択肢を現象改変の瞬間まで無数に保持したまま戦うことが可能であった。


 天から舞い落ちた雷が、ステージを覆い尽くすほどの大きさと勢いでアッズワースへと襲いかかる。

 閃光、遅れて轟音。

 ステージが破壊され、その周辺に展開されている観客席がひっくり返りながら闘技場全体が揺れていく。


 発動した魔法の規模の大きさ故に、発動して一秒が経過してもなお、その場には光が残り続けている。


 高温によってオゾン化した酸素の嫌な匂いが辺りに立ちこめ、光が霧散して消えていく。

 するとそこには……全身から炎を発する、アッズワースの姿があった。

新作の短編を書きました!

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めちゃくちゃ気合い入れて書きましたので、ぜひご一読を!

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