幕間、暗闇の悪意たち
「……おい」
暗闇の中で、低い男の声がする。男は同じく暗闇の中に佇む何かに、声をかけたようだ。
「……なに?君の提案、もう信じられないんだけど」
暗闇の中の何かは、男に素っ気なさそうな態度をとった。
男は気にした風のなく続ける。
「提案じゃねぇよ。お前が食いつきそうな知らせを持ってきたんだ。ハーマレー島でな」
「ギルギさんに先を越されたハーマレー島で?」
呆れたような声が暗闇に響く。
男は、それはすまねぇよと言ったものの、特に反省した風もない。
「…それで、何、知らせって?」
「……アイツが、聖女一行の中にいた。どうやら、しっかり生き残ってくれてたようだぜ」
「…………………」
男が持ってきたその知らせに、暗闇の中の存在は息を呑む。しかし、次に出たのはつまらなそうな声だった。
「僕としちゃあ、それはもうどうでもいいんだけど…まあでも確かに、一人にさせておくのもいい加減飽きたしね」
男は知っている。
暗闇の中の存在の態度は、真っ赤な嘘だ。
なぜなら、その体全体で喜びを表しているのだから。
「…なら、協力してくれるよな?」
「…しょうがないなぁ。これが最後だよ?」
心底嬉しそうな声色でそんなことを言う存在が、暗闇から這い出てくる。
見上げるほどの巨体を緑の鱗で覆ったその存在は、その瞳に希望の光を宿して。
「でもそっかぁ。これでようやく再会できるんだね……待っててね、カイ!」
そして、残酷な笑みを浮かべた。




