9 もう1人の妹
そして、数日後、いよいよやってきた末の妹マミ。
「ただいまあ!」
「マミー!」
事務所にきたマミは、姉2人と抱き合い、とても、嬉しそう。
「もう、何年振りだと思ってるの、あんたなかなか日本に顔出さないんだから。」
「ごめんなさい。もう仕事が忙しいし、色々なイベントとかもあって。」
妹は、なんか、けっこうオシャレさんで、それを見たコスメは、なんだか複雑な表情で固まってる様子。すると、
「あ、あなた、妹さん?なの?」
「あっ、すみません。ご挨拶が遅れました。はじめまして。妹のマミです。いつも2人の姉がお世話になってます。今日から、私も宜しくお願いします。」
というも、コスメは、まだ固まっている。
「あ、あなた、モデルのMMでしょう。世界的に有名なトップモデルのMMよね!?」
すると、ネージュが言う。
「あっ、実は、そうなんです。今回のために、フランスの事務所をやめて、日本に帰ってきてくれたんですよ。黙ってて、すみません。別にかくしてたわけじゃないですけど。ひょっとして、驚きました?」
コスメは、あまりの驚きに、目を白黒している。
「驚くもなにも、私は、MMの、大ファンなのよお!本物よね?まさか。まさか、まさか、まさか、会える日がくるなんて、信じられない。ていうか、この事務所にきてくれるなんて、私、夢でもみてる?」
すると、マミは、
「少し前に、お姉ちゃんから、うちにきてくれない、今困ってるのよ、って連絡があって。もう、大好きな2人のお姉ちゃんに頼まれたら断れないもの私。そういえば、事務所、お金大変らしいですよね。それなら、大丈夫。ちょうど今やってる仕事終わったら、1億くらい入るから、それでまず足りますよね。」
すると、すかさず、ネージュが、
「いやいや、事務所立て直しどころか。そのうち、もうひとつビルが立つわ。」
そのやりとりを横で見ていたカメラマンの蓮津、呆然とした表情で、
「ほ、ホンモノのMMだあ.....。こ、こんな事務所でいいのかあ。」
すると、コスメは、
「蓮津さんったら、なんて、顔してんのよ。それにしても、こんな奇跡みたいなことってある?たぶん1人でエリカルの10人分以上稼ぐわよね。いや、そんなもんじゃないかも。」
その横で、さらにショックを隠せない様子の灯、
「こ、これは、ネージュが来た時よりも何倍も驚きよ。どうして、今、こんな子ばかり集まるの!信じられない。」
コスメは、言葉を続けて、
「ていうか、改めて生で見るMMは、さすがだわ。透明感があふれてて、オーラが半端ないわ。世界的なトップモデルって、こんなにも違うのね。あなたたち2人を超えてるかも。雑誌やme-Tubeで見て、すごいと思っていつも見てたけど、生でみたら、もう全然違う。とんでもないレベルね。直接会えるなんて、本当に、夢みたい。しばらくは、どうやって接したらいいか、正直言ってわからないわ。残念だけど、表向きには、私、ファンをやめないといけないかしら。」
「そんなあ。とんでもないです。お世話になります。私、1番後輩ですから、宜しくお願いします。」
すると、がまんできずに、蓮津が、
「あ、あのう、せっかくだから、MMの写真撮って、事務所に飾りませんか。絶対にこれ、すごい宣伝になりますよね。」
「ああ、いいわね、それ。」
すると、エリカルは、
「あっ、ちょっと待って待って。それ、写真は、今すぐじゃなくても、また、今度にしない。この事務所のビルの片付けや、あっ、それと、みんなの仕事が落ち着いたらということで、、、。」
エリカルは、フェレナが、MMのことをまだ知らないので、世界一のトップモデルで、まして年下なのに同じ事務所に入ることを知ったら、どう思うだろうか。すぐにライバル心を燃やすフェレナに伝えるのは、もう少しだけでも、あとにした方がいいのではないかと、さて、どうやって、MMのことをフェレナに切り出そうかと、考えるエリカルであった。