表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/11

11 最強のMM 最終話

ところで、エリカルの1番気にしていた、フェレナに初めて、MMがモデルラボに移籍したことを伝えなければいけない、ということがあった。実際、2人はお互いに会う機会がなかなかなかったので、顔を合わせていないけれども、知ってはいるのかもしれないが、フェレナは、非常に、他のモデルにライバル視をしやすい人なので少し心配だったのである。



世界のMMとはいっても、あとから入ったMMはフェレナの後輩になるのだし、エリカルの妹なのだから、エリカルから紹介しないわけにはいかないのだった。


そんなある日、MMと雑談をしていたエリカルは、事務所に戻ってきて、向こうに見えたフェレナに声をかける。

「フェレナーっ!」

はっ、とこちらに気づいて、

「エリカルーっ!」

と叫ぶが、さらに、あっ、という顔になり、驚きの表情になった。

そんなに驚くことなのだろうか、エリカルは、思ったが、なるほど、MMがどれほど有名なのか知っているからなのだと思った。

「フェレナ、久しぶり、なんだか会うの久しぶりね。」

なんだか、フェレナは、一瞬黙ってから答えて、

「ああっ、そうね。久しぶり。あのう、紹介してよ。」

「ああっ、ごめんなさい。今度、事務所に入ったMMよ。」

「フェレナさん、はじめまして。MMです。宜しくお願いします。」

「あっ、よ、よろしく。こちらこそ、よろしく。さんは、つけなくていいわよ、フェレナで。」

「そうですか。わかりました。」


なんだか、様子がおかしなフェレナ、

「フェレナ、どうしたの?今日は、なんだか変よ。」

「ごめんなさい。実は、私、すごく緊張していて、、、、、、。本当は、私、MMの大ファンなのよ。本当は、MMさまって呼んでるんだけど、もう、そうもいかないわね。」

なんと!ここにもこんなファンがいた!MMの人気、恐るべし!

「実は、私ね。ここから先は、笑わないできいてよね。MMのファンクラブに入っていて、me-tubeのMM's MMはいつも観てるんだけど、その中でも特に、MM in Japanは、もう大好きで、いつも楽しみにしてるのよ。」

「えっ、本当に。モデルがモデルのファンだなんて、笑)」

「何、言ってるの!笑うなんてひどいわ。だから、笑わないで、って言ったでしょ。」

「ごめんなさい。つい、妹だと思うと、なんか実感が湧かなくて、つい。」

「えっ、な、何?今、妹、って言った?ど、どういうこと?意味がわからない。」


すると、突然やってきたネージュが、

「言わなくてごめんなさい、フェレナ 。MMは、私たちの妹のマミなんです。私たち、三姉妹なのよ。」

それは、とんでもないほどの驚きよう!フェレナは、知らなかった!

「ええっ!MMさまが、あなたたちの妹ーっ!ど、どうしてえ?」

フェレナのありえないほどの驚きようは、リカとネージュを、さらに驚かせた。

「MMさまが、、、、、。MMさまが、まさか、、、。」

動揺が収まらないフェレナが声をかけた。

「いつもファンクラブで、ありがとうございます。」

なんと、MMは、フェレナがファンクラブに入会していることを知っていたのだ。

「これからは、同じ事務所の仲間として宜しくお願い致します。」

と言って、MMは、ぺこりと頭を下げた。そして、フェレナも遅れて、申し訳なさそうに頭を下げ、MMが頭を上げるまで、フェレナは、頭を上げられなかった。


リカは、ネージュに言った。

「それにしても、こんなところにまで、マミ、じゃなかった、MMのファンがいるなんて、本当に、信じられないわ。」

すると、ネージュは、

「そうね。だけど、おそらく、お姉ちゃんが、マミ、じゃなくて、MMのことを1番知らない人じゃないかしら。それなら、me-tubeのMM's MMというチャンネル、その中でも特に、MM in Japanというのがあるから、一度観てよ。登録者数が、今、2,800万人いて、平均の再生回数は、3億4千万回の、とても人気の動画よ。一度観て。」

正直言って、その驚異的な数字だけで、リカは観ることに決めたのだった。


どこどこ、そんなに言うなら、観てみよう。MM in Japanは、僅か50分の動画なのだが、MMの魅力があふれるほどに詰まっていて、まず、オープニングから、楽しくて、最初の20分は、可愛いパートであり、とにかくMMは、可愛い衣装で、可愛さがすごいのだが、踊りながら、あっという間にいくつもの可愛い衣装に着替える度に、MMの可愛さを変化させていく。そして、次の20分は、綺麗なMMの魅力が、着物を着て登場して、あっという間に、洋装になり、大人の女性の魅力にあふれた表情も織り交ぜて、次々と一瞬で着替えていく。そして、最後の10分は、プライベート風で、ホッとした表情で何かを美味しそうに何かを食べて、ご満悦の表情。この最後の10分は、素のMMにちょっとだけふれられる貴重な時間、そして、ファンにメッセージをひと言残して終わる。この50分が、実に、見どころ満載で、一度観たら最後、次の動画が配信されるまで何回も観てしまう。観るたびに、MMの魅力をすりこまれてしまい、もうここからは、MMの虜になるしかないといった感じ。話しに聞いていた以上に、すごいのね、綺麗で可愛くて、MMの魅力が、爆発してる、これは何回も観てしまう。


50分を見終わったリカは、これは、自分たちがただ単に見た目の容姿だけでアピールしているのとは、格段に違うと思い、もはやMMは、モデルだけではなくて、世界的なエンターテイナーなのだと、自分たちとは、もうレベルが違うと思うのだった。


さて、移籍の記者会見が終わり、ネットニュースに上がると、たちまち、検索数が上がり、MMがトレンドトップになり、続いて、モデルラボ、エリカル、フェレナ、ネージュ、と関連したニュースから、トップ5がすべて事務所関連となり、事務所には、仕事の依頼や、問い合わせが殺到し始めた。まさに、ネージュの読みが大当たりしたのである。デビュー時に1人で営業して仕事を増やしてランキングの上位に入った経験のあるネージュ、さすがの才能を発揮して、彼女のおかげで事務所は、活気を取り戻したのだった。そして、僅か2ヶ月で、MMは、業界誌のモデルランキング50でダントツ、不動の1位となる。


その後、モデルラボは、フランスで、巨大なファッションイベントが、1年後に開催されるという知らせを受けた。このイベントは、一流のデザイナーが参加する最大級のファッションショーで、世界中の注目を集める場であった。そして、この場では、特別に、ファッションとは別枠で、ベストモデルがたった1人選ばれる、ベストモデルアワードという賞が設けられている。


今や国内では、トップクラスのモデル事務所となったモデルラボも、MM、エリカル、フェレナ、ネージュ、の4人の参加を決めた。ここで、4人のうちの誰かが受賞すれば、事務所の名前が世界的に広まるチャンスなのである。1年後とは、さすがに、各国から多くの著名なデザイナーがそれに向けてくるので、このイベントのためだけに準備する期間を設けたということなのである。デザイナーやモデルの参加についても、1年前からの申し込みであり、その規模はめったにないものであった。


そして、1年が過ぎて、いよいよイベント当日を迎えた。これは、デザイナーにとってはもちろん、ベストモデルアワードという別枠もあって、世界からとても注目されている。

発表されるデザインは、数百種類で、出演するモデルは100人を越え、観客も二千人を越えている。開始時間が迫る中、モデルたちは、着替えを始める。各国から有名なモデルも来ていて、このイベントの規模がわかるというもの。


そんな中、日本人は、自分たち4人かと思いきや、もう1人だけ、フランス国内から参加している日本人、リリアンがいた。さすがに、パッと見は、日本人であることがわかるのだが、フランス滞在が長いのか、その影響なのか、とても洗練されたイメージがして、さすがに綺麗だと、エリカルは、感心した。

すると、コスメは、ある人に気づいた。それは、MMがフランスにいた時、数ヵ月に渡り、彼女の1位を脅かしていた唯一の、フランス人モデル アニエス・フランソワだった。今回は、彼女もきていたのだ。コスメは、思った。今回のアワードは、もしかしたら、簡単に取らせてもらえないのではないかと。


主催者やデザイナーの挨拶やイベントの紹介が行われ、いよいよ始まりです。各デザインは複数のモデルによって披露されていく。ランウェイを歩くモデルたち、多くの観客に戸惑うモデルもいて、交互に着替えて、慌ただしい。モデルの人数も多いので、着替える部屋も混乱して、大変なことになっている。


続いて、デザイナー自身や重要なモデルがウォーキングを行い、ショーのクライマックスを迎える。そして、デザイナーが登場し、観客からの拍手喝采を受け、最後に、すべてのモデルが再び登場し、これでイベントの終了となった。次に、今回のメインとも言える、ベストモデルアワードである。これは、前もって、書類審査や予選選出があり、事前に送られた映像を観て審査され、最終審査までに、10人が残っていて、そこには、MM、エリカル、フェレナ、ネージュ、そして、アニエスと、リリアンが含まれていた。そして、最終審査の舞台とは、それぞれ5分のフリーのアピールタイムというもので、その5分はどんなことをしても良い。それぞれ自分の得意とするものを披露して、それは、時間にそこまで制限はなく、自然に10分まで延長しても良い。長いパフォーマンスが無駄になるなら、スッキリと短くしたり、5分から10分までは自由である。


その現場で、モデルたちの最終審査のパフォーマンスを、コスメはすべて観ていた。やはり、世界中から集まっているモデルたちは、さすがだと思ったし、モデルラボの4人を観て、改めて素晴らしかったと思ったのだった。しかし、コスメは、アニエスのパフォーマンスを観て、愕然となった。


その内容とは、MMの持っていないものをすべて出してきたのであった。これは、MMのことを研究し尽くして、全く違う方向から攻めているのだ。大きな賭けに出たようだった。これはまさに、0か100かというところだが、アニエスの大逆転勝利ということもありえる。まさに、一か八かの判断を下した末のパフォーマンスであったのだ。それは、エリカルやネージュ、フェレナも少し不安を感じていた。


コスメは、これを見てMMは、どのように対抗していくのかと思ったが、我に帰り、はたして、MMは、これまでどうやってきたのかを改めて振り返ってみたのだった。これまでも、MMは、相手に対抗したり、周りのモデルたちを見たり意識して、やり方などを変えることはなかった。それは、多くのモデルたちは、人がこれをやっているから、自分はこれにしようとか、新しくこれでアピールしようとか、やり方を変えて目新しさを強調したりする。それは、やはり相手を意識するからなのである。しかし、MMには、そういう作為的なものは、これまで一切感じなかった。人と競う状況であっても、決して周りを意識せずに、自分の魅力をただ直球で表現する。すると、結果として自然に他を上回っているのであった。


さて、いよいよ、MMのパフォーマンスの番がきた。ここまで、最終審査に残ったモデルの最後のエントリーとなり、皆んなが固唾を飲む中、MMの登場だ。ゆっくりと舞台に現れたMM。


すると、皆、驚きがかくせない。そして、口々に、あれは、ひょっとして、あれだ、何ということ。皆、互いに顔を見合わせながら、驚いている。

舞台上に現れたMMは、豪華な着物を着て、パフォーマンスを始めている。その着物は、美伝織という伝説の織物で織り上げられた「美の匠」と名付けられた、2億円の最高級の着物である。しかし、皆は、ただその着物そのものだけに驚いているのではない。MMが配信している、me-tubeのMM's MMというチャンネル、その中でも特に人気のMM in Japanにおいて、過去で最高再生数8億7,000万回を叩き出した動画で着ていたものであり、MMは、これをこの動画以外では着たことがないという。ということは、どういうことなのだろうか、皆の期待とドキドキがおさまらない。パフォーマンスが進むにつれて、その理由が明らかになっていく。



なんと、その再生回数最高の動画そのものを、MMは、今、ここで生で披露しているのである。審査員たちを初め、多くの観客たちはもちろん、他のモデルたちも感激している。審査員たちも口々に、


「この動画は、毎週何回も観ているよ。私は、これの大ファンなんだ。これが、今、ここで生で観られるとは、、、。」

「ネットで観ても、すばらしいのに、これを目の前で観られるなんて、、、。」

「この着物を、本物を一度でいいから見たかった。夢がかなったんだ。」

「これを、この場に持って来るなんて、誰も勝てるわけなどないじゃないか、すばらしい。」

伝説の織物で織り上げられた着物を着ているとはいえ、MMの存在感は、全くそれに負けてはいない。むしろ、MMの魅力をさらに引き出している。


時間制限の10分をすぎても、審査員は誰一人として、やめようとしない。このパフォーマンスが、20分あることは誰もが承知しているのだ。それに、この動画半分を過ぎた辺りでの洋装への早着替えが、この動画の、また大きな特徴なのである。みんな、me-tubeでの動画と同じものを生で観ているという感動が隠しきれない、と同時に、あの着物からの早着替えが、あのすごい見せ場が、まさか、今、ここで、生で、観られるのか、まさかの、あれが、と、息を呑む瞬間、あっという間に、MMは着物から、洋装へと変わっていく。観客は、もちろん、審査員も、他のモデルたちまで、全員が、もはやMMの虜となり、観客となっていた。時々、鳥肌が立っていて、自分の腕をさすりながら観ている人もいる。20分は、まさに至福の時間であった。


そして、20分が終わり、MMが深くお辞儀をして、下りながら、にっこりと笑顔でウインクするサービスのおまけ付き。全員が、スタンディングオベーション、いつまでも拍手が鳴り止まない。MMが退場しても、しばらく会場は、拍手に包まれていた。そんな中、アニエスは、自分の、対MMのために計算し尽くして構成した、自分のパフォーマンスに比べ、その爽やかで純粋無垢で、ストレートに自分の魅力を表現しているMMに、とても恥ずかしさを覚えるのだった。


そして、いよいよ、ベストモデルアワードの発表となった。それは、なんと審査員全員一致の評価で、MM、に決定した。これは、もう、発表前から、皆、わかりきっていた。

イベントは、大盛況のうちに幕を閉じ、モデルたちは、それぞれ着替えをしている。これから、ゲストや関係者が集まり、交流を深めるアフターパーティーが行われるため、デザイナーやモデルたちも集まっている。パーティーが始まり、著名なデザイナーや関係者は、トップになったMMと社長のコスメに集まっている。MMは、まだ10代と若いのにさすがの貫禄であり、エリカルもネージュも感心している中、それを見て、フェレナは、とても嬉しそうに拍手をしている。彼女は、どこまでもMMのファンなのであった。


すると、唯一フランスから参加していた日本人のリリアンが、エリカルの元にやってきた。

「お久しぶり、リカさん。」

えっ、誰?エリカルは、誰なのか、全くわからない。

「???」

「ごめんなさい。たぶん、5年ぶりかしら、もっとかも。聖美少女女学園で、元生徒会会長だった、雨宮美咲よ。お久しぶり。」

なんと、あの元生徒会会長だったのだ。それにしても、なんて綺麗になったのか。当時も、生徒たちの中では、ダントツで美人だったけれど、大人になった美咲は、その何倍も綺麗になっていた。

「わあっ、全然わからなかったわ。正直言って、今、名前を言われてもわからない。すごく変わったわね。」

「それって、褒められてるの?笑)」

「ええっ!もちろんよ。元々、綺麗だったけど、やっぱりモデルになるくらいだものね。本当に、さらに綺麗になったわ。」

「あ、ありがとう。でも、綺麗なあなたに言われると、ちょっと照れ臭いわ。だけど、リカさんもさすがね。あの時、素顔のリカさんを見て、衝撃的だったけど、やっぱりモデルになってたのね。絶対に周りは勧めるわよね。」

「雨宮さんは、今、フランスに住んでるの?」


当時、聖美少女女学園で美人評価値でリカに負けて以来、自身の美貌に自信を失っていた美咲は、フランス留学をしていた。

そして、大学時代に、フランス国内でスカウトされて、モデルになる。実は、高校時代に、リカに負けたとはいえ、世間では、その美貌は、かなりの評価を受けるほどのレベルであった。そこに、年を経る毎に、ますますその美貌には、磨きがかかって、フランス国内で、常に、モデル業界で、ベスト5内に収まるという人気モデルになる。ところが、その1年後に現れた、MMに追い越されて、MMは、とうとう1位となり、それ以来、リリアンは、いつもベスト10内にいた。やはり、美咲にとっても、MMは、モデルとして別格であったが、しかし、MMが日本に帰国した際に、MMは、実は、リカの妹であることを知り、ショックを受けるが、改めて、リカの妹であるMMをたとえ一度でもいいから上回ってリカに見せつけたいという野望をもくろみ、このイベントへの参加を決めたのだった。そして、一年間、徹底して、あらゆる美容法などを駆使して、事務所の協力も得ながらモデルとしての自分磨きを行なってきたのだった。しかし、見事に1位となるMM。リリアンは、MMに、簡単にやられてしまったのである。


「そう。そんないきさつがあったのね。でも、私、今、正直に言うと、私とあなたの対決だったら、たぶん、私、負けていたかもしれないわ。私だったら倒せたのに、MMを相手にしたのは、間違いだったわね。容姿だけを主に勝負している私たちとは違って、MMは、内面からもあふれる魅力を含めて表現しているので、私たちにはかなわないのよ。同じ同業者のプロの多くのモデルたちが、彼女のファンなんですもの。もう、どこまでもかなわないわ。妹であっても、モデルとして、本当に尊敬できるわ。」


そう言って、笑うしかないエリカルだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ