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28話


ナーム達、封印の一族について話を聞いた。

夜も遅くなったので泊めてもらい、朝に帰ることにしてベッドに潜り込むと疲れてたのかすぐに眠ってしまったようだ。


「どこに、送りましょうか?」


今となっては遺失魔法である《転移》も遥かな時を生きているナームが使えても不思議はなかったというわけだ。

ナームにしても、遺失魔法という認識はないみたいだ。


「行ったことがあるところには行けるんだっけ?」

「そうね、後は《固定転移(ポータル)》の魔法があるから、行ったことがなくても、たいていの場所ならば近くまでは送ってけるはずよ」

「どこがいい?ユリィ」

「帝都は可能でしょうか?」


そういえば、帝都に向かっている途中でユリィがさらわれたんだった。

ルメリア国が無くなってから、一月近く遅れの報告でもユリィの最後の仕事だからちゃんとしないといけない。


「えぇ、大丈夫よ……帝城に直接じゃあ問題あるわね……近くの丘にでも繋げるわ」


ナームの魔法が完成すると《転移》の渦が出来た。


「またね、ナーム」

「えぇ、元気で」


見送るナームと別れ、渦へと入った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ナームに送ってもらって、帝都が一望出来る丘へと出た。

帝都は中心に城があり、円形に城下町が発展している。

町を守る防壁が幾重にもはり巡らされて、土地勘がないと迷え構造を眺めていると、どこからか剣戟の音が響いてきた。


「帝都のそばで戦いって、良くあるの?」

「そんなわけないよ、音は……あっちの方からだね」


魔法と思われる爆発音のする方へと向かっていく。

見晴らしのいい平原にて展開されたいたのは、赤い鎧に龍を象った旗を持っているのと、黒い鎧に所属を示す意匠などない集団だった。


「わかる?」

「【赤龍兵】は第一皇子様の部隊ですね、黒いほうはわかりません」

「帝都って、帝都軍と第二皇子の部隊が守ってるんじゃないの?」


ユッカが疑問を挟んで来る、ユリィの話だと第一皇子は北方面を任されていて本来ならここに【赤龍兵】がいるのはおかしいようだ。


「それで、押されてるようだけどどうする?」


【幻獣】に立ち向かえる戦力が人の争いに介入するのはどうかと思うけど、所属不明軍の方がやや優勢のようだ。


「状況がわからないので、無視しましょう」

「わかった、じゃあ巻き込まれないうちに帝都に入っちゃおうか」


気にはなるけど、帝都へと向かった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


帝都へと入る門へと、到達した。


「当然と言えば、当然か」

「どうしよう」


帝都側で戦いが起きているので、帝都の門は閉じていた。

敵側の関係者かもしれないので、すんなり入れるわけがいかないのもわかる話なので文句もいえない。

途方にくれていたら門衛が出てきた。


「申し訳ないですが、しばらくここにいてください。」

「わかりました」

「《看破》のスキルを受けてもらえばすぐに入れますので」


敵と何も関係なかった時の対策として、門衛の詰所で待機することになった。

《看破》っていう嘘を見抜くことが出来るスキル持ちの質問にいくつか答えて、外の集団と何も関係ないことがわかるまでは入れないそうだ。

なるべくはやく呼んでくると告げ、門番が出ていった。


よほど頑張ってくれたのか、すぐに《看破》持ちであろう人をつれて戻って来てくれた。


「お手数をお掛けします」

「こんな時期じゃなかったら、必要ないと思いますがついてないですね」

「えぇ」


《看破》のスキルを使ったのか魔方陣が展開された。


「あなた方は、外にいる部隊と関係ありますか?」

「関係ありません」

「外にいる部隊のことを知ってますか?」

「知りません」

「帝都には何をしにこられたのですかな?」

「陛下に報告することがあって」


終わったのか魔方陣がおさまった。


「はい、問題ないですね、わたしはこれで」

「ありがとうございます」

「改めて、ようこそ帝都へ」


ようやく帝都へと入ることが出来た、上から見る景色とは違って下から見上げる内壁は装飾もされていた。

迷路のようになっている壁の模様で区画がわかるようになっているそうだ。


「宿かどっかで待ってればいいのかな?、それともすぐに城に向かう?」

「ちぃ姉様がいるといいのですけど」


ユリィが言う、ちぃ姉様とは第二皇女リリアンヌのことらしい、ちなみに第一皇女フランセットのことは姉様と呼ぶみたいだ。

第一皇女は他国へ留学中で不在らしかった。


「城へ向かいましょう、連絡がいってると思いますので大丈夫でしょう」

「じゃあいこうか」


この報告が終わったらユリィはどうするのか気にはなるが、いまは城へ向かうとしよう。

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