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22話


トレントの群れと木人を倒した、蠢く木の根っこは《フレイムゲイザー》の範囲にあったものが弱々しく動いている。

倒せなかった根っこを見ているとトレントや木人に絡みついた。


「なに、あれ?」

「吸収してる?」


見る間に枯れていったトレントと木人を用済みとばかりに放り投げて根っこが襲ってくる。

ユッカに襲いかかろうとした根っこはゼノが火猿で切り払った。


「あまり動きは速くないね」


こっちに向かってきた根っこを踏み込み、避けながら切り飛ばす。


「あっ!?、逃げるよ」

「あれが【ドリアード】かもしれないから、追うよ……ユッカ、ゼノは気をつけて」


逃げる根っこを追うと、不自然な大きさの茂みへと根っこが吸い込まれていくところだった。

カサカサと葉を揺らしながら緑色の髪をした少女が茂みから身を起こす。


「きみは?」

「あたしの邪魔をしたのは、あなたね」


赤い目を見開き怒りをぶつけてくる少女が腕を振るうと魔法陣が空中に浮かびあがった。

魔法陣が完成して葉っぱの塊がいくつか浮かび、こっちに向かってくる。


「このっ」


弾き、避け、切り払いで攻撃をしのいだ。


「あの子が【ドリアード】なの?」

「たぶんね、いきなり攻撃してきたし」


ユッカが樹魔法を使った少女を見ながら問いかけてくるのに答える。


「ヒカリ姉、危ない」


避けた葉っぱの塊が樹に刺さり倒したようで、後ろから樹が倒れてくる。

倒れてくる樹を避けて【ドリアード】に向き直ると、今度はさっきと反対の腕を振るい、更に魔法陣が増えた。


「これなら、どう?」

「魔法の同時使用なんて……」

「ユッカ!!」


新たに完成した魔法陣から、槍のような枝が迫ってくるのを斬りながら、驚いて固まるユッカをかばう。


「ヒカリ姉っ!!」

「うぐっ」


槍を斬って硬直してるところに、葉っぱの塊が突っ込んできた。

ゼノが割り込んで防いでくれたが、塊がひとつゼノを抜けてくる。


迫りくる塊がスローモーションのように見える。

態勢は悪いし、直撃は避けられない。

回避が間に合っても後ろにいるユッカに当たってしまうし、なんとかダメージが少なくなるように当たらないと。


「《アイスガード》」


衝撃に備えて目をつぶったら、ユッカの声が聞こえた。

いつまでたっても襲ってこない衝撃に目を開ければ、ユッカが

軌道に腕を割り込ませて防いでくれたようだ。


「《ウォーターヒール》、ごめんね、ヒカリちゃん」

「大丈夫だよ、気をつけて」


涙を溜めて謝るユッカとともに、起き上がりながら素早く状況を確認した。


「よく防いだね……でも、これで終わりよ」


左右に広げた腕を下に持っていきながらクロスする【ドリアード】、すると三つ目の魔法陣が浮かびあがった。


「なんか、やばそうだね……ユッカ、ゼノさがって」


枝の槍も葉っぱの塊もやんでいるが、各魔法陣が繋がって大きな魔法陣を作っているようだ。


「「ヒカリ(姉)ちゃん」」


【ドリアード】へと駆けだしたボクにユッカとゼノが同時に声をかけてくる。

魔法陣の完成までもう少しかかりそうだし、潰せるかもしれない。


【ドリアード】に僅かに届かなかった、魔方陣が完成して地面が揺れる。

どこからともなく伸びてきた蔦がボクの前で網目を作るのと、地面から植物が生えてきて急成長しながらボクにぶつかってくるのが同時だった。


「アハハ」


【ドリアード】の笑い声を聞きながら植物に弾かれ宙を舞う。

ボクを突き飛ばした植物は巨大な樹となってるので、【ドリアード】の魔法だったのだろう。


「ヒカリちゃん」

「大丈夫だよ」


飛ばされながら周囲の状況を探ってるとユッカが支援しようとこちらに向かってくるところだった。

ちょうど【ドリアード】の真上まで来たし、ユッカに来ないように言いながらアンカーバスターを《異空庫》から取り出した。


アンカーバスターの重さで真下の【ドリアード】へとアンカーバスターごと落ちていく。


「アハハ……ッ!?」


笑いながら飛ばされたボクを見て、勝利に浸っていた【ドリアード】がいきなり現れて迫ってくるアンカーバスターに目を見開き、ギリギリで避けた。


地面に刺さったアンカーバスターから飛び降りつつ《異空庫》へとしまい、代わりにファルコンスプリットを取り出す。


「遅いよ」


隼の意匠が施されたファルコンスプリットは素早さをあげてくれる。

【ドリアード】の振るう腕を掻い潜りファルコンスプリットを二振り、のけぞった【ドリアード】に追撃をかけようとしたところに最後の足掻きともいえる、根っこを身体を捻りながら切り払う。


「《スパイラルドーン》」


スキルでも魔方陣が展開されるので、魔方陣をくぐるように通り抜けた。

高速回転しながら矢のように目標へと突き刺さり、回転で【ドリアード】の破片が散らばっていく。


「アァァ」


回転で【ドリアード】を抉り続けて、ついには貫通して反対側へと抜けた。

振り返ると力尽きた【ドリアード】が萎むように小さくなっていき、やがて盆栽のような形の物が残った。


「ナニこれ?」


ユッカが拾いあげた盆栽のような形の物は燭台らしく、蝋燭をたてる皿がいくつもあった。


「わかんないけど、しまっとこうか」


燭台を《異空庫》へとしまう。

とりあえず【ドリアード】退治、完了だね。


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