31話 熱い男、マックスに戦う
年末年始に向けて、投稿再開。
転送後見たものは、世紀末の雑魚だった。
肩にスパイクアーマー。
腕に刺青。
モヒカン。
皮ズボンに、いたるところにチェーン。
そういうのが3人。
顔つきからして、日本人でもなければヤマト人でもない。外国人か。
そいつらが、戦闘員2人と戦っている。
おっと、ちょっと隠れてみてみるか。おお、妙に整地された場所なのにドラム缶の山発見!
うっし、これでこっそりと。隠れて様子見だ!
「yhwuisomfiho20!?」
世紀末の雑魚さんが叫んだが、何を言っているのか分からない。
そもそも、どっちも敵に見えて困る。
『翻訳機能を使いましょう』
ユーナの声が聞こえたあと、
「何てめえら暴れてんだよ! 血祭りにあげてやろうかぁー!」
「いいねぇ兄弟! ヒィヤッハー!」
……本当に世紀末の雑魚かー!!
「日本もそうだったが、ヤマトもこういうやつがこの国に来るから地元人は大変なんだよな」
「そうそう。夜中うるさいし。病院行っても市役所行っても……本当に困ってたんだよな、俺」
ここでその憂さ晴らししてやるよ、って。声がうれしそうだな。
ともあれ、戦闘員はやっぱり日本人か。
普段なら、ここでさっさと戦闘員をぶっ飛ばすだけで終わるんだけど。
なんか見てみたいんだよこの対戦。仕事あるけど。
『雑魚戦闘員 対 世紀末の雑魚!』
言葉にしてみるとこんな感じか。
うわ、個人的にはめちゃくちゃ興味ある。日本でもありえない対戦カードだからな。
このカード、どう思われますか? 解説のユーナさん。
『……悪ノリしてますね。まあ、どちらも悪者ですから傍観しててもいいですが』
どっちも悪人って。まあ、両方とも外見は善人じゃないが、世紀末のほうも悪なのか?
ユーナが一つ咳払いして。
『マスターの知識からも情報を得ましたが、しぶとさはやはり世紀末のほうでしょう。もし、マスターの知識が正しいなら、あの時代であの格好で戦うのはしぶとくないといけないかと。対して戦闘員は戦闘力とスキルですね。数の差こそありますが、ちょうどいいハンデとも言えるでしょう』
え? オレの知識ってどこから手に入れた!? ヒロシか? ヒロシなのか?
ってあの時代って核の炎の時代のことだよね!?
……突っ込みどころはさておいて。
うーん。どうしたものか。
ここで出て行って両方とも相手、っていうのは分が悪い。何より戦いたくないオレとしては、その方向は全力で却下。となると。
漁夫の利じゃないけど、傍観してたほうが楽か。
どっちが勝っても、五体満足じゃないだろうし。
勝敗の行方だけ見て、帰るとするか。
さあ、勝負のゴングが……! いや、チェーンが投げられたー!!
先手は世紀末チーム!
っと、それを事も無げに回避して、戦闘員チームは……あ、あれは!
『何ですかあれは? 妙なポーズを決めてますね』
ジョジ○! ジョジ○立ちだと!? しかも第二部に出てくる主人公チームみたいな感じだ!
『よく分かりませんが、隙だらけでは?』
いいんだ! あれはあれで! 観戦する側としては問題ない!
『ですが世紀末チームは殴りかかってますが』
「ヒャッハー! 俺様たちに手も足も出ねーでもう降参かー!」
「さっさとこねぇから来てやったぜぇ!」
「さあ、血まみれパレードの始まりだあ!」
……外国人、だよね? 本当に。世紀末から来ました外国人じゃないよね?
殴る、蹴る、チェーン、鉄パイプ……武器ありの攻撃が戦闘員チームを襲う!
「本来はかわすまでもないが……」
「奴らの攻撃で傷つきたくないし、ま、格の違いって奴を教えてやるか」
難なく回避する戦闘員チーム! 一方的な力の差を見せ付ける!
まあ、パワードスーツだからな、戦闘員スーツは。格の違いってよりは、装備の差だよな。
そういえば、そもそもなんであいつら戦ってるの?
『世紀末チームが法律的によろしくない仕事で得たお金を、戦闘員チームが強盗しようとして、起こった事件ですね。まあ、世紀末チームも強盗で手に入れたお金なので、両方ともぶっ潰して問題は皆無です』
あ、そっちの視点で見ると面白くないな。
ぶっ潰しても、そりゃ誰も怒らないな。
お互いぶっ倒れても、誰も同情しないと思う。
こういうとき、どこかにヒーローはいないものか?
『マスターがやれば、すぐ済みますよ?』
え? 5対1でやるのはいいけど……、世紀末&戦闘員と戦うのはちょっと、気が引けるというか。
誰かがいるなら任せたいんだけどな……。
戦闘員チームは遊んでるし、世紀末チームは……、苛立ってるけど。
面倒だ。仕方ない。
一番の事情は、仕事。休憩時間も考慮して動かないと、な。
よっし、やるか!
というわけで、一番近い戦闘員をまず……、さっさと仕留める!
と、隠蔽状態を展開して、と思った矢先に。
「貴様ら! 待て待て待てえっ! 見るからに異世界人と犯罪者どもめ! この俺が来たからには!」
大声を上げた、男がいた。短髪刈上げ。長身。鍛えてあるが、マッチョではなく。
白シャツにジーパンというさっぱりした出で立ちだが。
シャツに『熱血、マックス!』とか暑苦しい筆文字が、色々台無しだ。
警察と言うよりは、自衛隊のように動作に隙がない、その男。
一呼吸して。
半身になり、片手を銃の形にして、敵に向ける。
「マックスに相手して倒してやるぜ!」
おお! 何だか分からないけどすごいぞマックス!
変な奴で、暑苦しさもマックス! でも悪人ぽくないからいいやマックス!
もうオレの出番なさそうだし帰ろうかな!
隠蔽モード解除して、さーて仕事仕事!
「……あら? 『シルバーライン』が何故ここに?」
「や、人違いですが誰ですか?」
いきなり、背後から女性の声。
とっさに否定したが。後ろに誰かいたのかっ!
オレの隠れているところに、いつの間にか女性。大人のお姉さん。
チハヤとはまた違う、クールビューティ。とバイク。
って、何でオレ気づかないの?
ちょっとびっくりした! 焦ったぞ!
『相手の素性は明らかでしたし、害はないと判断しましたので』
ユーナ、教えてくれよ。敵じゃなくても、びっくりするんだよ!
……ん? 素性?
「私と彼、あのマックスの彼ね。私たちはヤマト国特務治安維持隊のメンバーよ」
と、警察手帳というのか身分証明みたいなものと、バイクを見せてくれる。
確かに『ヤマト国特務治安維持隊』とあるが、何それ?
「『シルバーライン』のコスプレなのかしら? ま、とにかくここは逃げたほうがいいわ」
「じゃあ、お言葉に甘えて、と。その前に『シルバーライン』って何?」
直訳では銀線? あるいは列車にありそうな感じだな。あるいは命綱の別名だったか?
「え? この近辺では違うのかしら……。異世界人の悪行を、見つけては倒す、そしてそれを自慢することなく去っていく、ヤマトを飛び交う謎のスーツよ。警察や私たちも接触を図っているんだけど、なにせ神出鬼没。ヤマト国内ならどこにでも出てくるから、1人の行動じゃなくて集団かもって思われるけど」
オレのことか? いや、よく似たスーツだろう。ほら、よくいるじゃん。
そうそう、昔近所に住んでた兄ちゃんもこんなスーツ。中学生にこういうスーツ着てなかった?
……じゃないよねー。たぶん。
「その謎のスーツについて、基調は黒なんだけど、銀色の線が複数個所あるから、コードネームを『シルバーライン』って、ここはそのコスプレから分かるからいいわね」
え、と。多分じゃない。
シルバーラインとやら、その正体はオレじゃん。
だが、この状態で正体ばらしても信じないよな。
とりあえず彼女の話には首を縦に振る。
「ただ、ヤマトだって黙ってないわ。そんな謎のスーツよりも身元のはっきりした、わたしたちヤマトの技術の結晶、それがあの彼の」
彼女が指差す向こうには、暑苦しいシャツの男。
妙に暑苦しいポーズのあと。
「いくぜ! 変……、し、んっ!」
な、変身、だと!!
両腰に付けてあった謎の銀色金属の箱を、それぞれの手で叩いた。
あ、あれ銃とかじゃないのか。
そして。白の線が彼の周りを包む、って早いけど『ユナイト』よりも時間かかるな。
『認証完了。バトルスーツ展開』
機械音声が響いた後と同時。白の線が彼を包み込んで、消える。
「ヤマトが誇る、最強最高のヒーロー……おれの名は『マックス』! ボルテージマックスで参、上っ!」
白の戦闘員スーツ。各所に金の線が走るのは、『ユナイト』に似ているが、『ユナイト』は銀だから、何だか負けた感が。
胸に、盾とその上に菊の花の紋章。
顔は、サングラスに似たバイザーと、口から頬にかけては色が銀色。
口というかその色違いの部分は、開閉可能なんだろう。口の中心でギザギザに線が走っている。
そして、アンテナが側頭部にそれぞれ一本ずつ。
あー、あの口上からしてヒーローっぽいな。
よし。じゃあ、オレもやるか!
「頑張れマックスー」
応援を! 懸命に! 頑張る!
敵にばれない程度の小さな声で!
「応援はうれしいけど、一般市民は逃げなさいって」
いつの間にか、オレの隣にしゃがんで戦いの行方を見ようとしているクールビューティ。
マックスが全員倒せるならさっさと帰りたいけど、……人数多いし。
解説のユーナさん、どうです?
『うーん。戦力を分析してみたんですが、ギリギリっぽいので見守りを兼ねて応援しましょう』
よし! 応援だ! 仕事の開始時間がちょっとやばくなりそうだったら手を出そう!
あくまで仕事優先で。さあ、観戦しよう。じゃない、応援だ!
頑張れ! オレたちのヒーロー、マックス!
ご意見ご感想、ご評価お待ちしております。
ブックマークありがとうございます!
ようやく、ライバル『マックス』が登場です。
中の人は暑苦しいほど熱いので、そういう意味でも強いですよ?
ここから年始しばらくの投稿は『激闘マックス』編ですね。
妙に暑苦しいのが嫌いな人はご遠慮ください。
ヤマトの技術は世界一っ! を希望しています(ヤマト国某大臣)




