結局AIかどうかなんて…
ホログラム画面を二人で共有して、「聴覚制限モード」で俺と幸司郎以外配信の音声を聞こえないようにする。
配信画面は、ゲームの横画面型。本人やアバターのようなものは一切映っていない。
FPSでスナイパーライフルを選択している。
「幸司郎はこの手のゲームはやったことあるのか?」
「ん、ああ。一応な。趣味程度でやってる。」
そういうやり取りをしていると配信上での百合が2人ペアの敵に遭遇する。
そうすると一発目でスコープを覗かないでヘッドショット。
そこから、リロードのようなしぐさを見せることなく、武器をもう一度出現させてまたもやスコープを覗かないでヘッドショット
コメント欄が「ナイショ!!」で盛り上がる。
対して本人は冷静だ。
こっちの方が百合っぽさまであるな。
「これは、、、すごいな。」
隣にいる幸司郎が感心した素振りを見せるので説明を求める。
「このゲームでは基本的にスナイパーってのはスコープを覗かないと変な方向に打っちまうんだ。」
だがしかし、今回、百合はそのような仕草は見せていない。
ただの偶然か?
「ただ、これはゲームだ。『スコープを覗いた状態』ってのを作ることができる。
基本的には右クリックで『スコープを覗いた』判定を作ることができる。」
「だけど、百合は今それをしてなかっただろう?」
「重要なのはその状態を作ることだ。『スコープを覗いた状態』を作ってから操作しているキャラクターが実際に『スコープを覗いている』ことは重要じゃない」
「ちょっと待て、ということは百合は──」
「ああ、明らかにスナイパーが不利な近距離戦で瞬時に画面の中央部分に相手の頭をとらえて右クリック。そして、左クリックで撃ったってことだな」
この後、リロード無しでスナイパーを連射する方法も軽く教えてもらったが、それは本当に人間の能力を超えたような話だ。
言うは易く行うは難し。
しかもその状態を7時間続けてるんだろ?
人智を超えた集中力の持ち主ではなかろうか。
かといって「本当にできないレベルなのか」と聞かれたら、ギリギリできるんじゃないか?と思う。
だって、国の代表エントリーレベルなんでしょ…?
「なあ、幸司郎。お前、このやまゆりがAIだと思うか?」
そう問うたら幸司郎は、んーっと頭をポリポリと書いて返す。
「何とも言えないな。人間っぽく見ろと言われれば人間っぽく見えるし、そうじゃないって言われればそう見える気がする。」
やっぱり俺と同じことを思っていたようだ。
やまゆりの提案はいいものだったと思うが、実際に触れたり話したりできる分、こっちの俺たちのほうがAIか人間かを特定しやすいんじゃないか?
実際に、鬼ごっこをやっている中で見えてきた部分ってのもある。
やっぱり人とAIの接点がある中でどうやって人間かどうかを見抜くか。
これが大事なんだろうな。
そうやって少し考えていると、渡辺が席を立つのが分かった。
そのまま入り口を抜けてまだつながっている第三小学校のグラウンドへと歩き出す。
続いて五百旗頭が立ち上がった。
いいぞ、五百旗頭。今が2人で話せる絶好のチャンスだ。
やり方はあまり問わない。とにかく渡辺に自信を持たせるんだ。




