鬼ごっこのはずなんだけどガチ過ぎないか?
山口はまた運動が苦手な仲間たちを庇うように立ちふさがった。
「なあ、一斉に捕まったほうが楽だぞ?」
そうやっておちょくる俺。
だって一応挑発するしかない状況だ。
俺は、カウントダウンが終わった瞬間に屋上に人影を複数見つけたので、一気に屋上へと登って行った。
屋上のカギはかかってない!ラッキー!と思った上に予想通り運動できないグループの山口+αがいた。
ちなみに+αの部分にはさっきいた俺の代わりに幸司郎が入ってる。
そしてなぜ膠着状態なのかというと。。。
山口、幸司郎、関の3人がそれぞれさすまたとかロープとか手に持ってるからだ。
それ小学校の時にやった変質者撃退のやつだよね?
仲間に向けるものではないと思うのだけど。
「人影を見せれば鬼が全員来るって思ってたんだけどね。」
そう関が悔しそうにつぶやく。
さっき言った通り、俺たちは作戦なんて立てないで突っ走ることにした。
グラウンドでは木村の笑い声が響く。
校舎内では渡辺の走り回る音。
もう少し立てば、二人が捕まえた側の鬼もこちらに参戦してくるだろう。
「いいかい?阿弥。捕まえたらタッチされないように…」
「わかってる!」
そう言いながら幸司郎は突っかかってきた。
あ、これ捕まえる部分が伸びるタイプのさすまただ──とっさの反射神経でかわす。
パシン!と空振りの音。
最近の入国審査官を舐めないでください。一応犯人対応の訓練受けてます。
ここで好成績とれないと一人前と認められない。反射神経にはある程度のに自信あります。
間髪入れずに山口と関が同時にさすまたを伸ばしてくる。
山口のは従来のタイプで関のやつが佐藤と同じで伸びるタイプ
流石に同時は聞いてないって!
俺は山口のさすまたを中途半端に受け入れ、先端に横腹を強打。
そこを関のやつに捕まえられた。
◇
「まっず」
本日2回目にお世話になった<体力回復薬>。
おかげさまでまた、緑色の矢印が身体の周りから上昇中です。
効能を知った山口が痛み止めに使えるんじゃないかと提案してくれたから飲むこととなった。
当然、ロープで拘束されている状態の俺が自力で、飲めるはずもない。
インフルエンザの子供にあーんさせる形で飲ませてくれているのは、、、
「へーこんなのがあるんだね。ウチら、やっぱり普通じゃないのに巻き込まれてる。」
村上だ。
あまりオープンな性格ではないが、紫色のロングヘアで対照的に明るい第一印象を与えている。
さっきチラッと聞いたけど図書室の籠城は元図書委員の村上が書庫のカギの場所を覚えていたから成り立ったとかなんとか。
ほかのクラスメイト達にも見つめられて若干気まずい思いをしていると次のお客さんが来た。
「よう!瑞樹!調子は、、、よくなさそうだな!」
駆けつけたのは渡辺と林のペア。
そりゃあ見せつけられるようにドアの対角に俺が両手を動かせない状態で座らせられていたらそんな反応になるわな。
林も渡辺に捕まっているだろうから、鬼2人対人間3人となった。
うん、これ本当に鬼ごっこだよね?
なんかのテレビ番組じゃないよね?
どんだけ捕まりたくないのあなたたち?
あ、でも佐藤笑ってるよ。楽しそうだね。
ならよかった。
◇
「いやぁ文明の利器ってすごいな」
そうやって縛られながら俺の隣に座らせられているのは渡辺と林。
…
まさかプロ野球選手の渡辺と林を相手にもさすまた組が勝つとは。。。
そして俺と同じく山口のさすまたにやられても<体力回復薬>の使用を拒むプロ意識も大したものだな。
こうして3人並べて置かれると、、、
「最後はここ!って言っても引き返したほうがいいかな…?」
まあ、そうなるよな。来たのは木村とアイドルの佐藤のペア。
2人曰くほかのクラスメイトは全員捕まったらしい。
しらみつぶしで周って最後に残った屋上に来たら男子三人が仲良く拘束。
流石の女子もお手上げのようだった。
<人間WIN>




