第039話 探索ドローン
ハジメは目眩がしはじめた。
「ああ、やべぇ……」
慌てて回復部屋に移動して自分を回復させる。
「調子に乗ってしまった……」
新しい魔法を使えるのが嬉しくて見とれてしまったのだ。
ハジメは他の魔法も試してみた。回復部屋であればMPが枯渇しても対処できるからだ。
『マイステ』は自分のステータスの簡易表示版階級・HP・MPなどが表示される。
詳細を見るには『鑑定』で見るしかないようだ。
だが、でかいステータスパネルより小型なので使い勝手は良さそうである。
『ファイア』は火が出る魔法だ。
指先だろうが足先だろうが火を出す事が出来た。
ハジメが眉間に皺を寄せて真剣な表情になっている。
「……こ、股間から出せば」
止めろ。
『ウォーター』は身体の望んだ場所から出てくるようだ。
先程は指先から出したが、今度は肘から水を出してみると成功した。
再び、ハジメが眉間に皺を寄せて真剣な表情になっている。
「……こ、股間から出せば」
だから、止めろ。大事なことだからニ度書いた。
『クリーン』は風の圧力で埃などを払う魔法だ。
試しに袖を汚してみて魔法を掛けてみると、確かに埃だけは払えたが汚れはそのままであった。
懲りずに、ハジメが眉間に皺を寄せて真剣な表情になっている。
「……ケツ……」
止めろと言っている。
『スリップ』は荷物などの摩擦が少なくなる
パネル部屋に残ったパネルを縛って引き摺ってみたが軽くなった感触は無い。
もっと重量のあるもので試す必要がありそうだ。
「そうか、日常でちょっと使えれば便利だから生活魔法なのか」
しかし、ハジメとしてはラノベ小説などで読む、『ファイヤーボール』や『サンダーボルト』みたいなのを使いたがっていた。
何故なら格好良いからだ。
「男は格好付けてなんぼ」
これを心情としていた。
一通りの探索を済ませたハジメはダンジョンを出てきた。
「さて、買い物に行ってくるか……」
ハジメはホームセンターにやってきた。
今回は第三階層を探索する為にドローンを購入しようと考えているのだ。
何しろ第三階層は広すぎる。
「免許不要だしな」
調べてみると私有地の中であればドローンの飛行は無免許でも可能なのだそうだ。
他で飛ばす予定は無いので平気だろうと考えていた。
「いずれは取るけど……」
地震などがあった時に山を見回ったりする。ドローンが有れば山の中をテクテク歩かなくても済む。
その分ダンジョンに潜れるのだ。
「高価なドローンの時には親に頼もう」
購入するのはホビーユースの軽量ドローンだ。
『技適マーク』が付いている機体であれば免許は不要とも書かれている。
なのでカメラ付きで一番安い機体にした。本格的なのは高校生の懐事情では大変に厳しいものがある。
「あああああ……」
それでもお金が出て行くのには変わりない訳で、細々と貯めた僅かな貯金が凄い勢いで減っていっている。
「くぅ、面白いけど金銭的にキツイな」
今、この世界にギルドなど存在していない。
ダンジョン産出のアイテムや魔石を現金化する方法は無いのである。
「レベルが上っても意味が無いしなあ……」
上空から観察すればスライムの居場所が掴みやすい。
第ニ階層でのイベントクリアが、スライムの全滅だったので第三階層でもそうなのかを調べたかったのだ。
以前から欲しかったのだが踏ん切りが付かなかったのもある。
「まあ、前から欲しかったし……」
何かを購入しようとした時に踏ん切りが付かない事がある。
ドローンを買って何に使うんだよなどと考えて買わなかったのだ。
「後は映像を飛ばせるかだな……」
以前、スマートフォンでスライムを撮影しようとした時に使えなかった事がある。
あの時には原因が不明であったが、今は外世界の物でも動作させる方法を見つけている。
ダンジョン草を巻き付ければ動作するのではないかと期待していた。
「あっ、確かめてから買えば良かった」
スマートフォンにダンジョン草を巻いて撮影できるかやってみれば済んだ話だ。
思いが先走って行動するのはハジメの悪いクセだ。
「ちぇっ……あれ?」
帰宅しようとしていたハジメの視線に、とある玩具が写りそれを手に取った。
「これは使えるかも……」
手に持って居るのはスリングショット。ゴムの力で玉を飛ばす奴だ。
第三階層のスライムは触手を伸ばして攻撃してくる。
なので、遠距離攻撃出来る手段が必要だなとハジメは考えていた。
元々は見た目が格好良い(重要)コンパウンドボウを買おうかと考えていた。
だが、格好良いが値段も良い。ちょっと手を出せないと感じていた所だ。
「うん、まずはコレで試そう」
ハジメは新しい武器を手にした。




