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トランスポーター✕サービス  作者: カバクラ


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55/55

エピローグ「そして、今日も走り続ける」

あれから5年。


 池巣自動車営業所の朝は、今日も変わらず始まっていた。


---


 車庫には青と白のバスが並ぶ。


 運転士たちは、それぞれの一日へ向けて準備をしている。


---


「おはようございます。」


 細野孝太郎が事務所へ入る。


---


「おはよう。」


 聞き慣れた声。


 山下恒一だった。


---


「細野もすっかり貫禄が出たな。」


---


「山下さんに言われると複雑です。」


---


「なんでだよ。」


---


 変わらないやり取り。


---


 でも。


 5年前とは違う。


---


 細野はもう新人ではない。


---


 後輩から相談され。


 新人を指導し。


---


 時には迷う運転士たちの支えになる存在になっていた。


---


「細野さん。」


 若い運転士が声を掛ける。


---


「この前の判断なんですけど……。」


---


 細野は笑う。


---


「まずは安全を考える。」


---


「それから、お客様の立場で考える。」


---


「正解は一つじゃない。」


---


「だから、自分で考えることが大切だ。」


---


 その言葉は。


 かつて金城から教わったものだった。


---


 金城恒一。


---


 今でも時々、営業所へ顔を出す。


---


「お前たち、ちゃんと教えてるか?」


---


 そう言いながら。


 昔と変わらない厳しさと優しさで、後輩たちを見る。


---


 そして。


 その教えは次の世代へ受け継がれていた。


---


 大森恒一も変わらない。


---


 冷静な判断。


 正確な仕事。


---


 営業所には欠かせない存在だった。


---


 山下は相変わらず明るい。


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 時々、余計な一言を言って。


 周りを笑わせる。


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 でも。


 誰より仲間を大切にしていることを、みんな知っていた。


---


 池巣自動車営業所。


---


 そこは。


 ただ働く場所ではなかった。


---


 困った時に助け合える。


---


 失敗した時に支えてくれる。


---


 帰る場所のような場所だった。


---


 午後。


---


 細野のスマートフォンが鳴る。


---


 画面を見る。


---


「西園寺さんからだ。」


---


 本社へ異動した西園寺美月。


---


 今でも月に一度。


 必ず池巣営業所へ顔を出している。


---


 営業担当として。


 そして。


---


 大切な仲間として。


---


「来週、営業所へ行きますね。」


---


 そんな連絡だった。


---


 細野は微笑む。


---


 あの春。


---


 西園寺が伝えてくれた想い。


---


 今でも忘れていない。


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 そして。


---


 藤崎彩も。


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 変わらず営業所を支えている。


---


 仕事への向き合い方。


 仲間を見る優しさ。


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 昔から変わらない。


---


 細野にとって。


 二人がどんな存在なのか。


---


 答えは。


 今も描かれない。


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 ただ。


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 二人とも。


 細野の人生の中で大切な人であることは変わらなかった。


---


 その日の夕方。


---


 車庫。


---


 細野が帰庫した時だった。


---


「細野。」


---


 山下がニヤニヤしながら近づいてくる。


---


「何ですか?」


---


「嫁さんが来たぞ。」


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「……またですか。」


---


 細野は苦笑する。


---


 山下が指差す先。


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 そこには。


---


 二人の女性がいた。


---


 藤崎彩。


---


 西園寺美月。


---


 二人とも笑顔でこちらを見ている。


---


「山下さん。」


---


「どっちですか。」


---


 細野が聞く。


---


 山下は笑った。


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「知らん。」


---


「それは、お前が決めることだろ。」


---


 営業所に笑い声が広がる。


---


 5年前も。


 今も。


---


 変わらないものがある。


---


 仲間。


---


 安全。


---


 そして。


 誰かの人生を支える仕事。


---


 細野は運転席へ向かう。


---


 明日も。


 またバスは走る。


---


 誰かを学校へ。


 誰かを職場へ。


 誰かを大切な場所へ届けるために。


---


 池巣自動車営業所の物語は。


 これからも続いていく。


---


 そして今日も。


---


 池巣自動車営業所のバスは走り続ける。


(完)

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